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kamei_kana1223
掌編小説 『姉の友人と僕』
ピンポーン。
エントランスに誰か来たみたいだ。
姉がモニターの方へ向かい、自動ドアを開ける。
うちに来る姉の友人は決まっている。柚香さんだ。
姉には申し訳ない――いや、申し訳なくは全然ないが、姉より断然可愛い。
柚香さんは僕のことを何度か見ているので、当然知っている。
玄関から姉の部屋へ向かう前に、すかさず廊下に出る。
別に用事なんてない。
ただ、柚香さんが来たからだ。
「あ、祐介君」
「祐介は家でダラダラしてばかりなんだよ」
(うるさい。黙ってろ)
姉に心の中で叫ぶ。
「柚香さん、暑いっすね。今からオレンジジュース飲むんですけど、飲みます?」
「柚香、何か入ってるかもよ。あ、間接キスとか狙ってる気がする。怖っ!」
「大丈夫ですよ。毒見も片付けも姉がやりますから」
僕はキッチンへ行き、オレンジジュースをグラスに注ぐ。
柚香さんの分は来客用。
というより、ほぼ柚香さん専用になっているグラスだ。
姉には普通のコップ。
姉の部屋のドアをノックして、二人にオレンジジュースを渡す。
「相変わらず区別するよね〜」
「そりゃ、お客さんだからね」
柚香さんは、僕らの会話を楽しそうに聞いている。
「弟っていいなー、楽しそうで」
「あ、いつでも弟になりますから、呼んでください」
「呼ぶわけないでしょ。もう出てって!」
僕は出かけることにした。
女子二人の話は長く、当分部屋から出てこない。
さっきの「弟になりますから」は、もちろん冗談だ。
……ただ、柚香さんは分かっている。
僕が誰のことを好きなのか。
そして、僕が今日誰に会いに行くのかも。
柚香さんの妹。
僕の彼女だ。
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