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【読書記録】春にして君を離れ/アガサ・クリスティー

読書記録

#春にして君を離れ
#アガサ・クリスティー

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ミステリーの女王が描く、事件の起きない、しかし殺人事件よりも恐ろしい物語です。読み終わった今も、胸の奥に鋭い痛みが残っています。

物語の始まり、主人公のジョーンに対する印象は「なんと自己肯定感の高い女性なのか」というものでした。
見た目の若さを保ち、家の取り回しも上手。家族の幸せな今があるのは、すべて主婦としての自分のおかげだと思っていることが、彼女自身の語りから見えてきます。

しかし、旅の途中の足止めによって、彼女は「考えること以外、何もすることがない」という過酷な時間に直面します。逃げ場のない砂漠の駅で、彼女が何を考えてしまうのか。そこから物語は動き出します。

どの立場で読むかで、世界はガラリと変わる
この作品の凄みは、読者が「どの立場」で物語に参加するかによって、感じる気持ちが大きく変わる点にあります。 母として読むか、子どもとして読むか、あるいは夫として、あるいは冷ややかな傍観者として読むか。

読み進めるうちに、私は「これは呪いだ」と強く感じました。

大学への進学、手に職をつける専門職、母のお眼鏡にかなう結婚相手。
私自身、かつて母からかけられたその呪いに、今もまだ絡め取られています。この物語は、そんな私の過去と現在にまっすぐ切り込んできました。

放たれる呪い、受け継がれる呪い
そして何より恐ろしかったのは、被害者としての自分を自覚すると同時に、加害者としての自分にもふと気づかされてしまったことです。

母となった今の私はどうでしょうか。
周りからどう見られるかを気にし、子どもたちを自分の思い通りにしようとしていないか。
気がつくと、自分が子どもたちに「呪い」をかけようとしていることにふと気づいて、ハッとさせられます。

ふとした瞬間に自省の念が押し寄せ、物語の鋭い刃が、あらゆる角度から自分の心にグサグサと刺さるのを感じました。

恐ろしいほどの結末、生き方が映し出される鏡
小説とは、読む人の生き方によって受け止め方が違うものです。しかし、これほどまでにそれを感じる物語は、ほかにないかもしれません。

自分の中にあるコントロール欲、家族への執着、そして愛情という名の支配。 目を背けたくなるような人間の心理をこれでもかと描き出したこの物語は、私にとってさまざまな角度からグサグサと刺さる、特別な一冊となりました。

何よりも、その終わり方が恐ろしいくらいに刺さって、本当に怖かったです。 あの静かで逃げ場のないラストシーンの後味は、本を閉じた今もなお、私の日常のすぐ隣で冷ややかに息づいています。

女の愛の迷いを冷たく見すえ、繊細かつ流麗に描いたロマンチック・サスペンス

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……

内容紹介(Amazonより)

今読んでいる本

#こうやって作家は言葉を紡ぐ
#小川哲

わたしの推し、小川哲さんの対談鼎談集
やっと本屋さんへ行けて入手できました

あなたが何気なく読んでいた一文にも、目に見えない思考の痕跡がある。なぜこの順番なのか。なぜこの視点なのか。なぜこの言葉なのか。本書は、言葉を生み出すプロセスに潜む「思考の動き」を解体する。

内容紹介(「BOOK」データベースより)

小説もいいけど自分語りもいい


最近購入した本

#女王陛下に捧ぐ 、王家の宝の在処
#市塔承

大学院生の青年エリメは戦火に巻き込まれ傷を負い、遠い故郷の実家で目を覚ます。療養で暇を持て余し、手に取った一冊の本。それは「女王陛下に捧ぐ、王家の宝の在処」というむかし実在した宰相の筆による小説なのだという。軽い気持ちで読み始めたエリメを待っていたのは、九天九地に比類なき物語の迷宮。そして、歴史の砂に埋められた国家の秘密だった。最奥へと誘う〈声〉がこだまする。第66回メフィスト賞受賞作。

内容紹介(「BOOK」データベースより)

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