30歳会社員宅録ミュージシャンがオリジナル曲を広めるために実践したSNS戦略
こんにちは、30歳会社員宅録ミュージシャンのCraft Popsです。
自分の人生の目標は音楽を死ぬまでやり続けることであり、そのために売れたいと思っています。
そして現代で音楽をやって売れようとする以上、SNSで認知を広げるプロセスは避けて通れないとも思っています。
ここ数ヶ月、そのために色々試してきました。最近ようやく少しだけですが成果が出てきたので、その過程で考えたことや実践したことをまとめてみます。
はじめに
自己紹介
東京都在住の30歳会社員で、Craft Popsという名前で音楽活動をしています。
学生時代からバンドやDTMを続けており、現在は自宅で楽曲制作を行いながらオリジナル曲をリリースしています。作詞・作曲・編曲・レコーディング・ミックスマスタリングまで基本的に一人で行っています。
音楽活動に使える時間は限られていますが、その制約の中でどうやったらより多くの人に曲を聴いてもらえるかを日々考えながら活動しています。
実績
最近では、Excel関数をテーマにした「#REF!」という楽曲のプロモーションを通じて、以下のように少しずつですが手応えを感じられるようになってきました。
X:関連動画20万回以上再生、1,000RP / 6,000いいね超え、フォロワー数+1,500
Instagram:関連動画10万回以上再生、3,000いいね超え、フォロワー数+800
TikTok:関連動画3万回以上再生、フォロワー数+300
Excelが嫌いすぎて作った曲 pic.twitter.com/saMqk9gInW
— Craft Pops (@Chikapu_0311) June 2, 2026
2026年3月時点ではInstagramのフォロワーは500人くらいで、1投稿あたり20いいね/1,000再生いけばいい方という規模感でした。XやTikTokに至ってはほとんど反応がない状態だったので、今の状況はシンプルにかなり嬉しいです。動画を見てくれた方には本当に感謝しています。
振り返ってみると、「Excel」という多くの会社員が知っている題材と、楽曲制作の過程を組み合わせたことが大きかったように思います。
ちなみに、この「#REF!」という曲は2026年6月18日に配信リリース予定です。この記事を書いている今も、そのプロモーションを試行錯誤しながら進めています。
この記事では、その過程で実践したことや学んだことを整理してみます。
この記事の対象読者
この記事は、以下の人向けに書いています。
オリジナル曲で活動している
SNSで何を投稿すればいいかわからない
曲は作っているのに思うように聴いてもらえない
演奏動画やキャラクター売り以外の発信方法を探している
逆に、以下の人にはあまり参考にならないかもしれません。
歌ってみた中心の活動をしている人
演奏動画で伸ばしたい人
インフルエンサーとしてSNSを伸ばしたい人
あくまで「オリジナル曲を広めたい零細宅録ミュージシャン」の視点から書いています。
1. なぜSNSを頑張るのか
まず、自分は現代で音楽をやって売れようとする以上、SNSで認知を広げるプロセスは避けて通れないと考えています。
本来は良い曲を作っていれば自然と人が集まるのが理想ですが、現実には存在を知られなければ聴いてもらうことすらできません。
今、人々は日常的にSNSから情報を得ています。新しい音楽との出会いも例外ではありません。
だからこそ、この数ヶ月は「どうやったらSNSで曲を知ってもらえるのか」を真面目に考えてきました。
2. SNS戦略には3つの型がある
SNSで発信しているミュージシャンを見ていると、自分は大きく3つの型があるように感じています。
もちろん実際には複数を組み合わせている人も多いですが、考え方を整理するためにあえて分類するとこんな感じです。
①演奏・歌唱
演奏動画や歌唱動画を軸にしたスタイルです。
高い演奏力や歌唱力があれば非常に強力で、「この人すごい」と一瞬で伝わります。一方で、同じ土俵で戦うライバルも多く、差別化には相応の実力が求められます。
弾き語り
超絶技巧
日用品で超絶演奏
②楽曲制作
作曲のアイデアやアレンジ、レコーディング、ミックスなど、楽曲制作の過程をコンテンツ化するスタイルです。
曲が完成するまでのプロセスを見せたり、「なぜこうしたのか」を説明したりすることで興味を持ってもらいます。自分はこの型をメインに発信しています。
制作過程
作曲アイデア
DTMテクニック
③キャラ・ビジュアル
人柄やライフスタイル、ビジュアルを軸にしたスタイルです。
音楽そのものだけでなく、「この人が好きだから見たい」という状態を作れるのが強みです。SNSとの相性も非常に良いと思います。
人柄
ライフスタイル
ビジュアル
3. なぜ自分は「楽曲制作」を選んだのか
