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こだま955号、隣の男 第1部「隣」

ゲイマッサージのお客さんを見送ったあとだった

見送りの時、俺は普段振り返らないようにしているのだが、この時は振り返って何故か彼の運転する車を見送っていた。

彼は真っ直ぐ前を見ていた。



濃い時間のあとというのは
一人になった瞬間に妙な寂しさがくる

そのお客さんと暫く会えないことも相まって感傷に浸りながらも心を落ち着かせようとしていた


こだま955号 博多行き 2号車


車内は空いていた
日曜日夕方のこだま、
いつもだいたいこんな感じ。

今日この後は誰とも干渉したくない

そう思って一番後ろの2人掛け
窓側の席に座った

荷物を置いて
背もたれに身体を預ける

窓の外をぼんやり眺めているうちに
少し眠気がきていた

イヤホンをつけ、帽子を深く被り誰も寄せ付けないオーラ全開。


しばらくして

隣に人が座った

(え、まじ?

この空間に???)

目を開けると男だった

車内はガラガラなのに
なぜか俺の隣

同い年くらいだろうか

Tシャツにハーフパンツ
短髪で少しガッチリした身体
小麦色に焼けた肌

大きなキャリーケースとバッグまで持っている

それだけで座席の周りが狭く感じた

通路への道すじを完全にブロックするような荷物の置き方だった。

男は何も言わない

俺も何も言わない


やがて彼はバッグから制汗剤を取り出した

なんだか落ち着かない様子なのはなんとなくこちらにも伝わってきた

身体を拭いている

ふわっと匂いが広がった

少し甘くて
清潔な男の匂い
少し汗の匂いも混じる

さっきまで何とも思っていなかったのに
その匂いだけが妙に残った

また眠ろうと目を閉じる


耳元ではジャズミュージックが心地よく流れている


あー、、、、気持ちいい


寝落ちするわこれ。東広島新幹線駅から広島駅間の移動時間なんて正味10分ほどだが寝たかった


悲しいし
さみしいし

そんな気持ち



しばらくして


なんだか寝ようにも寝れなくて
窓の外を見たくなった

閉まっていたロールブラインドを上げる

その瞬間、隣にいた彼と目が合った

しっかりと

こっちを見ていた

(…え、何?)

俺は何も言わずに窓へ視線を戻した

なのに

さっきよりずっと
隣の男の存在が近く感じた

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