【第16回】親のエゴが子供の自主性を奪う?
前回は母親に関連する話をしましたが、今回は日本人の親に特有の思考について触れてみたいと思います。
以前テレビで見かけたシーンなのですが、母親と幼い子供が道路を工事しているところに差し掛かりました。
そこでは道路工事に従事する多くの作業員が、照り輝く太陽の下で、汗まみれになって働いています。
すると母親が、子供にささやいたのです。「いいこと。しっかり勉強しないと、あの人たちのようになってしまうのよ」
この会話を聞いた瞬間、私は背筋が凍りつきました。
何という暴言でしょう。
道路工事の中身までは把握できませんでしたが、昨今よく行なわれているのが、水道管の入れ替え工事です。
仮に工事が適切に行われなかったとしたら、近い将来「水が出ない」「トイレが使えない」といった事態も、十分に想像できます。
これは電気工事であっても同じです。今どき、電気が使えなくなったらどうなるか、想像するだけで恐ろしいですね。
先ほどの母親は、エッセンシャルワーカーが私たちの生活に欠かせない「重要な任務」を担っていることを教える「絶好の機会」とすべきでしょう。
「毎日安心して家で水道や電気が使えるのは、この方たちのお陰なのよ」
とでも伝えたら、子供は教科書よりはるかにリアリティを持って、現実を学ぶことができるのではないでしょうか。
最近日本では、まだ幼い子供に対して、お受験のための勉強とか様々な習い事を押しつける傾向にあります。
テレビの取材などでは「子供がやりたいと言っているから」という場面も見かけます。
しかし、もの心ついたばかりの幼い子供に、果たしてお受験や習い事の持つ本質的な意味が理解きるのでしょうか。
これはどう考えても、親の我が子に対する一方的な「エゴ」であるとしか理解できません。
小児脳科学医の成田奈緒子氏によると、親が子供に必要以上に干渉することの危険性を、次のように示唆しています。
「多くの親は子供を自由に泳がせることができない。自ら考える力、課題解決能力や主体性を、実はわが子に植え付けていないどころか奪っているのではないか」
(『高学歴親という病』成田奈緒子著、講談社+α新書)
更に同氏は、この傾向は特に「高学歴の親」に、より顕著に見られると警鐘を鳴らします。
ひょっとすると日本では、幼少時に、すでに自主性を身につける「チャンスを逸している」可能性があるのです。
次回につづく(毎週月曜日に投稿予定)
本文は、弊著『なぜ日本では自主性のある社員が出世しないのか?』より一部抜粋編集し、シリーズ化したものです。
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