変身女子達に完全敗北した女。
昼飯を食べようと、たまたま入ったカフェ。
隣の席には、30歳前後くらいの女性が二人いた。
二人とも、かなり大きめの体型だった。
私は大盛りナポリタンを食べていた。
彼女たちはもう食べ終わっていて、
普通に楽しそうに喋っていた。
すると突然、一人が言った。
「いまから、47キロって設定で会話ね?」
もう一人は笑いもせず、
「もうなってる。大丈夫だから。」と言った。
そして次の瞬間。
二人は47キロ痩せ女子ギャルになった。
「やっぱ、できれば肌見せはしていきたいよねー」
「わかるー」
「マギマギでそれなぁー」
「網タイツマストな?」
「それなぁー」
「マッギマギでぇー、デブは網タイツ履くなって話なぁー」
「マギそれなぁー」
「チャーシュー言われたくないなら痩せてみ?って感じなぁー」
「マギそれー!」
マジがマギになった。
しかも二人とも声がでかい。
食後だからなのか知らないが、
めちゃくちゃエネルギッシュで会話が速い。
他のテーブルを見ると、
みんな必死で笑いを堪えている。
私も耐えた。
大盛りナポリタンを食べながら耐えた。
そこへ、
「なんか恋バナしたくない?」
「あーあるぅー」
「恋愛テキニッキはー?」
テキニッキ。
テクニックまで変身した。
もう無理だった。
ナポリタンが鼻から出そうになって、
とんでもなくむせた。
私は普段、わりと「面白い変な人」と言われる。
だがこの日、思った。
私なんて全然面白くないじゃん。
強い。
この二人、強すぎる。
たぶんあの日、日本中の女芸人は、
知らないところで一回負けている。
そして私は、彼女たちより先に店を出た。
今でも、それだけが悔しい。
47キロ痩せ女子ギャルは、
いつ元の二人に戻ったのだろう。
「そろそろやめようか」
「そだねー」
で戻ったのか。
それとも、その日一日ずっと47キロだったのか。
私は変身する瞬間を見た。
だが、変身が解ける瞬間だけは見られなかった。
マッギマギで悔しい!
