イスラエル政府による招待と旅費でイスラエルを訪問した国会議員たち ―ジェノサイドを行う国との「友好」と武器購入の重大な勘違い
今年1月4日から7日にかけてイスラエルを訪問した超党派の国会議員たちには、昨年7月1日付でイスラエル政府から招待状が出され、2月15日、『赤旗』がこの招待状を掲載して「徹底検証」を行っている。航空運賃、現地での宿泊・移動費はイスラエル外務省が負担し、現地でのアポとりなどの便宜もイスラエル政府が供与すると招待状には書かれてある。

この招待がガザ攻撃で国際的なイメージや信用を低下させたイスラエル政府によるPR活動の一環であることは言うまでもないが、招待状には「友好を促進するため」と書かれてあった。イスラエル政府から招待された小野寺五典自民党安保調査会長の✕(旧ツイッター)には「#ガザ #停戦合意 #復興支援 #ヘルツォグ大統領 #パレスチナ」というハッシュタグが並んでいるが、#ガザや#復興支援などはその訪問目的を隠すためとしか思えない。ガザの人道外交議連の勉強会にほぼ毎回出席したが、小野寺氏の姿を見ることは一度もなかった。彼がガザの人道問題や復興に関心を寄せているとは到底思えない。小野寺氏の26年1月10日付けの✕には下のように書かれてあるから、イスラエル兵器の性能調査が訪問の主目的だったようだ。
今回のイスラエル訪問では、全党の政権中枢との和平促進や復興支援に向けた会談に合わせて、防衛政策の情報収集も。イスラエルの多層化された防空システムにおける実践でのミサイルとドローン対処能力は高精度で、日本のミサイル防衛にも重要な情報でした。
https://asahi.com/sp/articles/ASTD37K8LTD3UHBI005M.html
昨年のイスラエルとイランの紛争では、イランから発射された500発の弾道ミサイルの86%をイスラエル軍が撃墜。更にヒズボラから発射されたドローン1000機は殆どイスラエルの迎撃システムが撃墜したとのこと。 日本を取り巻く安全保障環境は戦後最悪にあり、イスラエルをはじめ各国との情報交換・技術交流を進める中で日本の抑止力をしっかり向上させて参ります。 #イスラエル #防空システム #防衛政策 #抑止力

小野寺氏は「費用も含めてイスラエル政府の支援は一切受けていない」というが、招待状にはイスラエル政府がすべて負担すると書かれてある。イスラエル政府から旅費などの便宜を受け、イスラエル製兵器を購入するということになれば、政治家として倫理を厳しく問われるだろう。
旅費の問題以前に、ガザでジェノサイドを行っているイスラエル政府首脳と会談の機会をもつこと自体が道義的に責められても仕方ない。イスラエルは23年10月以降、武器をもたないガザの子どもや女性、高齢者7万人以上を殺害し、昨年10月10日に停戦が発効してからも500人以上のガザの人々を殺害している。スペイン政府はイスラエルへの武器売却を一切停止したが、ヨーロッパではイギリス政府などにもイスラエルへの武器禁輸を求める声はずっと継続している。

小野寺氏が関心を寄せるイスラエルの無人航空機(UAV)、すなわちドローンはイスラエルの戦争経済において重要な構成要素であり、イスラエルはドローン技術の先進国であり、2017年時点で世界のドローン輸出の60%以上を占めている。(Royal United Services Institute (RUSI). (2018). Royal United Services Institute (RUSI). (2018). Armed Drones in the Middle East: The Proliferation of UAV Technology and Norms in the Region.)
イスラエルの軍需生産の70%から80%が諸外国向けとなっている。武器輸出はイスラエルの工業輸出収入の約25%を占めており、武器売却がイスラエルの経済・貿易においていかに重要かを示している。2014年から18年の期間、イスラエルは世界で8番目の規模の武器供給国としてランクされ、世界の武器取引の3.1%を占める。(SIPRI Fact Sheet)イスラエルのジェノサイドを止めたり、抑制したりするにはイスラエルから兵器を買わないことも一つの手段となることは言うまでもないが、小野寺氏たちの動きはそれと逆行するものだ。
エルビット・システムズやラファエルなどのイスラエルの兵器製造業者は、ガザとの紛争での実績を利用して、アイアン・スティング誘導迫撃砲弾、スパーク・ドローン(多目的無人航空機〔UAS)〕)、さまざまな監視ツールなどの軍需品を諸外国に売却している。

ガザ地区は長年、人権団体やジャーナリストなどからイスラエルの兵器、監視技術、AI駆動型軍事システムの「実験場」と形容されてきた。これらのシステムはその後、「実戦テスト済み」として世界的に売却・輸出されている。ガザなど人口密度の高いパレスチナ人居住地を新兵器開発のために利用し、イスラエルの軍需産業が技術を改良し、売却益を増やしてきた。
1月上旬にイスラエルを訪問した小野寺氏など日本の国会議員たちはそうしたイスラエルの人道に反する武器開発を問題にすることなく、日本の安全保障に役立てると言っているが、国際法に違反してジェノサイドを行うイスラエルを訪問することも、またパレスチナ人を実験の対象として開発されたイスラエル製武器を輸入することも、人道・倫理に反するふるまいであることは今さら強調するまでもないだろう。

※表紙の画像は1月上旬にイスラエルを訪問した国会議員たち
