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七十二候「半夏生」~夏の初めに広がる白雪の景色。建仁寺・両足院の半夏生で涼を味わう~

心浮きだつような7月を迎え、2日はちょうど、一年の折り返しにあたる日。季節の歩みとともに、七十二候も「半夏生(はんげしょうず)」へと移り変わりました。

題名にあります「七十二候(しちじゅうにこう)」とは、いにしえから日本で大切にされてきた、季節の移ろいを知るための暦です。一年を二十四節気(にじゅうしせっき)よりも、さらに細やかに七十二もの季節に分け、その時々の鳥のさえずりや草木の美しい変化を、やさしい言葉で伝えてくれています。

いにしえの農家は、この暦を頼りに、種まきの時期や刈り入れの時期を決めていました。草木や生き物たちの営みが、農作業の目安になっていたのです。

なかでも半夏生は、農家にとって大切な節目となっています。この時節までに田植えをすませていなければ、秋の実りが少なくなってしまうといわれてきました。

半夏生(はんげしょう)とは薬草の「カラスビシャク」のことで、夏の半ば、今の暦で言えば7月ごろに花を咲かせることからこの名がついたといわれています。みずみずしい緑の中にひっそりと白い花が広がる、とても涼やかな季節の始まりです。

さて、7月に入ると、街のあちこちから「山開き」や「海開き」の便りが聞こえてきます。山開きは夏のレジャーの始まりを告げる催しと思われがちですが、その根底にあるのは、古くから山を敬い、神仏を拝んできた山岳信仰です。

富士山のように霊験あらたかな名高い山には、かつては山伏や修行僧しか足を踏み入れることができませんでした。しかし、江戸時代を迎えると、夏のごく限られた短い間だけ、市井の人々にもお参りのための山登りが許されるようになります。神様にお許しをいただき、山へ入るこの習わしこそが「山開き」の始まりでした。

やがて、その始まりを告げる日や行事を指す言葉となり、今へと受け継がれています。「海開き」もこれにならったものです。

山の神様、海の神様につつがなく過ごせることを願いながら、夏の暮らしに思いを馳せるのも、心豊かな時間ですね。


半夏生の花

そんな夏の訪れを感じながら、建仁寺の塔頭(たっちゅう)である両足院へと足を運んでみました。こちらでは今、半夏生が盛りを迎えており、ひとときの涼をいただくことができます。
ちなみに、両足院の半夏生は、暦の由来となったカラスビシャクではなく、
「カタシログサ」と呼ばれている植物です。

建仁寺北門

建仁寺の北門は、多くの観光客で賑わう花街・祇園、花見小路通の突き当たりにあります。境内に足を踏み入れると打って変わって、しんとした静けさに包まれます。建仁寺境内の東側に並ぶ塔頭(たっちゅう)の一つに、両足院(りょうそくいん)がひっそりと建っています。

両足院毘沙門天の門

「【本尊】阿弥陀如来」

関東の名族・千葉氏の血を引き、下総国香取郡(千葉県香取市周辺)で弘安7年(1284年)に生まれた入元僧、龍山徳見(りゅうざんとくけん)禅師。この禅師を開山として創建された「知足院」に始まり、のちに「両足院」と改称された臨済宗建仁寺派の塔頭寺院です。

境内には毘沙門天が祀られていることから、勝運向上・商売繁盛のご利益があることはもちろん、祇園花街にあり、芸舞妓さんが「素敵な旦那さんに巡り合えますように」と熱心に参拝をした歴史から、良縁成就・芸事上達の強力なご利益で広く知られています。


毘沙門天堂と狛虎

狛犬ならぬ、めずらしい「狛虎(こまとら)」。

毘沙門天のお使いが「虎」ということで阿吽の像として一対の虎が静かに守りについています。


特別拝観の案内看板

両足院はふだん、方丈や書院は一般には公開されていません。半夏生が美しく映えるこの時節だけ、特別にお庭を拝見することができます。

目の前に広がる白雪のような半夏生

方丈からお庭を望むと、新緑の中にうっすらと白雪が降り積もったかのような景色が広がっていました。「綺麗…」と言葉がこぼれていました。

方丈からの眺め
方丈から書院へ

歩みを進めるにつれて、また違った表情のお庭に出会えます。

書院正面より庭を望む

書院に入ると腰を下ろし、この美しい景色を、心ゆくまで愛でていました。

書院から方丈に向かって

しばしの間お庭を眺め、しんとした静けさに身を委ねていました。
さわやかな風が吹き抜け心が洗われ、涼を目でも身体でも感じる、この上ない時を味わいました。

賑やかな祇園のすぐ近くにいることが信じられないようなひとときでした。


切り絵御朱印

美しく、そして涼しげなお庭をあとにし、清々しい心地のなか、繊細な切り絵御朱印を授かりました。

夏の暑さを疎むのではなく、愛おしみながら、心穏やかに過ごしていきたいものですね。


最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
どうぞ、夏を健やかにお過ごしください。




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