長年放置していた膝の痛み。初めて整形外科に連れて行ったら手術レベルだった。レントゲン検査での看護師さんの文句を言い続ける義母【義母と嫁のラプソディー第5話】

義母は室内でもT字杖を使って歩くほど、両膝に痛みがあります。しかし、今までその痛みの原因について、整形外科を受診したことがありませんでした。
義母に「その膝の痛み、整形外科で診てもらっているの?」と聞くと、
「整形外科には行っていない。いつも行っているところ(内科)で痛み止めと湿布をもらっているよ」というのです。
こんなに、イスからの立ち上がりから歩き出しまで時間がかかって、痛みもあるのに、「専門医を受診する」という発想そのものが無いようでした。
義母に限らず、高齢者の病気や体調不良の認識って「体のどこか悪いのは、歳だから」で済まされるケースが多いですよね。
「医者にかかること」はすごく具合が悪くなってから、という価値観で育ってきた高齢者層なので仕方ありません。
しかし、私は医療福祉に携わってきたせいか、その原因を究明しないことが不思議でなりません。
地域包括支援センターや、デイサービスに勤めていたときも、体調が悪くても長年放置しているケースや、もっと早く受診していればここまで悪くならなかったのに、と思うことがよくありました。
さすがに見過ごせないケースもありました。息苦しさを訴えるデイサービスの利用者。動けないし、足のむくみも顕著で、もう受診必須と説明しましたが、本人は「もう歳だし、死ぬからいいんだよ」と言います。見かねた私は「だれでもいつかは死ぬでしょうけど、なにも苦しみながら死ぬ必要ないでしょう!」と言うと、「そうだねぇ」と苦笑いされました。やさしくないことは承知です。
とは言え、これ以上歩けなくなったら困ります。
マジで寝たきりまっしぐら。歩けない→自宅で一人で生活できなくなる→施設入所という未来がちらつきます。予想できる未来はなんとかしなければなりません。
私は、「義母の膝の具合を心配する良い嫁」を装いながら、整形外科に初めて受診に連れてゆきました。
整形外科では、診察の前に当然のようにレントゲン検査がありました。しかし、膝の痛みが強いため、レントゲン台に仰向けにはなれても横向きに寝返りができず、看護師さんに寝返りを手伝ってもらったようでした。
レントゲン検査の結果を踏まえて、診察となりました。
結果は「両膝の軟骨がすり減りすぎて、全然無い状態です。本当は早くに受診していれば違ったんだけど。もう、手術しなくてはいけないレベル。
しかし、年齢と心臓病があるとのことなので、手術できないです。対症療法になりますが、2週間に1回、膝関節にヒアルロン注射をしましょう」
ということになりました。
たしかに、義母の膝の痛みはここ1〜2年の話ではなく、
本人曰く「10年くらい前から痛かった」との話でした。
この日はヒアルロン注射と、両膝を温める物理療法を受け、新たに痛み止めを処方され、義母のむくみでパンパンの足にも入るLサイズのサポーターも購入し、「また2週間後に来てくださいね」と先生にやさしく言われ、次の受診を待つのでした。
次の日、ヒアルロン注射のお陰で、以前より立ち上がりと歩き出しが目に見えて素早くなりました。
ところが、両膝に注射をした直後から、その周辺に広範囲の内出血が出現しました。
私は、注射をしたことと、義母が心疾患のため血液サラサラの薬を飲んでいることが原因であざができたのだと思っていました。
しかし義母は、「レントゲン検査で寝返りする時に、看護師さんに足をギュッと掴まれたから痛かった!手荒くやられた。注射も痛いから、もう整形には行かない!」と言い出しました。
いやいやいやいや。整形外科に行かない選択肢も無いですから!
「お義母さん、血液サラサラの薬を飲んでいる人は、ちょっとぶつけたりするだけでこんなふうになりやすいんですよ。それに、注射したから、すごく歩くのが早くなった!!!すごーーーい!注射効くんですね!」
とおだてまくりました。
義母も「そう言えば、膝が痛くなくなってきた。トイレの立ち座りが楽だもの」と、現金な反応。
「そうでしょ?やっぱり続けたほうがいいんですよ!!!先生もまた2週間後に来てくださいって言っていたでしょ?」とさらに持ち上げました。
さらに、味方であるはずの夫に、
「お義母さんが、看護師さんに足を掴まれて痛かったのと、注射が嫌だからもう行かないと言っている。あなたからも、受診を続けるように言って」と援護射撃を頼みました。
ところが、夫から返ってきたのは、
「でも、嫁ちゃんが勝手に連れて行ったんだから〜(笑)」 という、他人事にもほどがある、お気楽極楽なセリフ。
「はぁぁぁぁぁぁぁあ?????」
私の脳内で何かがブチ切れる音がしました。
「歩けなくなったら、誰が介護すると思ってんの?あなた、できるの??!!」 と、低い声で詰め寄り、夫を完全沈黙させました。
最終的には、「病院に連れて行ってくれてありがとちゃん……」という感謝の言葉を絞り出させ、一件落着。
みんな、なんで簡単に想像がつく「最悪になるかもしれない未来」が見えないのかね。
「注射痛いね、じゃあもう病院に行くのやめようね」
なんていう悪い方向に進む選択肢なんて、ありませんから!
その後も、義母のこだわりとの戦いは続きます。
「湿布が小さい」というので大きいサイズに変更してもらえば、
「やっぱり大きいから切って使ってる」と言い出し、
再び小さいサイズに戻すという、湿布の無限ループ。
待合室では、義母と同年代の方々による「年齢&病名マウント」混じりの自己紹介大会が開催され、
「お嫁さんに連れてきてもらっているの?いいわねぇ」という周囲の羨望の眼差しを浴びて、私は「デキる嫁」の皮を被りながらほくそ笑む日々。
極めつけは、サポーター。 最初に買ったLサイズは、義母のむくみでパンパンな足にはきつすぎたようで、気づけばなぜか「足首」に巻かれていました。
やむなく、「腹巻かよ」と思うほどの最大のLLサイズを購入しましたが、やっぱり膝をサポートすることなく、ただのレッグウォーマーになっていました…
いろいろありましたが、整形通院を数ヶ月続けた先日のこと。
義母が先生に
「注射が効いているみたいで、だんだん痛くなくなってきました!」
とニコニコと報告しているではないですか!
この瞬間、私の「義母の膝・完全攻略作戦」の勝利が確定しましたのでした。
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次回は、内科の先生からも心臓病を理由に「運転はもうやめたほうがいいよ」とアドバイスされた 編です。
