JR大阪駅御堂筋南口付近の「排除アート」を見てきました

マスメディアからの取材依頼
最近、朝日放送テレビ「newsおかえり」や共同通信から、話題になった「排除アート」に対するコメントの依頼がありました。もっとも、SNS上でもそうですが、切りとられた画像しか見せてもらってない段階では、断定できないと、ことわった上で、いずれも対応はしました。モノの意味/機能は、周辺環境との関係、すなわち都市の文脈によって意味が変わるからです。下記はテレビ局からの質問に対するメールの回答です。太字が質問、→以下の部分が僕のコメントになります。(その後、実際にどう放送されたのかは、確認できていませんが)。
・JR大阪駅に出来ているこのスペース、これは排除アートと言われるモノでしょうか?(下記、画像添付しております)

→周辺の状況がよくわからないので、ホームレスを排除するという意味での排除アートかどうかは断定できないが、立ち入り禁止の囲いが外された後、歩きにくい、転んで怪我しやすい場所になることは確実なので、望ましいとは思えない。
・排除アートとは?
→日本では、一般的にホームレスが寝そべれない、長居できないよう工夫された路上や公共空間においてデザインされたものを指す。もっとも多いのは、ベンチの真ん中に仕切りがつけられたもの。すでに広まったので仕方ないが、本来、「アート」という言葉は不適切であり、デザインと呼ぶべき。
・いつからどのような背景でうまれたのか?
→日本では90年代後半から注目されるようになった。
(有名なのは、新宿地下のダンボールハウス村を撤去した後の、先端を斜めにカットした円筒形のオブジェ群)バブル崩壊後に路上生活者が増えたこと、また自己責任論が跋扈したことなどで、行政が苦情などに対応して導入した。
・排除アートについての見解は?
→実は一般の人にとっても使いにくかったり、居場所を削っている。また体が弱っている健常者、高齢者、妊婦、災害時の避難民なども潜在的に攻撃している。
・海外では?
→アメリカでは少なくとも1980年代から登場し、アジアやヨーロッパにも存在する。ただ、海外ではアートという曖昧な言葉を使っておらず、「Hostile architecture(敵対的な建築)」や「Defensive urban design(防御的なアーバン・デザイン)」などで画像検索すると、いっぱい見つかります。
・賛否で注目を集めたとして大阪・横山市長がパブリックアートにすることも検討⇒それについてはどう? (その方が土地を知らない人も侵入しなくなるから良いなどご意見お伺いできれば幸いです)
→この質問は添付の写真がパブリックアートになる、ということでしょうか?本来パブリックアートならば、制作したアーティストの名前や作品タイトルを記したプレートが必ず設置されるはずですが、それはつくのでしょうか?それがなければ、「アート」とは呼べません。排除や行動を制限する目的をもった「デザイン」かと。
そこで現場に行ってきました
その後、すぐ大阪に立ち寄る機会があったので、御堂筋南口の現場を見てきました。以下に数枚の写真をあげておきます(またそのすぐそばの様子も)。共同通信の取材では、歩道橋の下と聞いていたので、自転車の駐車を制限するものかもしれないと答えたのですが、やはり「駐輪禁止」や「駐車禁止」と大きく書いてありました。仙台などでも歩道橋の下を完全に柵で囲い込んで、自転車を止められないようにしているケースが見受けられます。もっとも、これは市民のマナーが悪いという単純な問題でもなく、行政が十分な自転車置き場を設けていない側面もあると思います。街にゴミ箱が全然ないという件も、海外から日本に戻ると、気になりますが、行政の不作為ではないかと疑っています(ポイ捨てしないで、家に持ちかえろうというマナーにすり替えられていますが)。
なお、これまでいろいろ観察した経緯から、現場のすぐ横は交通の大動脈なので、ここはホームレスが長居しづらい場所だと思います。むしろ、全然問題になっていない、御堂筋南口の周辺の植栽。「係員以外立入禁止」と書かれたエリアもありましたが、これらは明らかに路上生活者の居場所をつぶすためのデザインだと思われます。「排除アート」のかたちをしていませんが、やさしい緑の姿をまとい、気づかれていないのが興味深いです。突起物がついたベンチもありましたが、これは排除ベンチでした。なお、現在にいたるまで、マスメディアの注目度は大きいですが、デザイン、建築、アートなどの雑誌で特集されたことはほとんどないのも、気になります(唯一の例外は『建築ジャーナル』2026年6月号)







