記憶力でも読解力でもない——東大合格に必要な才能とは何か?【ドラゴン桜財団レポート記事】
文:青戸一之(ドラゴン桜公式noteマガジン編集長・ドラゴン桜財団講師)
今年の4月に「ドラゴン桜財団」が設立され、このマガジンでは財団の設立経緯や支援内容、地方と都市部の教育格差についてなどの関連記事をお届けしてきました。
そして6月には、財団の第一期生となる奨学生6名が採択されました。
財団が提供する学習支援「リアルドラゴン桜プログラム」も同月から始動し、7月11日には東京大学本郷キャンパスにて、第2回が対面で開催されました。
この回のメインテーマは「東大受験に向けた目標と行動計画の具体化」です。
私も講師として同席しており、全国の受験生にも参考になると思われる点がたくさんあったので、今回の記事では全編無料公開で、このプログラムについてレポートしたいと思います。
・東大合格に必要な才能とは何か?
回の冒頭では、財団の代表理事である西岡壱誠氏から奨学生の子たちに向けて、「東大合格に必要な才能とは何か」という話がありました。
以下はその内容です。

みなさんは「自分は才能がある人間だ」と思いますか?
「No」と答えた人が大半ですね。
でも、これは才能の定義によります。
ほとんどの人はきっと記憶力・理解力・読解力、地頭、応用力…
こういうものを思い浮かべたと思います。
でも、これだけで東大に受かるわけではないんです。
本当の才能っていうのは、もっとたくさんあります。
たとえば
・決められた期限までに課題を提出すること
・スキマ時間を活用して勉強すること
・アドバイスを素直に受け入れて努力できること
・自分の弱点を見て見ぬふりしないこと
・分からないことを分からないと言えること
こういったものも、受験においては立派な才能なんです。
そしてもっと大事なのは、東大を目指すこと。
当たり前のことですが、東大受験しようと思わなければ東大生には絶対になれませんよね。
ここにいるみなさんに間違いなくあるのは「東大を目指すという才能」です。
それぞれ色んな事情を抱えてこの財団の奨学金制度に応募してくれたと思いますが、みんなはもう既に、東大生になるために一番大事なこの才能を持っているんです。
いかがでしょうか。
おそらくこの記事を読んでいる多くの人も、「東大合格に必要な才能とは何か」という質問に対して、記憶力や読解力、計算の速さといった答えが思い浮かんだのではないでしょうか。
たしかに、東大生の中にはこれらの能力が高い人がいるのは事実です。
ただ、全員がものすごい記憶力や計算力の持ち主というわけではありません。
それよりもっと大きな共通点は、自分が東大に受かると信じて受験したことです。
そもそもチャレンジしなければ合格はありません。
これについては『ドラゴン桜2』でも同じことが言われていましたね。



以前の記事でも書いた通り、都市部と比べて地方の子たちは周りにモデルケースが少なかったり、周囲の大人の強い地元志向が影響したりして、「東大受験は特別なこと」という感覚を抱きやすい環境にいます。
経済的な支援だけでなく、こうした教育格差・意識の格差をなくし、挑戦の機会を創出することがドラゴン桜財団の設立目的です。
・足りない才能をどう補うか?
