決算書は全部読まなくていい。株初心者が「10分で決算を見る」ための10項目


株を始めると、

「決算を見た方がいい」

と言われます。

でも実際に企業の決算資料を開いてみると、

何十ページもある。

知らない言葉ばかり。

数字が大量に並んでいる。

どこを見ればいいのか分からない。

私も最初はそうでした。

売上高。

営業利益。

経常利益。

純利益。

EPS。

キャッシュフロー。

自己資本比率。

セグメント。

通期予想。

進捗率。

全部理解してから株を買わないといけないのか。

そう思うと、かなり大変です。

でも個人投資家が決算発表直後に企業を見る場合、最初からすべてを読む必要はないと思っています。

私ならまず10分程度で、

「この会社の業績は良くなっているのか。それとも悪くなっているのか」

を確認します。

そして気になる会社だけ、決算説明資料や有価証券報告書まで深掘りします。

今回は、投資初心者向けに、

私なら決算発表後にどこから見るか

を10項目にまとめます。

結論:最初に見るのはこの10項目

私はまず、次の順番で確認します。

1.売上高
2.営業利益
3.営業利益率
4.EPS
5.前年同期比
6.通期会社予想
7.進捗率
8.セグメント別業績
9.キャッシュフロー
10.決算発表後の株価

全部を完璧に理解する必要はありません。

最初は、

「売上が伸びているのか」

「利益が伸びているのか」

「これからも伸びるのか」

この3つが分かるだけでも、かなり違います。

1.売上高――まず会社の規模が伸びているかを見る

最初に見るのは売上高です。

例えば、

前年同期 1,000億円

今回 1,200億円

なら、

売上高は20%増えています。

ここで考えるのは、

「なぜ売上が増えたのか」

です。

商品がたくさん売れたのか。

値上げしたのか。

新しい事業が伸びたのか。

企業を買収したのか。

円安で海外売上が膨らんだのか。

同じ売上20%増でも、中身は違います。

特に私が気をつけているのは、

販売数量が増えたのか、それとも価格だけが上がったのか

です。

例えば半導体メモリなら、

出荷量はほとんど増えていない。

でも製品価格が大幅に上昇した。

その結果、売上高が急増した。

ということがあります。

価格上昇が続けば問題ありません。

しかし市況が反転すると、売上も急速に減る可能性があります。

だから、

売上増=すべて良い

ではありません。

まずは、

「何が売上を増やしたのか」

を確認します。

2.営業利益――私は純利益より先にここを見る

次に見るのが営業利益です。

営業利益は、企業が本業でどれくらい利益を出したかを見るための重要な数字です。

例えば、

売上高 1,000億円

営業利益 100億円

なら、

本業から100億円の営業利益を出しています。

翌年、

売上高 1,200億円

営業利益 180億円

になった。

売上は20%増ですが、

営業利益は80%増です。

これはかなり強い変化です。

反対に、

売上高20%増。

営業利益5%増。

なら、

売上は増えているのに利益があまり増えていません。

原材料費。

人件費。

電気代。

広告費。

値下げ競争。

などで利益が圧迫されている可能性があります。

だから私は、

売上高と営業利益を必ずセットで見ます。

3.営業利益率――「どれだけ儲かる会社になったか」

次に計算するのが営業利益率です。

計算は簡単です。

営業利益 ÷ 売上高 × 100

です。

例えば、

売上1,000億円。

営業利益100億円。

なら、

営業利益率10%。

翌年、

売上1,200億円。

営業利益180億円。

なら、

営業利益率15%です。

10% ↓ 15%

へ改善しています。

これは非常に重要です。

同じ1円の売上から、以前より多くの利益を残せる会社になったということだからです。

利益率が上がる理由には、

値上げ。

高利益率商品の増加。

コスト削減。

工場の稼働率上昇。

事業構成の変化。

などがあります。

ただし、

営業利益率が急激に上がっている場合は、

「これはずっと続くのか?」

も考えます。

市況価格の急騰によって一時的に利益率が上がっているだけなら、将来元に戻る可能性があります。

4.EPS――株主1株分の利益を見る

次に見るのがEPSです。

EPSは、

1株当たり利益

です。

例えば会社全体の利益が増えていても、

新株発行などで株数が大きく増えていたら、

1株当たりの利益はそれほど増えない場合があります。

だから株価を見るときには、

会社全体の利益だけではなく、

1株当たりでどれだけ稼いでいるか

を見る必要があります。

PERも、

株価 ÷ EPS

で計算します。

私は、

売上高 ↓ 営業利益 ↓ EPS

という順番で確認することが多いです。

5.前年同期比――数字は単体ではなく比較する

例えば、

営業利益500億円

と言われても、

良いのか悪いのか分かりません。

前年が、

営業利益100億円

なら、

ものすごい増益です。

前年が、

営業利益700億円

なら、

減益です。

決算では、

数字そのものより、

「何と比べてどうなったか」

が重要です。

私はまず、

前年同期比

を確認します。