前章で挙げた3つの型のうち、自分は「楽曲制作」を軸に発信することにしました。
理由は単純で、自分には演奏動画で人を驚かせるほどの演奏力もなく、キャラクターやビジュアルで勝負できる自信もなかったからです。
一方で、作曲やアレンジ、DTMは昔から好きでした。また、作詞作曲編曲に加え、レコーディングとミックスマスタリングまでワンストップで自力完結できるのも楽曲制作型のコンテンツに合っていると考えました(DTMのワークフローを見せたり、作業途中の音源を出したりできる等)。
その結果たどり着いたのが、作曲のアイデアや制作過程を見せる今のスタイルです。
4. 実際にやったこと
①伸びている「楽曲制作」型の投稿を観察する
まず最初にやったのは、SNSで実際に伸びている音楽系の投稿をひたすら見ることでした。
TikTok、Instagram、Xを毎日眺めて、「どんな投稿に人が反応しているのか」を観察しました。
ここで重要なのは、「自分が好きな投稿」だけでなく、「実際に伸びている投稿」を見ることです。
②自分にもできそうなコンテンツを探す
次に、自分でも再現できそうな投稿をしているアカウントを探しました。
憧れのアーティストを参考にするのも大事ですが、それだけだと実践できません。
例えば、
超絶ギターが弾ける
歌がめちゃくちゃ上手い
顔がめちゃくちゃ良い
といった人のやり方は、自分には再現できませんでした。
なので、
「自宅で曲を作っている」
「制作過程を見せている」
「特別な機材や技術がなくてもできそう」
というアカウントを中心に研究しました。
③動画の型を真似する
投稿内容を考える際は、ゼロから企画を考えるのではなく、既に伸びている動画の型を参考にしました。
例えば自分の場合は、以下のような形で楽曲の構造を見せています。
完成品を宣伝するのではなく、「どう作られているか」をコンテンツ化するイメージです。
・BUILD UP
コーラスや楽器を一つずつ重ねていく動画です。
音が少しずつ増えていくので、最後まで見てもらいやすいと感じています。
・BREAKDOWN
完成した楽曲を分解して見せる動画です。
例えば、以下のような形です。
ドラムだけ
ピアノだけ
ギターだけ
ベースだけ
最後に完成形
・SONG IDEA
楽曲制作中のアイデアを紹介する動画です。
「ラスサビをツインメロディにしてみた」
「ラップ前だけコードを変えてみた」
など、完成した曲ではなく制作中の工夫を見せます。
新曲だけじゃなく既存曲にも使えそうな型だと思っています。
④全部のSNSに投稿する
作った動画は、
Instagram
TikTok
YouTube Shorts
X
に基本的に同じものを投稿しています。
SNSごとに文化やアルゴリズムは違いますが、どこで反応が出るかは実際に投稿してみないと分かりません。
同じ動画でも、Instagramでは伸びないのにXでは伸びる、ということは何度もありました。
⑤伸びた型だけ残す
最後に、反応の良かった型だけを残します。
伸びなかった型は潔くやめます。
逆に少しでも反応が良かった型は、何度か角度を変えて繰り返します。
実際、自分の場合も一番伸びた動画は1本の大当たりではなく、「制作過程を見せる」という方向性を何度も試した結果として生まれました。
SNSでは新しいことを考える能力よりも、うまくいったことを繰り返す能力の方が大事なのかもしれません。
5. 失敗したこと
ここまで色々とうまくいった話を書いてきましたが、実際には失敗したことの方が圧倒的に多いです。
特に、自分が良いと思っていたものと、SNSで反応が良いものはかなりズレていました。
例えば、
曲をそのまま聴かせるだけの動画
ライブ映像
ライブ映像に音源を当てた動画
MVの切り抜き
ジャケット画像の告知
オリジナル曲への流入を狙ったカバー動画
などは、少なくとも自分の場合はあまり反応がありませんでした。
考えてみれば当然で、これらは既に自分のことを知っている人には一定の価値がありますが、初めて見る人にとっては「だから何?」で終わってしまいます。
一方で、
コーラスを重ねていく動画
曲ができる過程を見せる動画
作曲アイデアを紹介する動画
などは比較的反応が良い傾向がありました。
今振り返ると、自分はずっと「曲を聴いてください」と発信していたのに対して、見ている人は「何か面白いコンテンツを見たい」と思っていたのかもしれません。
結局のところ、音源やライブ映像をそのまま投稿するだけではなかなか広がりませんでした。
自分の場合は、楽曲そのものを宣伝するのではなく、楽曲制作の過程やアイデアをコンテンツ化した時に初めて反応が返ってくるようになりました。
6. 一番伸びたのは何だったか
ここまで色々な投稿を試してきましたが、一番大きな反応があったのは、Excelのエラー「#REF!」をテーマにした楽曲でした。