では、東大を目指すこと以外に「足りない才能がある」と感じる場合はどうすればいいのでしょうか。
答えはシンプルです。
今の自分に足りないものを言葉にして、それをどう補うかを徹底的に考えるのです。
これこそが受験における「戦略」です。
東大を目指すと口で言うのは簡単ですが、勝負の分かれ目は「では、今日から何をどう変えるのか?」という解像度をどこまで上げられるかにあります。
今の自分がどこにいて、入試本番までにどこまで行く必要があるのか。
そのギャップを埋めるために、今月は何をするのか、今週は何をするのか、そして今日机に向かった時に何をするのか。
受験は、この行動レベルの解像度を徹底的に高めていく勝負なのです。
足りない才能があるのなら、それを責めたり悲観したりする必要は全くありません。
先ほどの西岡氏の話の続きでは、以下のようなことが語られていました。
「東大を目指すこと」の他に足りない才能があったとしたら、工夫して補えばいいんです。
たとえば、目覚まし時計やアラームなしで朝起きれない人がいたとして、じゃあその人が「朝起きる能力がない」と言えるかというと違いますよね。
それなら目覚まし時計やアラームを使えばいいだけの話で。
それと同じで、勉強法でも習慣でも、自分に足りないものをまずは言語化して、それをどう補うのか戦略を立てればいいんです。
いくらでもやりようはあるのに、「自分には才能がない」であきらめてしまう人が本当に多くてもったいない。
僕は2浪して東大に受かったとき、周りから「西岡さんは才能があったんだね」と言われました。
でもそうじゃなくて、どうやったら合格レベルまで学力を上げられるかっていう戦略を考えて実行しただけなんです。
財団の奨学生として採択された6名は、すでに合格に近いレベルにいる子もいれば、まずは学習習慣を作るところから始める必要がある子、体調や生活環境の影響で思うように勉強に向かえない子など、状況は様々です。
それでも、まさにこうした「自分の弱さと向き合い、戦略を立てて行動できる」と確信が持てる子たちばかりでした。
彼らは自分の置かれた環境や過去を言い訳にしません。
「環境が厳しいから無理だ」と諦めるのではなく、「環境が厳しいからこそ、自分が変わることで証明したい」という強い姿勢を持っています。
私もこのプログラムの会場で実際に彼らと会話し、勉強のアドバイスを送りましたが、みんな人の話を聞く姿勢を持っていて、自分の弱さを誤魔化さずに向き合おうとします。
単に支援してもらうことに甘えるのではなく、「この機会を使って、自分が変わるんだ」という覚悟があります。
今の自分を直視し、理想との差を受け止め、その差を埋めるために行動し続けられる彼らの姿を見て、西岡氏も「我々の目に狂いはなかった」と強く確信したそうです。
・すべてはここからがスタート
こうしてプログラムの後半では、奨学生が自身の戦略を言語化した後、現役東大生を中心としたメンターたちが奨学生1人1人についてアドバイスを行い、具体的な学習スケジュールや行動目標を作成する時間が取られました。
プログラム終了後、具体的な学習スケジュールを手に会場を後にする奨学生たちの顔つきは、開始前よりもずっと引き締まり、目指すべき道が明確になったような力強さを感じさせました。
彼らの東大受験に向けた本当の戦いは、まさにここから始まります。
この記事を読んでいるみなさんの中にも、高い目標を前にして「自分には特別な才能がないから」と足踏みしている人がいるかもしれません。
しかし、挑戦する前から自分の限界を決めてしまう必要はどこにもありません。
「目指す」という一番大切な才能を発揮し、足りないものは戦略と行動で補っていく。
そのプロセスそのものが、結果以上にみなさんを大きく成長させてくれるはずです。
・おわりに
今回お伝えしたように、ドラゴン桜財団では奨学生1人1人の現在地をしっかりと把握し、必要に応じて個別ミーティングやメンターの配置を実施し、それぞれが持続可能な形で挑戦できる伴走支援を行っています。
さらに、惜しくも奨学生としての採択には至らなかった応募者の方々に対しても、挑戦しようと勇気を持って応募してくれた想いに応えるため、月1~2回のオンラインプログラム等を通じた、可能な限りのサポートを提供しています。
これからも自身の可能性を信じて壁に挑む若者たちに寄り添い、財団としてできる限りの支援を全身全霊で続けていきます。
そしてこのマガジンでは、今後も奨学生たちの奮闘の様子や、全国の受験生の背中を押す情報・考え方を引き続き発信していく予定です。
ぜひ彼らの挑戦を温かく見守っていただくとともに、この記事がみなさん自身の挑戦の一歩を踏み出す糧になれば幸いです。
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