曖昧なまま、生きてゆく。
23時を過ぎても、画面は青白く光っていた。
VSCodeに並んだ赤い波線を、
ひとつずつ追いかける。
直しても直しても、まだ終わらない。
血の海だ。
ふと、手が止まった。
「私はなぜ、こんなことをしているのだろうか?」
子どもの頃に何百回も聴いたお気に入りの歌が、
脳内再生される。
なんのために生まれて、
なんのために生きるのか。
わからないまま終わるのは、嫌だ。
まあ、その通りだ。
この瞬間、何かが少しずつ、ほどけ始めた。
☕
*「まあ何とかなるだろう」
が口癖だった*
新卒でシステムエンジニアになった。
口癖は「まあ何とかなるだろう」。
深刻に考えるのが苦手な性質なのだ。
華金には同期や先輩とよく飲みに行った。
それはそれで、楽しい時間だった。
人生最高!!って感じ。
ただ、ふと、
むなしさが押し寄せることもあった。
終電を逃し、
一万円をはたいて乗るタクシーの車内。
酔いの残る頭で、一人、歩く夜道。
🌙
「何とかなる」と思いながら、
何ともなっていない自分を、
見つめざるをえない場所であった。
*すべてを丸投げした日のこと*
🚬
退職代行に、すべてを頼んだ。
このことを、両親も夫も、まだ知らない。
墓場まで持ってゆくつもりだ。
すべてが終わるのを待つ間、
私は近所のスーパー銭湯にいた。
熱い湯に浸かりながら、
なんだか禊を受けているような気分だった。
風呂上がりの一杯と一服。
そりゃあもう、人生で一番うまかった。
至福のひと時。
当分、こんな経験はできないだろう。
そう思うと同時に、
自分はまるで藻屑のような人間だとも思った。
それもまた、事実。
私が選択した現実だった。
不思議な感覚。
まるで白昼夢だ。
*曖昧なまま、生きる*
⛅
現在の私は、派遣社員として生きている。
非常に曖昧な存在だ。
正社員でもなく、完全な自由業でもない。
肩書きとしては、どっちつかず。
その曖昧さに居心地の良さを感じている。
退勤後、時間に余裕ができた。
そのおかげで、自分の輪郭を取り戻しつつある。
いろいろな物事をかじっては飽き、
かじっては飽きを繰り返すスタイル。
紛れもなく自分自身だ。
「なんのために生きているか」なんて、
わからないまま進んでもいい。
あの夜の問いかけに、今ならそう答えられる。
★
そうこうしているうちに、
少しずつやりたいことが生まれてきた。
まだ言葉にするのは、少し早い気もする。
ここに書くことは、夢への第一歩。
そして曖昧な生への肯定だ。
★
もしこの文章が
誰かの心を少しでも軽やかにできたのであれば
それ以上のことはない。