売上高。

営業利益。

純利益。

EPS。

それぞれが、

何%増えたのか。

何%減ったのか。

ここを見るだけでも、会社の方向がかなり分かります。

6.通期会社予想――過去より未来を見る

ここは非常に重要です。

今回の決算が素晴らしくても、

会社が通期予想を下方修正したらどうでしょうか。

例えば、

第1四半期は過去最高益。

しかし会社は、

「下期は需要が減速する」

と予想。

通期営業利益を、

2,000億円 ↓ 1,500億円

へ下方修正。

この場合、

株価は下落する可能性があります。

株価は過去ではなく、

これからの利益

を先に織り込もうとするからです。

だから私は、

今回の実績と同じくらい、

会社が今後どう予想しているか

を重視します。

確認するのは、

売上予想。

営業利益予想。

EPS予想。

そして、

上方修正。

据え置き。

下方修正。

のどれなのかです。

7.進捗率――会社予想に対して順調なのか

次に見るのが進捗率です。

例えば会社が年間営業利益を、

1,000億円

と予想しているとします。

第1四半期で、

営業利益400億円

出した。

単純計算では、

進捗率40%です。

1年の4分の1しか経っていないのに40%進んでいます。

すると、

「会社予想はかなり保守的では?」

「上方修正する可能性があるのでは?」

と考えます。

ただし、

ここにも注意があります。

会社によって、

第1四半期が強い。

第4四半期が強い。

夏に売れる。

冬に売れる。

などの季節性があります。

そのため、

単純に25%を超えたから良い

とは限りません。

できれば前年同期の進捗率とも比較します。

8.セグメント――結局「どの事業」が儲かっているのか

大企業では、複数の事業を行っています。

例えば、

半導体。

ゲーム。

金融。

音楽。

自動車。

不動産。

などです。

会社全体では好決算でも、

中身を見ると、

一つの事業だけが絶好調。

他の事業は悪化。

ということがあります。

だから決算説明資料では、

セグメント別業績

を確認します。

私が見るのは、

どの事業の売上が増えたか。

どの事業の利益が増えたか。

会社全体の利益を何が引っ張っているか。

です。

さらに、

「今後会社が力を入れる事業」

と、

「実際に利益を生んでいる事業」

が一致しているかも見ます。

9.キャッシュフロー――利益だけでなく現金を見る

少し慣れてきたら、キャッシュフローも確認します。

特に私が見るのは、

営業キャッシュフロー

です。

簡単に言えば、

本業によって実際にどれくらい現金が増えたのか

を見る数字です。

会計上は大きな利益が出ていても、

売掛金が急増していたり、

在庫が積み上がったりすると、

現金が思ったほど増えていないことがあります。

逆に、

利益だけでなく営業キャッシュフローもしっかり増えている。

これは決算の質を見るうえで一つのプラス材料になります。

さらに余裕があれば、

設備投資。

フリーキャッシュフロー。

現金残高。

借入金。

も確認します。

ただし初心者の段階では、

まず、

営業キャッシュフローが大きなマイナスになっていないか

を見るところからでもいいと思います。

10.最後に見るのは「株価」

ここまで確認したあと、

私は株価を見ます。

ここが意外と重要です。

例えば、

売上最高。

営業利益最高。

EPS最高。

上方修正。

増配。

自社株買い。

どう見ても良い決算。

それなのに、

翌日株価が10%下落した。

なぜでしょうか。

考えられるのは、

好業績がすでに織り込まれていた。

市場予想に届かなかった。

将来の利益ピークを警戒された。

決算前に株価が上がりすぎていた。

大口投資家が利益確定した。

などです。

つまり、

良い決算と良い株価反応は別物

です。

私は最近、

決算内容と同じくらい、

決算後に市場がどう反応したか

を見るようにしています。

10分で見るなら、この順番

実際に決算が出たら、私は次のように見ます。

1分目

売上高。

営業利益。

純利益。

EPS。

前年同期比。

2~3分目

会社の通期予想。

上方修正。

据え置き。

下方修正。

4分目

営業利益率。

5分目

進捗率。

6~7分目

セグメント別業績。

8分目

営業キャッシュフロー。

9分目

増配。

自社株買い。

株式分割。

などの株主還元。

10分目

PTSや翌営業日の株価反応。

ここまで見て、

「面白そう」

と思った企業だけ、

決算説明資料を詳しく読みます。

初心者が最初から全部読まなくてもいい理由

決算短信。

決算説明資料。

有価証券報告書。

統合報告書。

企業には大量の資料があります。

全部読むことができれば理想です。

でも投資初心者が、

100社。

200社。

すべての資料を最初から全部読むのは現実的ではありません。

そこで、

最初に10分でふるいにかける。

気になった会社だけ30分調べる。

本当に買いたい会社はさらに深掘りする。

という順番にします。

私は、

「全部読めないから決算を見ない」

より、

「まず重要なところだけ見る」

方がいいと思っています。

決算短信と決算説明資料、どちらを見る?

