ムーさんとオアシス。
容赦なく照りつける灼熱の太陽。
塵に霞む、瀬戸内の島々。
……暑い。
暑すぎる。
もはや、
ローストビーフどころではない。
芯まで火が通った、
ウェルダン秒読みである。
ムーさんが住む地域が36度なら、
島は33度前後。
いつもなら、
そんな感じのはずなのに。
温度計は、
37度を示していた。
島でこれなのだから、
家の周りはいったい
どうなっているのか。
妻や娘が心配だ。
一応、
LINEでも送っておくか。
「暑さがヤバい。気をつけて」
返ってきたのは、
「はぁ〜い」
の一言が添えられた、
ふざけた顔のパンダのスタンプ。
思わずイラッとしそうになるが、
……きっと暑さのせいだろう。
元気そうで、
なによりである。
そんな安堵も束の間。
意識はすぐ、
噴き出る汗に流される。
行く先々で。
私も。
島の人々も。
「暑い。」
それ以外の
ボキャブラリーを
失っていた。
寒いなら、
着込めばなんとかなる。
でも、
脱ぐには限度がある。
仮に、
生まれたままの姿になったとしても。
この暑さだけは、
どうにもならないだろう。
毎年毎年、
記録更新。
そんなの、
大谷翔平だけで十分である。
そんなことを思っていると、
車の窓を
コンコン!と叩く音がした。
見ると、
先ほど訪れたお客さんが、
こちらへ何かを
差し出している。
手渡された瞬間、
ひんやりとした感触が
手のひらに広がる。
アイスキャンデーだ!
なんとか頑張れそうな、牛であった。



しかも期間限定とか。めちゃおいしかった。