楽曲そのものもそうですが、関連する動画はXで20万回以上再生され、InstagramやTikTokでもこれまでで最も大きな反応を得ることができました。
正直なところ、ここまで反応があるとは思っていませんでした。
では、なぜこの曲は伸びたのでしょうか。
もちろん正解は分かりませんが、自分なりに考えていることを書いてみます。
「音楽好き」以外にも届く題材だった
まず大きかったのは、「Excel」という題材だったことだと思います。
これまでの自分の投稿は、基本的に音楽が好きな人に向けたものでした。
しかしExcelは違います。
会社員であれば一度は触ったことがあるツールですし、「#REF!」というエラー表示を見て嫌な気持ちになったことがある人も少なくないと思います。
つまり、この曲は音楽好きだけでなく、仕事でExcelを使っている人にも届く可能性がありました。
結果的に、「曲が気になる」というよりも、「Excelの曲って何?」という興味から動画を見てくれる人が増えたように感じています。
また、「Excel」という題材だけでなく、それが自分自身の実体験に基づいていたことも大きかったと思います。単なるネタとしてではなく、実際に感じていたストレスや感情を曲にしたことで、同じような経験を持つ人の共感を集めることができたと考えています。
曲そのものではなく、制作過程を見せた
もう一つ大きかったのは、前章で言及したとおり曲の宣伝ではなく制作過程を見せたことです。
完成した作品そのものより、「どうやって作ったのか」の方がコンテンツとして成立しやすかったのだと思います。
「曲の宣伝」が「ネタ」になった
今振り返ると、#REF!関連の投稿はあまり宣伝として受け取られていなかった気がします。むしろ、
「Excel嫌いすぎて曲を作った人がいる」
というコンテンツとして認知されていました。
普通は楽曲の宣伝をしようとすると宣伝感が出てしまいます。
でも今回は、
Excelあるある
会社員あるある
制作過程
が先にあって、その結果として曲に興味を持ってもらえました。
これはかなり大きな発見でした。
一番予想外だったこと
一番意外だったのは、音楽の話をしている人よりも、会社員の人たちの反応の方が大きかったことです。
自分は音楽好きに向けて曲を作っているつもりでした。
しかし実際には、
「わかる」
「Excel嫌い」
「この前作業中のデータ飛んで最悪だった」
といった反応が大量に集まりました。
多くの人は音楽理論やアレンジそのものに興味があるわけではなく、自分の経験や感情と結びついた時に反応するのだと思います。
これは音楽活動だけでなく、SNS全般に通じる話かもしれません。
7. SNSを続けて分かったこと
SNSを続けていてまず感じたのは、良い曲と伸びる投稿は別物だということです。
良い曲を作ればSNSで伸びるわけではありませんし、SNSで伸びたからといって良い曲とも限りません。曲作りとSNSは似ているようで別の競技だと思っています。
また、「新曲できました」という投稿よりも、「どうやって作ったのか」「なぜ作ったのか」の方が反応されやすいことも分かりました。
今は曲を宣伝するというより、曲作りそのものをコンテンツ化する意識で発信しています。
一方で、SNSはあくまで作品を届けるための手段だとも思っています。できることなら曲作りだけしていたいですが、現代でオリジナル曲を広める以上、SNSは避けて通れません。
結局のところ、自分がコントロールできるのは曲を作ることだけです。SNSの数字に一喜一憂することはあっても、最後は作品で勝負するしかないと思っています。
補足:プロモート機能について
TikTokやInstagramのプロモート機能については、現時点では使っていません。
まずは動画そのものの質を高めることの方が重要だと考えているからです。オーガニックで反応のない動画を広告費で無理やり伸ばしても、本質的な認知拡大にはつながりにくいと思っています。
一方で、オーガニックで既に反応が出ている動画に広告費を投下してさらに広げる、という使い方には可能性を感じています。自分も「#REF!」のリリース後に試してみる予定です。その辺りも追って記事にしてみる予定です。
おわりに
最後に、「じゃあ何から始めればいいの?」という人向けに、自分ならまず以下の3つをやります。
自分の実体験と世間の関心が重なるテーマで曲を作ってみる
SNSで伸びている音楽系の投稿を観察し、自分に合った型を見つける(この記事で紹介した型をそのまま使っても構いません)
動画を作って投稿し、反応を見ながら改善する
結局のところ、一番大事なのは試すことだと思っています。
自分もまだ試行錯誤の途中ですが、「作る → 投稿する → 振り返る」を繰り返す中で少しずつ手応えを掴めるようになってきました。
この記事が、その最初の一歩の参考になれば嬉しいです。