初心者なら私は、

まず決算短信

を開きます。

ここには、

売上高。

利益。

EPS。

財政状態。

キャッシュフロー。

業績予想。

など、重要な数字がまとまっています。

ただし数字だけでは、

「なぜ増えたのか」

が分かりにくいことがあります。

そこで次に、

決算説明資料

を見ます。

決算説明資料には、

どの商品が売れたのか。

どの地域が伸びたのか。

市場環境。

今後の戦略。

などが、グラフや図で分かりやすく説明されている会社が多いです。

私は、

決算短信で数字を見る。

決算説明資料で理由を見る。

という使い方をしています。

有価証券報告書はいつ見る?

有価証券報告書には、決算短信より詳しい情報があります。

事業内容。

リスク。

設備。

従業員。

大株主。

財務諸表。

事業上の課題。

などです。

そのため、

「この株を数年持ちたい」

と思ったときには、確認する価値があります。

短期的に決算の強弱を見るだけなら、

最初から全部読む必要はないと思います。

しかし中長期投資なら、

会社がどんなリスクを抱えているのか。

どこで利益を出しているのか。

将来何に投資するのか。

まで見た方が判断材料は増えます。

私が特に警戒する決算

私なら、次のような決算は少し慎重に見ます。

売上だけ伸びて利益が伸びていない

コスト増や値下げ競争の可能性があります。

純利益だけ急増している

本業ではなく、一時的な利益が含まれていないか確認します。

利益率が突然異常に高くなった

市況価格など、一時的な要因ではないか確認します。

営業利益は増えているのに営業キャッシュフローが弱い

売掛金や在庫などを確認します。

好決算なのに会社予想を上げない

会社が下期を慎重に見ている可能性があります。

超好決算なのに株価が下落する

市場の期待値が高すぎた可能性があります。

逆に「強い」と感じる決算

私が好きなのは、

売上増。

営業利益増。

利益率改善。

EPS増。

営業キャッシュフロー増。

会社予想上方修正。

株主還元強化。

そして、

決算後も株価が強い。

という決算です。

特に、

数量が伸びて、価格も上がり、利益率まで改善する

ような企業は非常に強いと感じます。

ただし、

どれだけ決算が良くても、

株価がすでに高すぎれば買い場とは限りません。

ここは以前の記事で書いた、

「良い会社」

「良い決算」

「良い株価」

は別物

という考え方につながります。

初心者向け・決算10項目チェックリスト

決算が発表されたら、私はこれを確認します。

業績

  • 売上高は増えているか

  • 営業利益は増えているか

  • 営業利益率は改善しているか

  • EPSは増えているか

  • 前年同期比で成長しているか

未来

  • 通期会社予想はどうなったか

  • 上方修正・据え置き・下方修正のどれか

  • 進捗率は順調か

中身

  • どのセグメントが伸びているか

  • 営業キャッシュフローは強いか

最後

  • 決算発表後、株価はどう反応したか

この10項目です。

慣れてきたら、

PER。

PBR。

ROE。

在庫。

受注残。

設備投資。

為替。

配当。

自社株買い。

競合企業。

まで広げていけばいいと思います。

最後に――決算書は「全部読む競争」ではない

投資をしていると、

「決算書を全部読まないとダメ」

と思うことがあります。

でも私は、

何ページ読んだか

より、

重要な変化に気づけるか

の方が大切だと思っています。

売上が増えた。

なぜ?

利益率が上がった。

なぜ?

会社予想を上げた。

なぜ?

それでも株価が下がった。

なぜ?

一つずつ「なぜ?」を考える。

それだけでも、企業を見る力はかなり変わってきます。

最初から難しい会計知識を全部覚える必要はありません。

まず、

売上。

営業利益。

利益率。

EPS。

会社予想。

進捗率。

キャッシュフロー。

そして株価反応。

ここを見る。

気になった会社だけ深掘りする。

私は、このやり方で十分スタートできると思っています。

決算を見る目的は、

テストで100点を取ることではありません。

自分のお金を投資する会社が、今どんな状態なのかを理解すること

です。

10分でもいい。

毎回決算を見る。

そして前回と比較する。

それを続けていけば、

ニュースの、

「過去最高益」

「大幅増益」

という見出しだけで株を買うことは少しずつ減っていくと思います。

次回は、

「決算発表後、いつ買えばいい?寄り付きで飛びつかないための5つの確認ポイント」

について書いてみたいと思います。

※この記事は、株式投資についての一般的な知識と個人の考えをまとめたものです。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。企業によって採用する会計基準や開示内容は異なります。実際の投資判断では各企業の最新の開示資料をご確認ください。投資には元本割れの可能性があります。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー