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夕刊・西尾スポーツ         故障予防だけではない       ――「動作バランス」を勝つためのデータにせよ

こんにちは。長坂総研です。





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選手の故障を減らすためには、故障してから治すだけでは足りません。

身体の左右差、可動域、踏み込み位置、投球やスイングの再現性などを継続して測り、「いつもの状態」からのズレを早く見つける。

さらに、そのデータを好調時の身体状態と結びつければ、故障予防だけでなく、選手が最高のパフォーマンスを出すためにも使えるのではないでしょうか。

コンディショニングのデータを、「守るためのデータ」から「勝つためのデータ」へ。今回はそんな提案です。

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身体は全部つながって動いている

投手がボールを投げるとき、肩と肘だけを使っているわけではありません。

足で地面を押し、その力を下半身から骨盤、体幹、肩、肘、手へ伝えてボールを投げます。

打者も同じです。

下半身から身体を回し、その力をバットに伝えます。走る、止まる、切り返すといった動作も、身体全体が連動して初めて成立します。

専門的には「運動連鎖」「全身の連動」「動作の再現性」など、いくつかの概念に分かれます。

この記事では、それらを日常的に分かりやすく見るための言葉として「動作バランス」と呼ぶことにします。

故障した場所だけを見ればいいのか

たとえば肘を痛めたからといって、原因が肘だけにあるとは限りません。

疲労によって下半身の動きが少し悪くなり、それを上半身で補っていた可能性もあります。

身体は多少バランスが崩れても、別の場所を使って何とか同じ動きを続けようとします。

だから厄介です。

見た目には普通に投げている。

本人もまだ投げられる。

しかし、その裏ではいつもと違う場所に負担がかかっているかもしれません。

それなら、故障してから詳しく調べるのではなく、その前に「いつもと違う」を見つけた方がいい。

ここからコンディショニングを考える必要があると思います。

毎日、簡単に測ればいい

今はモーションキャプチャーやフォースプレートなど、身体の動きをかなり細かく測る技術があります。

ただ、毎日すべての選手を大掛かりな設備で調べる必要はないでしょう。

日常的には、ジャンプや片脚動作、関節の可動域などを短時間で測る。投手なら踏み込み位置やリリース位置、野手ならスイング時の身体の使い方なども記録できます。

大切なのは、その日の数字だけではありません。

「この選手は普段どうなのか」

という基準を持つことです。

トレーナーやコンディショニング担当が簡単な測定を継続し、いつもの状態から大きく外れた選手だけを詳しく調べる。

これなら、毎日の負担もそれほど大きくせずに運用できるのではないでしょうか。

全員を同じ身体にする必要はない

ここで注意したいことがあります。

動作バランスがきれいだから、必ず最高のパフォーマンスが出るとは限りません。

プロ野球選手には、それぞれ独特のフォームがあります。

左右差があっても、それが本人にとって自然な動きである場合もあるでしょう。

だから全員を同じ「理想のフォーム」に近づける話ではありません。

比べる相手は他人ではなく、その選手自身です。

通常時はどうなのか。

好調なときはどうなのか。

疲れているときには、どこが変わるのか。

これを積み重ねていく。

その選手自身の基準値を作ることが重要です。

好調時の身体を記録する

ここからが、故障予防の先の話です。

せっかく毎日データを取るなら、「故障しそうだから休ませる」という判断だけに使うのはもったいない。

試合のパフォーマンスと身体のデータを重ねていけば、その選手が良い状態のときにどんな特徴があるのか見えてくる可能性があります。

投手なら、球速や制球が安定しているとき。

打者なら、打球速度やスイングの状態が良いとき。

その日に身体がどう動いていたのかを記録しておけば、

「この状態に近いときは調子がいい」

という本人専用の基準が作れるかもしれません。

もちろん、野球の結果は身体の状態だけで決まりません。

相手投手や打者、球場、天候、その日の感覚など、いろいろな要素があります。

だからデータだけで「今日は打てる」「今日は抑えられる」と決めるものではない。

あくまで判断材料を一つ増やすということです。

選手の感覚を、データで助ける

選手本人の感覚も非常に重要です。

「今日は身体が軽い」

「今日は腕が振れている」

「今日はタイミングが取りやすい」

こういう感覚を、データで否定する必要はありません。

むしろ逆です。

好調だった日の身体データと選手本人の感覚を一緒に残せば、

「この感覚のとき、身体はこう動いていた」

と確認できます。

感覚を数値に置き換えるのではなく、感覚をデータで補助する。

それによって、良い状態を再現しやすくする。

ここまでできれば、コンディショニングは故障予防だけのものではなくなります。

「守るデータ」から「勝つデータ」へ

プロ野球では、球速、回転数、打球速度など、プレーそのものについて多くのデータが使われるようになりました。

それなら、選手自身の身体の状態も、もっと勝つために使っていいと思います。

今日は少し休ませた方がいいのか。

練習量を減らした方がいいのか。

逆に、非常に良い状態だから積極的に使うのか。

こうした判断に、本人の感覚、監督やコーチの観察と一緒に動作バランスのデータを加える。

データが人間の判断に取って代わるのではありません。

判断するための材料を増やすのです。

故障してから治す。

そこから一歩進んで、故障する前に変化を見つける。

さらにその先へ進んで、最高のパフォーマンスを出せる状態を探す。

「選手を壊さないためのデータ」から、「選手の力を最大限に使って勝つためのデータ」へ。

コンディショニングも、そこまで考える時代になっているのではないでしょうか。

発行:長坂総研
編集:西尾スポーツ編集部
取材協力:脳内プロ野球研究会 ChatGPT


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