血糖が高いと言われたら、歯医者さんへ|糖尿病と歯周病はなぜ関係するのか
血糖が高いと言われたら、最後に歯医者さんへ行った日も思い出してほしい。
健診で血糖が高いと言われたときに振り返ることは、だいたい決まっている。食生活はどうか。運動が減っていないか。体重は増えていないか。
でも、洗面台の前で歯ぐきを気にする人は少ない。
歯みがきで血が出る。歯ぐきが腫れる。口臭が続く。最後に歯医者さんへ行った日が、もう思い出せない。
血糖と歯周病は、全然関係ないように見えるけれど、実際はかなり関係は深い。食事や運動を振り返るのはもちろん大事。でも、歯ぐきが盲点になっていないかも確認してほしい。
糖尿病と歯周病は、互いに悪くなりやすい

血糖が高い状態が続くと、体が細菌に対抗する力や傷の治り方が変わる。
歯ぐきの炎症が治まりにくくなり、歯周病も進みやすい。
逆に、歯周病の炎症が長く続くと、血糖が下がりにくくなると考えられている。
厚生労働省の2022年調査では、歯周病の目安となる4mm以上の歯周ポケットがあった人は、 45〜54歳で43.7% だった¹⁾。40代後半から50代前半では、4割を超える。
糖尿病も歯周病も珍しくない。糖尿病とは診断されていなくても、健診で血糖が高いと言われた人まで含めると、歯ぐきが盲点になっている人はかなり多い。
2型糖尿病への歯周治療は、推奨グレードA
その中でも、歯周治療で血糖が改善する根拠が最もそろっているのが、 2型糖尿病と歯周病が両方ある人 だ。
この推奨を出しているのは、歯科の学会ではない。 日本糖尿病学会だ。「糖尿病診療ガイドライン2024」には、こう書かれている。
2型糖尿病において歯周治療は血糖コントロールの改善に有効であり推奨される²⁾。
推奨グレードA。これは、このガイドラインで最も強い推奨だ。
2型糖尿病と歯周病がある人には、歯周治療を強くすすめるという意味になる。効果だけでなく害や費用まで含めて判断された結果だ。
血糖は採血ですぐわかるけど、 歯周病の有無はわからない。
歯ぐきは、歯医者さんで診てもらう必要がある。
歯周治療でHbA1cは平均0.43ポイント低かった
HbA1cは、最近1〜2カ月ほどの平均的な血糖を反映する数字だ。
2022年のCochraneレビューは、 35件のランダム化比較試験と3,249人 をまとめている。参加者のほとんどは、2型糖尿病と歯周病の両方がある人だった³⁾。
歯周治療を受けた人のHbA1cは、通常のケアなどを受けた人より 平均0.43低かった。
HbA1cが7.4%と7.0%くらいの差に相当する。
内科医としては、HbA1cが0.4ポイント下がるのはかなり大きい。糖尿病の薬を1剤追加して、これくらい下がったら「よかった」となる。

Cochraneは、この結果を 中等度の確実性 と評価している。6カ月以降も低下は報告されている。ただ、長く続くかは3〜4カ月時点ほどデータが多くない³⁾。
歯みがきで血が出るなら、歯周病を診てもらう
歯周病は、痛みがないまま進むことがある。次のどれかが気になるなら、一度診てもらうことを強くお勧めする。
2型糖尿病がある
歯みがきやフロスで血が出る
歯ぐきの腫れや口臭が続く
何年も歯医者さんへ行っていない
糖尿病と診断されていなくても、出血や腫れが続くなら歯周病の有無を調べてもらう意味はある。
自分で決めなくていい。診てもらえばいい。予約するときは「歯周病が気になります」で十分だと思う。糖尿病がある人は、そのことも歯医者さんへしっかり伝えておこう。
まとめ
血糖が高いと歯周病は進みやすく、歯周病の炎症も血糖に関わる
日本糖尿病学会は、2型糖尿病と歯周病がある人への歯周治療を推奨グレードAとしている
Cochraneレビューでは、3〜4カ月後のHbA1cが平均0.43ポイント低かった
歯みがきで血が出る人や、長く歯医者さんへ行っていない人は、一度歯周病の有無を診てもらう
自分は1~2カ月おきに歯医者さんへ通っている。保険診療だけじゃなくて、時々自費のクリーニングのPMTCも受けている。血糖は元々正常だから、よくなった体感はない。でも、歯がすっきりするとすごく気持ちいい。続ける理由は、そのくらいでもいいと思う。
歯医者さんへ行く理由は、痛みや歯の白さだけではない。
血糖のために、歯医者さんへ行く。そういう受診があっていい。
歯周病と全身の病気の関係については、まだ書きたいことがある。血糖以外の話は、また別の記事にしたいと思います。
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Dr.もさりラボについて
無料記事では、血糖と歯周病の関係と、まず歯医者さんへ行くところまで書きました。
Dr.もさりラボでは、HbA1cが動かないときに何を確かめるかまで書いています。血糖だけでなく、睡眠や会食、運動、サプリをどの順番で考えるかも扱っています。一般論を読んだあとに「自分は何から始めるか」で迷う方に向いています。
参考文献
1) 厚生労働省.令和4年歯科疾患実態調査結果の概要
2) 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024
3) Simpson TC, et al. Treatment of periodontitis for glycaemic control in people with diabetes mellitus. Cochrane Database Syst Rev. 2022;4:CD004714.
※本記事は一般的な健康・医学情報の提供を目的としたものであり、特定の個人に対する診断・治療・医学的助言を行うものではありません。健康上の懸念がある場合は、必ず医療機関を受診してください。記事の情報に基づく行動の結果については、筆者は責任を負いかねます。
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