走りたがるこどもの手を引っ張り
見られないように叱りつけながらも、
落ちたマスカラごと袖で拭く。
積載量超過の自転車を持ち上げてから
確認したメールに今でなくてはと、
画面に水滴を落としてまで出す。
しがみつく重さを引き剥がしながら歩く、
その歩調がズレる分だけ
拍を数えられなくなっていく。
自分の時間の中で
最速の早拍子で送る毎日を
見送っている隙に
変拍子で手を叩けなくなる。
呼ぶ声の波の幅を測ればよかった。
ただの一拍しか、かからなかったのに。
だからどんどん早まる。
届かなくなる。
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