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過去とソフトクリーム



「この前、ソフトクリームを巻きに
しゃぶ葉に行ったんだよね。」




そう言うと、友人から

「うーん、前提がおかしい」

と真顔で言われた。





でも、どうしてもソフトクリームを巻きたかった。



学生時代にカフェでアルバイトをしていた時、
ソフトクリームを巻くことが好きだった。




パフェやソフトクリームのオーダーが入れば、

よっ!待ってました!

と脳内で出囃子を流しながら、
グラスを取って巻いていた。


なのに、バイトを卒業してからは巻いていない。

あんなに好きだったのに。





そんなある日、大きめの仕事が無事に終わった。


達成感と安堵感で気持ちが高まり、
初めて自分にご褒美をあげようと思った。




何がいいかな〜と考えながらスーパーマーケットでアイスを見ていると、『うずまきソフト』が目に留まった。


…ソフトクリーム!!!!




そこから私の『ソフトクリーム大作戦』が
始まった。


まず、ソフトクリームを自分で巻ける
場所選びから。


カラオケは苦手だし、漫画喫茶も、ソフトクリームばかり巻いていると、お前何しに来たんだ状態になる。
そうなると、飲食店…しかも食べ放題になる。


そこで白羽の矢が立ったのが、
近所にある『しゃぶ葉』だった。



だけど、
ひとりでしゃぶ葉…?
と不安になった私は、YouTubeやSNS等で
ひとりしゃぶ葉レポや口コミを見ていた。




平日のランチなら行けそうだと思ったけど、
私の考えは甘かった。



平日のランチ。




しかも13時過ぎなのに、
なんと待ち時間が発生していた。




いやいや、聞いてない聞いてない。



心の中では大焦り。



でも、ソフトクリームを巻きたい!!


結局、高校生グループやファミリーの中で、
ひとり順番を待つことに。



ようやく席に案内された私は、
タッチパネルを操作して、コースを選択し、
お肉を注文した。





…この後どうするんだ?




そもそも私はしゃぶ葉自体が初めて。


店内をゆっくり見渡した。



野菜もセルフ。
水もセルフ。
カレーも麺類もセルフ。
もちろん、ソフトクリームもセルフ。



思ったよりもセルフ…。




水はどこ?
ドリンクバーのところのあれ?
え、ドリンクバーを注文していなくても
大丈夫なやつ?



脳内が忙しなくなってきたので、
恐る恐る近くにいた店員さんに聞いてみた。


「はい、ドリンクバーのところで大丈夫です。」


ですよね、そうですよね!感を出して、
店員さんにお礼する。


でも、何か間違えたような恥ずかしさ。

何も間違えていないのにね。



その後、周りの人の様子を横目でチラ見しながら、
お皿の場所や、野菜、たれ、麺類の取り方を把握した。



一通りしゃぶしゃぶを楽しみ、
メインイベントであるソフトクリームへ。



お皿を取り、ソフトマシンの前へ移動。



グッと握った手で、
ゆっくりレバーを手前に引いた。



あーこれこれこれ!!!!  




あの時の感覚が蘇る。







「え、あの人やばくない?
めっちゃソフトうまいんだけど」



え?!
と声がする方をチラッと見ると、
そこには女子高生2人が。



無心で巻いていたせいか、私のお皿には、
8巻のソフトクリームが完成していた。




やばい!



ぱぱっとトッピングをし、
そそくさと逃げるように席へ。



でも、数年ぶりにソフトクリームを
巻くことができた。

染みついた感覚は忘れていなかったし、
やっぱり、何年経っても、好きみたい。


トッピングのカラースプレーのように、
心がぱっと明るくなった。



ちなみに、バイトで巻いていたソフトクリームは
最高5巻。



しれっと過去最高を更新した。

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