短編エッセイ|モノも男も人間関係も、捨てられない女の話
プロローグ
私はどうやら、
捨てることが下手らしい。
服も。
男も。
人間関係も。
家族のしがらみも。
全部、手放せない。
第一章: 服
クローゼットがいっぱいなのに
また買うのを止められない。
タグ付きのまま吊るされた服が、
何着も並んでいた。
お気に入りのこの服、高かった。
今年の流行ですって勧められたやつだった。
大事にしてるフリして、1回しか着ていなかったことに気付く。
これ来年も着るかな。
手放そうという、思いは一瞬よぎった。
別に記念日でもない。
思い出の品でもない。
ただの服だ。
それでもダメだった。
手放せなかった。
私はそれがいいんじゃない、
それじゃなきゃダメなんじゃない、
ただ何かに執着していないと、
耐えられなかった。
第二章: 男
自分が弱っている時ほど、
ダメな男に引き寄せられた。
ダメな男ほど離れられなかった。
友だちにヤメナヨって助言されて、
うーん、そうだねぇ。
なんて曖昧な返事して。
彼は私がいないとダメだった。
少なくとも、そう思っていた。
身の回りのことは全部私がした。
お金にだらしなくても許してあげた。
そうしてあげたかった。
彼が私を求めてくれれば、
それだけでよかった。
ほんとは、他に誰かいるのも知っていた。
それだって許してあげた。
最後に私のところに帰ってきてくれれば、
それだけでよかった。
私は知らずに身を削っていた。
ただ必要とされていないと、
耐えられなかった。
第三章: 人間関係
人のことは好きだ。
でも時々すごく疲れる。
空気を読んだり、先回りして動いたり。
そしてノーも言えなかった。
相手の期待を裏切るのが怖いから。
なんでも安請け合い。
都合のいい女になっていた。
写真に写る群れが怖かった。
置いていかれたくない。
仲間から外れたくない。
必死に女の友情にしがみついていた。
家族のこともそう。
私なら何を言ってもいい、傷つかない、
平気だろうと、心無い言葉を浴びせてくる。
家族なら何をしてもいいの?
私だって感じる、人の悪意や欺瞞とか。
でも見て見ないふりしてるだけ。
明るくて楽しい、いい人でいたいから。
私の言動で、人が離れていくのが怖いから。
ただ繋がっていないと、
耐えられなかった。
エピローグ
この生きづらさの根底には、
自分が作り出してる虚像がある。
全部自分が招いてること。
自ら作り出してしまった虚像の前提が
今日も私を侵食していく。
私はずっと、
耐えるために執着していた。
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①純文学: 「純文学みたいな顔して、私はずっと欲しかった。」
