人間を思ったり考えたり 本と電車の中で
読むべきときに読まなあかん本がやってくる、
気がいつもしている。
時期柄SNSのタイムラインが
いい意味でも悪い意味でもすごい感じになって
それがダメとか嫌とかいう意味ではなく
全部目を通さないといけないと思っているし
通すのだけれどすごくどっときてしまって
正直あまり開かないようにしたりもして
でもふわふわきらきらだけじゃ、
いや、そうしていたいけれど、そうするためにも
ちゃんといろいろを全意見を目にしななあ考えななあ。で、またどっときて頭が重くて、でも見て。
そんなとき開きたいのはやはり本だ。
読みたい本いや今読まないといけないと思う本が
数珠つなぎのように増えてゆく。
しゃあないので電車内で本を読むことを始めた。
電車内読書はあまり好きじゃない。
好きじゃないというか得意じゃない。
一人の世界に入りすぎることもどうなんかなあ、とか、
いや、それより何より入りすぎるからよく乗り過ごすから。
先週、京都二条の狂言屋さんに
本を持っていくという口実と御挨拶に伺った際、
読みたかった小人プロレスの本を買わせていただいた。
これは読んでおかなくてはいけない、と昔から薦められていて、
狂言屋さんも「これはいい本」とおっしゃり、出して下さった。

読みながらあれこれ調べていたら
映画監督で作家の森達也のこの本に関する&番組に関する文を見つけ、
読んで唸っていたら、近所で『増補版 悪役レスラーは笑う 「卑劣なジャップ」グレート東郷』を見つけ、ぱらぱらめくっていたら止まらなくなって、まずこちらを読み終えてしまった。

どちらもプロレスの本じゃない。いや、プロレスの本だ。
そうだけどそうじゃない。それだけじゃない。
差別の本だ。それを考える本だ。いや人間を考える本だ。
で、今は電車の中などでも小人プロレスの本を
ちゃんと頭に入ってくるようにすこしずつす読んでは閉じ、
読んでは閉じをしていたりする。
我がプロレスの師匠である記者氏は
この本にも登場するレスラーの思い出を教えてくれた。
「取材行ったとき、よく代わりに自動販売機のボタンを押してくれ言われて買うたわ。いつもコーラ」
「地方プロレスの時リングアナの人とメダカ釣ってたの覚えてる。メダカやねん」
そんなこんなで、いろんなことを考えて、
なかなか進まないのも、よくもわるくも。
昨日の近鉄電車では、
知らない人同士が席の譲り合いから二駅だけ仲良くなるさまに遭遇した。
譲り合いからの世間話身の上話になって
「じゃあここで。またね。お疲れ様」「はい、またどこかで会いましょう」
これがシスターフット、なんて軽々しく言いたくないし言う気もない。
でも、なんだかとても、いい時間というかいい何かに遭遇、共有できた気がした。
同じく阪神電車でも譲り合いを見た。
こちらも、立って本を読んでいるわたしの近くで立っていた年配の女性が
同じく立っていた横のお連れらしき年配男性に席を勧めた。
男性は座った。一駅して、その向かいの席が空いた。
空いた横の中年男性が立ち上がってもう一席あけた。「どうぞ。一緒に」
お連れの2人に隣同士に、気をきかせたらしい。でも女性は「え?」。
「あ? お知り合いじゃないの?」
女性は笑って「あ、ちゃうねんけど」皆がぱぁっと笑った。
これもなんだか、なんてことないのに、なんだかほんとに、ぐっときた。
きれいな言葉や言葉だけの言葉や
言葉だけだからなんとでも言えたり薄っぺらだったりが溢れていて、
でもそのそれぞれ皆「ほんとうの気持ち」なんだろうけれど、
だからもやもやすることも多かったりで、
でも言葉や文にも、には、しか、にも、出来ることがあって、
でもそれが武器のようになることだってあって(書き言葉も話し言葉も)、こういう時期だからこそばーっと走りたくなったり言葉を並べたかったり並べることが多いのは皆そうだろうし目に見えもするのだけれど。
そうじゃなく、それだけじゃなく、もっと、
もっと人間を考えたいな考えられたらな、
考えていこうよね皆と皆で、ってなぜおまえが言うんだという感じだが、
そんな気持ちがいつもあるし昨今もある。
森達也は書く。髙部雨市も書く。何度も書く。
「人間はそんなに、簡単じゃない」
だから、でもだから、だからでも、それでも、だから。
これを読み終わったらたぶん先月買った演劇博物館の図録、
『演劇は戦争体験を語り得るのか 戦後80年の日本の演劇から』を読むような気がしている。どうかな、そうかな、うん、たぶん。
と、ばたばたの中、ばーっと書き、また電車に乗る。
*
友人はよく言う。
「森達也ですよ、あの森達也ですよ」
笑ってしまうが、なんか言い当ててるよなあ。
プロレス道の師匠にはグレート東郷の本を「何年か前に勧めたやん、今さら!?」と言われました(笑)
これ本当に良かった良い企画でした。
図録、高い。でも買わないという選択肢はなかった。観てきて頭をぶん殴られてきた芝居たちもたくさんで。
*
置いて下さる書店や、販売や、販売はないけど手に取ってお読みいただけるお店もすこしずつ増えております。ありがとうございます。あなたも是非!
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構成作家/ライター/エッセイスト、
momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。
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