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リチャード・ギアのトランプ批判は我々日本人にも向けられたもの -我々は関心を払わず、投票せず、真剣に耳を傾けなかった

 アメリカの俳優のリチャード・ギアはノルウェー「オスロ・フリーダム・フォーラム」で、トランプ大統領について「なぜこんなことがあり得るのか。我々が眠り込んでいたからだ。我々は関心を払わず、投票せず、真剣に耳を傾けなかった」と語り、自分も再選を阻むための運動に十分に取り組まなかったと反省の言葉を口にした。

 さらに、「私たちは、私がこの地球上で経験した中で最も暗い時代を生きている」と述べ、「兆候を見逃してはならない。怪物たちの独裁が、いかに性急に進むかを。警戒を怠ってはならない」と訴えた。

 日本でも高市政権が成立すると、国民生活に重要なインフレ対策や日本関連の船舶のホルムズ海峡通過問題などに十分に取り組まず、まさに国家的危機を迎えようとしている。6日もTBS「報道特集」では中東危機を原因とする肥料や燃料の高騰と資材不足などで農家が極めて苦しい経営状態にあることを伝えていた。国民生活は厳しい状態にあるのに、高市政権が推進するのは国旗損壊罪とか、国家情報会議といった国民生活とは関係のないタカ派的政策ばかりだ。

 高市首相はイランのペゼシュキアン大統領と電話会談してもわずか15分、これではホルムズ海峡を通してもらいたいという切実な想いが伝わってこない。高市首相はトランプ大統領やイスラエルのネタニヤフ首相にまったく不要で、不当な戦争を停止するよう求めたり、あるいは米国・イスラエルとイランの間の調停を行なったりすべきだろうが、そのような姿勢は微塵もない。

 国会は中傷動画の問題で揺れているが、不誠実な首相の政権が成立したのは、リチャード・ギアが言うように、我々日本人も眠り込んでいたからだ。優柔不断で、決断力、行動力に欠き、関心にあるのは中国との軍事的緊張や日本の軍拡、米国との軍事的一体化のみという高市首相では国難とも言うべき現在の危機には到底対処できそうにない。

 2021年8月に米軍がアフガニスタンから撤退した時、高市氏が国会で議論したのは、邦人救出のために、カブールの空港だけでなく、市街地などでも自衛隊が銃器を使えるような法改正をというものだった。アフガン問題で高市氏の関心にあったのは、この国の平和創造などではなく、自衛隊の派遣や、その現地での活動だった。アフガニスタンで平和創造を考え、一生懸命に現地の人々の支援を行った中村哲医師とは真逆な発想だった。

 高市氏は、国民が眠っていれば、戦争やファシズムはあっという間にやってくるという「貴重」な教訓を日本人に与えている。中傷動画の問題で高市氏は苦しい立場に追い込まれているが、これは悪い政治の流れを断つ良いチャンスだと思っている。

 ファシズムは特に軍事力を重んじるが、トランプ大統領は今年に入って、ベネズエラ、イランに軍事介入し、次はキューバだなどと言っている。同様に高市氏は中国との緊張を煽り、防衛費の大幅増などで支持拡大を図っている。ファシズムは帝国主義的発想に立ち、ナチス・ドイツは「東方への衝動」( Drang nach Osten)を唱え、スラヴ地域にドイツの勢力を拡大することを目指したように、トランプ大統領は国際法など無視してグリーンランドの領有を口にする。高市政権を同盟勢力と考えるイスラエルのネタニヤフ首相はヨルダン川西岸、ガザ、レバノン南部に領土を拡大しようとしている。高市氏は日本とは何の関係もない台湾海峡の問題に口を出して、アメリカ帝国主義と一体となりたいかのようだ。

 リチャード・ギアが基調講演を行った「オスロ・フリーダム・フォーラム」は、アルジャジーラがこのイベントを「抑圧的な政権に挑戦する人々に発言の場を与えるもの」と表現したように、独裁体制、権威主義体制、人権侵害に対して世界の人々の連帯や協力を促すというものだ。

ヘブロンでは住民がイスラエル人極右の暴力を怖れて町中を自由に歩ける雰囲気ではない


 高市氏の問題が小泉進次郎氏や林芳正氏など自民党議員たちに向けられた中傷であるにもかかわらず、自民党議員たちからはいっこうに批判の声が上がらず、批判するのは野党の議員ばかりだ。これでは、自民党は発展途上国に多く見られる言論の自由がない独裁体制や権威主義体制と何ら変わらない。

自民党議員たちはどうして声を上げない?


 リチャード・ギアは今年2月、スペイン・マドリードで開かれたゴヤ賞の受賞スピーチの中で、ドナルド・トランプを「いじめっ子」で「悪党」だと形容して非難し、世界的な権威主義の台頭に対して警鐘を鳴らした。権威主義が世界を支配する中で、「私たちの生活のすべてに、基本的な優しさ、基本的な愛と理解をもたなければなりません。」と訴えた。

 ギアはこのように普遍的な愛を強調するが、マザー・テレサは「愛の反対は、憎しみではなく、無関心です」と述べた。「オスロ・フリーダム・フォーラム」の設立主旨のように、私たち日本人には勇敢にまた精力的に他国の人々と協力しながら無関心を戒め、偏狭なナショナリズムに基づく平和とは逆行する政治に対抗する声を不断に上げ、権威主義の悪い流れを断つことが求められている。

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