【新譜】光と闇の間で、全霊を取り戻す──Shadow Work / Light Work / Holy Wars 【ディスクレビュー40】
ボーカルのKat Leonとギター・プロデューサーのNick Perezによるデュオ、Holy Wars。2017年にロサンゼルスを拠点として結成された、私生活でもパートナー関係にある二人組だ。
Radiohead、Yeah Yeah Yeahs、Fiona Apple、Garbage、Nine Inch Nails──オルタナティブ・メタル、ハードロック、インダストリアル、グランジを融合させたサウンドを核に置く。
Download FestivalやRock am Ringといった大型フェスへの出演、EvanescenceやKittie、Poppyとの共演を経て、オルタナティブ・シーンでの存在感を高めてきた。
満を持して2026年4月24日、2枚目のフルアルバム『Shadow Work / Light Work』をリリース。「Shadow Work」と「Light Work」という2部構成を取る。
キャリアで最も重厚な楽曲と、繊細で高揚感の楽曲が共存するシネマティックなプロダクション──「光と闇」の二元性をアルバムの骨格にした作品だ。
2022年の『EAT IT UP, SPIT IT OUT』、2023年のEP『Cult Classic』を経て、感情の深淵へと立ち返った。
お気に入りの楽曲①「I Feel Everything」
「Shadow Work」の2曲目。アルバム制作の原点にある一曲。ザクザクとしたリフと不穏な半音階的リフが中心。苛立ちをぶつけるように攻撃的な展開が続く。
重厚な演奏に対してメロディはキャッチーで、耳に残るフックが随所に打ち込まれている。
歌詞が掘り起こすのは、長年ひきずってきた感情の麻痺──解離からの覚醒。10年前に亡くなった両親、2024年に亡くなった姉への思い。直視を避けてきた感情を引きずり出す。
I Feel Everything──強烈な悲しみと痛みを感じつくすこと選ぶ。強い覚悟がこの曲の核心にある。
お気に入りの楽曲②「Kill The Light」
「Light Work」の2曲目。SpiritboxのJosh Gilbertが共同執筆に参加している。ガレージロックのようなイントロから始まり、サビで一気にメジャーな高揚感を開放する。
小気味よいギターリフ、エレクトロニックな装飾、疾走感のあるドラム。メガホンを使用した歪んだボーカルも隠し味として添えられ、荒々しくも作り込まれた作風が印象的だ。
歌詞のテーマは注目を集めることが価値とされる時代の中で、アイデンティティが侵される恐怖だ。
模造品だらけの世界で本物になることの渇望──それを信じていた「若き日の自分」への謝罪。重いテーマをエネルギーに変換し、アンセムとして昇華させる。作品のハイライトにふさわしい一曲だ。
『Shadow Work / Light Work』は、内省と解放を同じ一枚の中に封じ込めた作品だ。闇を知らずに、光へは辿り着けない。アルバムの構造がその証明になっている。
ヴォーカルであるKat Leonの言葉を借りるなら「all heart」──全霊。
その一言が、アルバムを貫く背骨だ。Holy Warsはこの作品をもって、単なる新進気鋭のアーティストの域を脱した。
