クスノキの女神/東野圭吾【読書記録】──記憶を超えて届くもの


あのクスノキのもとへ、再び
前作『クスノキの番人』を読んだのは、ちょうど2年前のこと。
クスノキに宿る不思議な力、そしてそこに関わる人々の人生を描いた物語に、心を奪われました。
今作『クスノキの女神』も、その世界観の中で物語が紡がれていきます。
クスノキに託された願いや想い。
時を超えて伝えたいことが、静かに、でも確かに人の心を動かしていきます。
伝えたいのに、伝えきれない
どれだけ近しい関係でも、記憶や思考をすべて共有することはできません。
それでも、何かを伝えたいと思う気持ちは、きっと残る。
本作では、親子という存在のもどかしさと愛おしさが、クスノキの力を通して丁寧に描かれていました。
「言葉にできないことも、想いとして残る」
そんなメッセージが静かに沁みてきます。
玲斗の優しさと成長がまぶしい
主人公・玲斗は前作に引き続き、クスノキの番人として登場します。
どこか不器用だけど、芯には優しさがある。
そんな彼の人間らしい一面が、今作でも微笑ましく描かれていて、読んでいてほっとしました。
玲斗が見つめた人々の想い。
そして彼自身が抱えた葛藤。
ページをめくるたびに、彼の成長と温かさが心に残りました。
言葉にはしないけど、たしかに残るもの
この作品には、たくさんの「語られないもの」が描かれています。
それは時に、沈黙だったり、手紙だったり、クスノキを通した願いだったり。
それでも、人の優しさや後悔や希望は、確かにそこにあって。
読むたびに、「わたしも大切な人に何を残せるだろう」と、ふと立ち止まりたくなります。
作中の絵本が、現実の本に──『少年とクスノキ』
物語の中で登場する絵本が、実際に出版されています
その絵本のタイトルは『少年とクスノキ』。
文は東野圭吾さん、絵はよしだるみさん。
物語の核となる「想いを残すこと」「言葉を超えて伝わるもの」が、やさしく、美しく表現されています。
小説を読んだ後に手に取ると、物語の余韻がさらに深まる一冊です。
親子で読むのもおすすめです。
神社に詩集を置かせてくれと頼んできた女子高生の佑紀奈には、玲斗だけが知る重大な秘密があった。
一方、認知症カフェで玲斗が出会った記憶障害のある少年・元哉は、佑紀奈の詩集を見てインスピレーションを感じる。
玲斗が二人を出会わせたところ瞬く間に意気投合し、思いがけないプランが立ち上がる。
不思議な力を持つクスノキと、その番人の元を訪れる人々が織りなす物語。
待望のシリーズ第二弾!
過去の【読書記録】はこちら
短歌も投稿しています
過去の【my tanka】はこちら


