16ビットの私
あの頃は何でも覚えていられたの
今の私は16ビット
*
「あ、あれ忘れた。ちょっとまた行ってくるね」
買い忘れた物を買いに出かけたはずなのに、
気づけば余分なお菓子や別のものを手にして、
肝心なものをすっかり忘れて帰ってくる。
記憶力には自信があったのに、
いつの頃からか、物忘れがひどくなった。
忘れないようにメモをする。
けれど、そのメモの存在ごと忘れる。
*
……でも、ふと思い出す。
若い頃の私も、案外こんなものだった。
母に頼まれた買い物も、
「あ、忘れた」と言っては呆れられていたし、
一度は、買い物カートに乗せた次男を
下ろし忘れたまま車に向かい、
途中で思い出して慌てて引き返したこともある。
あれは記憶力というより、
ただの「うっかり」だったのかもしれないけれど。
*
記憶力の低下も、物忘れも、
どちらも同じ「忘れる」という現象だ。
年齢のせい、と言ってしまえばそれまでだけれど、
思えば私は、昔から少し抜けていたのかもしれない。
そう考えると、少しだけ気が楽になる。
*
この先も、年は重ねていく。
ならば、記憶力や物忘れと
うまく付き合っていくしかないのだろう。
16ビットなりに、軽やかに。
――さて、何かいい脳トレでも始めてみようか。
