🤎:”怖い馬”と呼ばれていた子と日常を重ねた話



“怖い馬”“手がつけられない馬”
そんなふうに呼ばれている一頭がいました。

最初にそう聞いたとき
正直、身構えた部分もあったと思う。

でも、実際に関わり始めてみると
その印象だけで語れるほど単純ではないことが
手入れの時間の中で少しずつ見えてきました。



毎日のお手入れは
特別なことをしていたわけじゃない。
ブラシをかけて、体を触って、脚を見て。
話しかけたりしてみて。
やること自体はいつもと同じ。

ただ
嫌がる場所がはっきりしていたり
近づくと体が強くこわばったり
触る前から緊張が伝わってくる日もありました。

そういうときは
無理に距離を詰めなかった。
「今日はここまで」と決める日もありました。



すぐにこの馬を
“変えよう”とは思っていなかった。

ただ反応を見て
その日の様子を受け取って
深追いはしないようにしていました。

それだけのことを
毎日、毎日繰り返していただけでした。



ある日
手入れの途中でふと気づいた。

以前なら身構えていた場面で
体の力が抜けていたこと。
近くに立っても
逃げるような動きが出なかったこと。

劇的な変化ではない。
誰かに説明するほどの出来事でもない。

でも
空気が少しだけ違っていた気がしました。



「問題行動」と呼ばれるものは
その馬の性格だけで決まるものじゃないと
日々の手入れを通して感じている。

調教の前に日常がある。
触れ方があり
距離の取り方があり
“急がない時間”がある。

手入れは
直すための時間じゃなくて
関係を落ち着かせる時間だと思います。



この関わり方が正解かどうかは分かりません。
でも私は
こういうやり方を選んでお手入れしてます。

今日もまた
同じように手入れをする。
特別なことはせず
日常を重ねていくだけ。

それが
この子と向き合うときに
私が選んでいるやり方です。

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