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山手線を歩く。第三回 御徒町・秋葉原・神田・東京編。

-神田川が、頭の中で数回流れた。-

御徒町から東京駅まで歩いただけなのに、昭和、平成、令和を少しずつ旅した気分になった。

朝の御徒町

今回の山手線歩きは、御徒町から始まった。

朝の上野方面は、前回来た時よりも少し静かだった。

外国人観光客の熱も少し落ち着いていて、街全体が“朝の顔”に戻っていた。

高架下には、まだ昨日の空気が少し残っている。

ガード下。雑居ビル。古い看板。

東京は巨大都市というより、鉄道の街なんだなと思う。

線路沿いに、街の空気が少しずつ変わっていく。

「朝の上野は、少し熱が下がっていた。」
「東京は、線路沿いに空気が変わっていく。」

マドンナーとギャラン

歩いている途中、「マドンナー」という名前の店を見かけた。

“マドンナ”じゃなく、“マドンナー”。

なんで最後だけ伸ばしたんだろう。

店の前で、小声で何回か“マドンナー”と復唱してみた。

アクセントを変えて復唱してみたが、なかなかしっくりこない。

心の声が聞こえているのであれば、少し恥ずかしい。

ただ、その日は閉まっていた。

結局、近くのギャランへ入る。

赤いソファ。
少し暗い照明。
流れていたのはチェッカーズ。

昭和なのか、平成初期なのか。

この店だけ、少し時間が止まっている気がした。

ギャランの窓越しに、店員が路上のゴミを拾っているのが見えた。

観光地の派手さではなく、毎日の積み重ねで街が保たれている。

そんな東京の方が、少し好きだった。

「“ー”が付くだけで、少し昭和だった。」
「昭和なのか、平成初期なのか。」

ナポリタンとホットケーキ


ギャランのメニューには、やはりナポリタンがあった。

昔ながらの喫茶店に、ナポリタンが置いてあると少し嬉しくなる。

そういえば、中高生くらいの頃、“スパ王”が出てきた時は少し衝撃だった。

ミートソースとナポリタンくらいしか知らなかった自分には、かなり新しかった気がする。

ペペロンチーノ、響きがカッコよく感じた。

ところで、ホットケーキとパンケーキって何が違うんだろう。

自分の中では、ホットケーキは少し昭和で、パンケーキは少し平成っぽい。

子供の頃、家で食べていたホットケーキは、たしか森永だった。

あれが“家庭の味”だった気もする。

でも、どんな味だったかは、もうあまり覚えていない。

「ナポリタンがあると、少し安心する。」
「少し疲れた身体には、昭和くらいがちょうどいい。」

秋葉原と2k540

秋葉原へ向かうにつれて、街の空気が少し変わっていく。

大きな看板。アニメ。メイド。カードショップ。

平成のオタク文化が、まだ街にそのまま貼り付いている感じがした。

ただ、昔より少し整いすぎた気もする。

オタクの街というより、“オタク観光地”になりつつあるのかもしれない。

それでも路地へ入ると、まだ少し雑多だった。

階段。
半地下。
古いゲーム屋。
ガード下。

そういう場所には、まだ平成が残っていた。

2k540。

東京駅から2540メートル地点らしい。

数歩だけ頭の中で数えてみたけど、途中で面倒になってやめた。

高架下には、中本や小さな店が並んでいる。

思ったより静かだった。

東京は時々、名前の方が情報量が多い。

珊瑚ストリートという名前も見かけた。

どこが珊瑚やねん、と少し突っ込みたくなる。

東京は時々、名前だけ先に洒落ている。

途中、とび太くんっぽい看板も見かけた。

いや、あれは本当にとび太くんだったのか。

人違いか。

まあ、どうでもいいか。

「平成の熱が、まだ少し残っていた。」
「誰なのかは、最後までよく分からなかった。」
「東京は、時々名前の方が情報量が多い。」

万世橋と神田川

万世橋の方へ歩く。

神田川沿いは、不思議と落ち着いていた。

レンガの高架。

少し古い橋。

川の流れ。

ビル群。

東京のど真ん中なのに、少し時間が遅い。

歩きながら、頭の中で何回か『神田川』が流れた。

別に世代ではない。

でも、あの曲が似合う空気だけは確かにあった。

万世橋の近くからは、まだ秋葉原の巨大広告も見えている。

昔はもっとマイナーだったオタク文化が、今では巨大ビルの壁面で堂々と主張していた。

「東京の真ん中に、少し昭和が流れていた。」
「古い東京と、今の東京が同じ景色に混ざっていた。」

神田という街

神田へ入る。

歩いていると角度的にカレー屋に行列ができているのかと思った。

よく見たら、隣のラーメン屋だった。

神田はカレーの街。

そんな話を昔どこかで聞いた気がする。

神田と聞くと、なぜか古本屋を思い浮かべる。

でも実際に歩いてみると、今日はカレー屋の方が目についた。

東京駅の隣なのに、神田にはまだ昭和が残っていた。

古い飲み屋。
細い路地。
雑居ビル。
ガード下。

再開発された八重洲の巨大ビル群が近くに見えるのに、神田だけ少し取り残されている。

でも、その取り残され方が妙によかった。

「昭和が、そのまま細い路地に残っていた。」
「昼なのに、夜の気配が残っていた。」

日本橋と東京駅

八重洲から東京駅へ向かう。

急に令和になる。

高層ビル。
ガラス。
広場。
整備された導線。

さっきまでの神田とは、完全に別の東京だった。

日本橋の上には、首都高が走っている。

古い橋の向こうに、高層ビルが立っていた。

昔の建造物が、近代に見下ろされているようにも見える。

八重洲側へ向かうと、景色はさらに巨大になった。

今度は、人ではなく資本の熱だった。

丸の内側へ出る。

赤レンガの東京駅。

後ろには巨大な高層ビル群。

普通ならビルに圧倒されそうなのに、不思議と東京駅の方が強く見える。

大都会の真ん中にいるのに、妙に堂々としている。

なんというか、覇王感があった。

御徒町も、
秋葉原も、
神田も、
東京駅も、

全部、体感温度は★★★☆☆くらいだった気がする。

ただ、その代わり、どの街にも微熱みたいなものが残っていた。

熱狂ではない。

でも、人の生活や時代の残響が、街の奥でまだ少しだけ発熱している。

今回の東京は、そんな感じだった。

「令和の東京の横で、まだ昔の東京も流れていた。」
「田舎者の自分が憧れた都心のビル群。」
「大都会の真ん中にあっても、妙に覇王感を放っていた。」

御徒町から東京駅まで歩いただけなのに、昭和、平成、令和を少しずつ旅した気分になった。

東京駅。

始点でもあり、終点でもある東京の中心駅。

今日の旅は、ここまでとしよう。

山手線も、気づけば少しずつ輪郭が見えてきた。

さて次は、どこの街を歩こうか。


体感温度

御徒町 ★★★☆☆
秋葉原 ★★★☆☆
神田 ★★★☆☆
東京 ★★★☆☆

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