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今日も無視されて幸せ。

全国の動物好きの皆さま、猫はお好きですか?


私はもちろん大好きです。


ただし、これまでの人生、猫さんと暮らした経験はゼロ。

つまり私は、愛だけは一人前の未経験者です。


先日、ある猫飼いの方がよく読まれる雑誌を拝読いたしました。



そこには最新のデータとして、猫の平均寿命は14.5歳、犬は14.1歳と記されています。



「ふむふむ、、
獣医療の高度化のおかげで寿命が安定して延びているのねぇ」

と、納得しかけて、私は椅子から転げ落ちそうになりました。



えっ、15歳前後って、もうご長寿の扱いなの?

、、私の感覚が根本からバグっているのかもしれません。



というのも、、


私の父方と母方の両実家では、猫といえば30年生きるのが当たり前🖐️
という、ギネス記録に真っ向から喧嘩を売るような猛者たちが闊歩する環境だったのです。


私の常識では、15歳なんてようやく中二病を卒業したかどうかの若造。



それなのに世間ではもう高齢者扱いだなんて、なんだか自分の祖父母の猫たちが時間の概念を無視した異次元生物だったような気がして、軽いパニックに陥っております。



皆さまの愛猫ちゃんはいかがでしょうか?


15歳と聞いて「もうおじいちゃんだね」と労わっていますか?


それとも我が家のように「おい、まだ3分の1だぞ」と背中を叩いているのでしょうか。



父方の実家に君臨していた猫は、まさに昭和の荒波をクロールで泳ぎ切ったような猛者でした。



首輪や去勢手術こそ受けてはいたものの、彼女の魂はどこまでもワイルド。


時代やど田舎という環境もあって、毎日悠々と街へ散歩に出かけては、山から降りてきた狸と血だらけで喧嘩をして帰ってくるのが日課という弱肉強食の体現者だったのです。



ボロボロの耳、数々の名誉の負傷。


それなのに夕方になれば、定位置である自分の小屋へ自分から入り、おばあちゃんが鍵をかけてくれるのを「やれやれ、今日も疲れたわ」という表情で待つ健気なルーティンを持っていました。


そんな戦士のような生活を送りながら、彼女は結局30年近く(恐らく30年以上)、その鋭い眼光を失うことなく生き抜いたのです。



一方、母方の実家にも、完全室内飼いでありながらやはり30年近く(恐らく30年以上)生存した伝説の猫がおりました。



こちらは外の世界には一切出さず、窓辺で陽光を全身に浴びて溶けているような平和主義のお嬢様タイプ。



しかし、共通しているのは、その驚異的な生命力だけではありませんでした。


彼女達には、もう一つの残酷な共通点があったのです。


それは、おばあちゃん以外の人間に対して信じられないほどの塩対応を貫いたことです。



おばあちゃんがひと言喉を鳴らせば、彼女達はまるで天使の羽が生えたかのような愛らしい声で「ミャァ」と神対応で何度も会話をし、まん丸な目をして足元にすり寄ります。



ところが、私が意を決して、お年玉をはたいて買った最高級で大好物のお刺身をそっと差し出しても、
「は?お前、まだおったんか?毒でも盛ったんか?」と言わんばかりの冷たい視線を一瞥だけ寄越し、そのままプイッとスルー。



一応、私はこの家の孫なんですけどね。


血、繋がってるはずなんですけどね。




私の切ない心の叫びは、猫たちのフワフワの耳をかすめることもなく、おばあちゃんへの一途な愛の影に消えていきました。



主に選ばれた人間だけが許されるあの幸福な世界。



私はその扉の外で、ただお皿を持って立ち尽くす、名もなき給仕係でしかありませんでした。



今になって、あの切ない日々を冷静に振り返り、最新の獣医学データと照らし合わせてみると、一つの仮説にたどり着きます。


猫たちの長寿の秘訣は、私の空回りする重すぎる愛ではなく、おばあちゃんのいい意味での適当さにあったのではないか、と。



長生きしている猫の共通点として飼い主がいい意味で適当であることや、過干渉しすぎない放置が挙げられているのです。



おばあちゃんは、猫が寝ていれば絶対に起こさないし、無理に抱き上げることもしませんでした。



猫を一つの独立した人格(猫格?)として尊重し、干渉しない。


少なからずこの適度な放置が、猫のストレスを極限まで減らしていた可能性があるのです。



良かれと思って、少し鳴けば飛んでいって抱きしめ、毛並みが少し乱れればブラッシングの強要。


けれどデータによれば、12歳以上の猫の実に74%が変形性関節疾患を抱えています。



彼らにとって、人間の熱烈なハグは嬉しい愛情表現どころか、関節に響く重労働だったのかもしれない、、。



また、3歳以上の猫の70%以上が歯科疾患を抱えているという驚きの数字もありました。


歯周病がある猫は、そうでない猫に比べて腎臓病のリスクが3倍も高まるという報告すらあるのです。

おばあちゃんは、歯磨きこそしていませんでしたが、猫が痛がらない距離感を保ち、彼らが静かに隠し持つ痛みにストレスを上乗せしない達人だったのかもしれません。



構いすぎという名の愛の重圧。


それが猫の寿命を縮めているのだとしたら、私の片想いは文字通り重罪だったことになりますよね。



1日150mlを目安とした水分摂取の工夫や、5%以上の急激な体重減少を見逃さないチェックなど、今の私たちができるケアはたくさんあります。



けれど、祖母の猛者猫たちが教えてくれた最大の教訓は、一途におばあちゃんだけを追いかけ、あとの人間は風景の一部として無視するという鋼のメンタルが、何よりも彼女達の体を守っていたという事実です。



数年前に虹の橋を渡った彼女たちを思い出すとき、今でも胸がツンと痛みます。


でも、あのおばあちゃんへの甘い鳴き声と、私へのゴミを見るような冷ややかな視線のコントラストを思い出すと、不思議と笑顔になれるのです。




今、目の前の愛猫に無視され、寂しい思いをしている方がいらっしゃるのであれば。


安心してください、おめでとうございます。


あなたの猫ちゃんは、ストレスフリーで長生きする準備が万端です。


私たちの愛が届かないその距離も、彼らにとっての安全地帯なのかもしれません。


今日も無視されて幸せ。



元気でいてくれるだけで感謝。



いつか虹の橋のたもとで再会したときに「あぁ、あのときの刺身を持っていた奴か」と、ようやく一瞥してもらえる日を夢見て、、🌈

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