投資40%時代が来ても迷わない ~ あなたの資産配分は「あなた仕様」でいい

わが国の家計金融資産は諸外国と比べて預金が多いため、近年、政府は「貯蓄から投資へ」という政策を進めています。
投資は株式、投資信託、債券が代表的だと思いますが、どれくらいの割合にすればよいのでしょうか?

わが国の家計金融資産は約2,100兆円。そのうち現預金が50%弱を占め、株式・投資信託・債券(以下、3資産)は約23%という構造になっています。政府はこの比率を2040年までに40%へ引き上げるという目標を掲げる意向を示しています。
数字だけを見ると「投資を強制されるのでは」と不安に感じる人がいるかもしれません。しかし、この目標はあくまで「家計全体の傾向」としての政策目標であり、個々人の資産配分を一律に決めるものではありません。
(注)本稿は特定の投資行動を推奨するものではありません。

1 政府が「貯蓄から投資へ」を進める意図とは
(1)わが国の家計資産は「眠っている」と言われる理由
わが国の家計は世界的にみても現預金比率が高くなっています。米国のように株式や投資信託を積極的に保有する国と比べると、資産形成の伸びが抑えられがちです。
現預金は安全性が高い一方で、
インフレに弱い
長期的な資産成長が期待しにくい
という特徴があります。
家計が投資を通じて資産を増やして老後の生活を安定させることができれば、将来の社会保障負担の圧力も和らぐ。政府はそのように考えています。
(2)経済全体の成長にもつながる
投資が増えると企業は株式市場を通じて資金調達しやすくなり、
設備投資
研究開発
新規事業
などに資金を回しやすくなります。
結果として、企業の成長 → 賃金上昇 → 消費拡大 → 経済成長という好循環を期待できます。そのため、政府は「投資を増やすこと」を政策目標に掲げているのです。
(3)ただし「投資を強制する」ものではない
政府の目標はあくまでマクロの家計全体の比率であり、「あなたの資産配分を40%にしなさい」という意味ではありません。
むしろ、個々の事情に応じた資産配分こそが重要であり、「一律の正解」は存在しません。

2 3資産比率は本来、個々の事情で大きく異なるべき
政府が目標を掲げること自体は政策を進めるうえで必要です。しかし、資産配分は本来、個人の状況によって大きく異なるべきものです。
(1)資産配分が変わる主な要素
年齢(リスク許容度)
収入の安定性
家族構成
住宅ローンの有無
老後資金の準備状況
資産規模
性格(リスクをどこまで許容できるか)
たとえば、
20代で収入が伸びる見込みがある人
60代で退職後の生活費を取り崩す段階にある人
当然ながら適切な資産配分は両者で大きく異なります。
(2)「40%」はあくまで「平均値」の話
政府の目標は「日本全体として投資を増やしていきたい」という方向性を示すものです。
しかし、個々人がその数字に合わせる必要はありません。むしろ、自分のライフプランに合った比率を考えることが最重要です。

3 世代別に見た3資産比率の一般的な目安
金融庁やFP協会などが示す一般的な考え方をもとに、世代別の目安を示しましょう。
(注)あくまで一般論であり、個別事情によって大きく変わってきます。


4 ライフプランにもとづく「自分だけの比率」を決めることが最重要
一般的な目安は参考になりますが、最終的に大切なのは自分の人生に合った資産配分です。
(1)ライフプランニングの基本ステップ

このプロセスを踏むことで、初めて「自分にとって適切な比率」が見えてきます。
(2)年齢とともに比率は変わっていく
資産配分は一度決めたら終わりではありません。
年齢
収入の変化
家族構成
資産規模
などに応じて定期的に見直すことが必要です。
たとえば、
子どもが独立した
住宅ローンが完済した
退職した
そうした節目は資産配分を見直すよいタイミングです。
(3)専門家の支援を受けるとより効果的
ライフプランニングや資産配分の設計は専門知識が必要な部分も多くあります。
ファイナンシャル・プランナー(FP)
銀行や証券会社などの相談窓口
自治体の無料相談
などを活用することで、より現実的で無理のないプランをつくることができます。
資産規模が大きい人
老後資金の不安がある人
相続や税金も含めて考えたい人
そうしたケースでは専門家の助言が大きな力になります。

政府は「3資産比率40%」という目標を掲げようとしています。それはわが国全体として投資を増やして経済を活性化させたいという政策的な意図によるものです。
しかし、個々人がその数字に合わせる必要はありません。
資産配分は年齢、収入、資産規模、性格などで大きく異なる
世代別の一般的な目安はあくまで参考
もっとも重要なのは自分のライフプランに合った比率を決めること
年齢や状況の変化に応じて見直すこと
専門家の支援を受けるとより精度が高まる
そうした点を押さえておけば、政府の目標に過度に振り回されることなく、落ち着いて資産形成に向き合うことができるでしょう。
