OSの断片|受け取ったのは、好意じゃない
地元でばったり会った。
何個か前の会社の後輩だった。
お互い同じ地元だったことを、
その時初めて知った。
やっぱり都会にいた人の方が話が合う。
想像通り、話が弾んだ。
次はあそこに行こう。
あの店も美味しいらしい。
関係が続く前提の会話を、
自然としていた。
彼は起業して成功していた。
美味しいお店に連れて行ってくれた。
変わらず綺麗ですね。
そう言われた。
冗談だとしても嬉しかった。
いや、
たぶん当然だと思っていた。
二回目に会った時。
隣同士に座った。
少しだけ距離が近かった。
でも話すのは仕事の話ばかりだった。
色っぽさなんてなかった。
お互い熱くなって、
ビジネス論をぶつけ合った。
だから私は、
彼にそんな気があるなんて思わなかった。
でも振り返ると、
私は昔から言われていた。
思わせぶりだよね。
と。
笑顔を絶やさない。
絶妙なタイミングで相槌を打つ。
相手が気持ちよく話せる空気を作る。
距離が近くても、
警戒させない。
私はそれが得意だった。
そして、
それを直そうと思ったことはなかった。
価値だと思っていたから。
女は男に愛されないと価値がない。
どこかで、
そう思っていた。
だから嫌われたくなかった。
だから求められたかった。
だから私は、
無意識に振る舞っていた。
欲しくなるように。
選びたくなるように。
二回目で誘われた時。
私は安心した。
でも彼が欲しかったわけじゃない。
好きだったわけでもない。
付き合いたかったわけでもない。
ただ。
私にはまだ価値が残っているらしい。
そう思えた。
受け取ったのは、
好意じゃない。
存在価値だった。

この話も、たぶんここに繋がっています。
▶︎「全部、繋がっている。」
