尊敬と忠誠心は同時に存在する
夫とは時々、お互いの気持ちをとことん話すことがあります。ずいぶん前になりますが、夫の口から聞いた「ロイヤルティ」という言葉。
わたしは最初、印税などを意味する「ロイヤリティ」のことだと思ったんですよね。ところが夫は、「それではない」と言いました。
特に調べることもなく、その言葉だけがずっと心に残っていました。
ある日、夫が娘に説教じみた話をしている時に、再び「ロイヤルティ」という言葉が出てきました。
あとで娘に意味を聞くと、スマホの翻訳画面を見せてくれたんです。そこに書かれていた漢字3文字。
「忠誠心」
夫は娘に、自分にはロイヤルティがあるけれど、わたしにはないと話していたそうです。
「ロイヤルティとリスペクトは、同時に存在しているんだよ」
娘がパパに伝えたのは、この言葉。でもパパには響いてなかったみたい。
リスペクトは、尊敬や尊重という意味。娘はすごい言葉をパパにぶつけた、よし!えらい!と思って聞いていました。ところが、夫の考えは違っていて。
「ロイヤルティが先で、そのあとにリスペクトがある」
そう話していたそうです。
それを聞いて、わたしはかなりショックを受けました。
25年の結婚生活の中で、「忠誠心」という言葉を意識したことは一度もなかったから。
テレビや映画で「忠誠を誓う」という場面を見たことはあります。
でも、夫婦の間にあるものとして考えたことがありませんでした。
わたしは25年間、夫を信頼して、夫の言うことを聞いて生きてきました。
妻として夫を信頼していたから、夫の言うがままにいろいろなことをやってきたんです。
夫がすることを黙って見て、「いいと思う」と肯定する。自分が否定されることはあっても、夫のことは否定しない。
自分の意思がなかったとも考えられるかも…
そんなわたしを、夫は「いい奥さんだ」と思っていたのかもしれません。
でも、それを「忠誠心がある」と捉えていたのだとしたら!?
「俺の言うことを聞いていればいい。お前はそれでいい」
もしかしたら、そんなふうに考えていたのかなと思ってしまいました。
夫が王様で、わたしがしもべ。言うことを聞いていればいいという関係。「忠誠心」という言葉で、そんなことまで想像してしまったんですよね。
冗談じゃない…
夫よ、あなたはわたしに忠誠を誓ったの?
結婚生活がスタートした時に、ちゃんと誓っていたの?
夫の国での婚姻は「契約書と誓約書」を読み上げます。
その中に「忠誠を誓う」という言葉があるのか…?
そのような言葉はないそうです;
やっぱり忠誠心は、相手から要求されるものではなく、夫婦の間で自然に芽生える心なんじゃないでしょうか。
「この人のために尽くしたい」と自分から思うことと、「忠誠心を持ちなさい」と相手から求められることは違います。
もし要求する関係だとしたら、上司と部下、王様としもべそのものなのでは?
わたしの中には、今も夫を尊敬する気持ちがあります。
せっかく夫婦になったご縁があるのだから、簡単に離れるという選択をしなくてもいいのかな、とも考えています。
ただ一方で、自分らしく生きたい。精神的にも経済的にも自立したいという気持ちは固まっています。
どんな形で実現するのかは、まだ分かりません。今は調べたり、移住フェアに足を運んだりしながら、いろいろな可能性を探しているところです。
娘が言ったように、尊敬と忠誠心は同時に存在するものなのかもしれません。
そして、どちらが先なのか?どちらの割合が大きいのか?よりも、両方が人の心の中にバランスよく存在していてほしい。わたしはそう思うんです。
でも、夫の中では忠誠心が先で、そのあとに尊敬がある。そう考えると、わたしたち夫婦の力関係は、最初から決まっていたのかもしれません。
夫が以前から口にしていた、
「どうしてわたしの言うことを聞かないんだ」
「あなたの人生のために言っているのに」
という言葉も、忠誠心という考えにつながっていたのかなと思いました…
こうやって自分の気持ちを言葉にしてみると、出てくるいろいろな発見。
夫もまた、25年間抱えてきた気持ちを今になって言葉にしているのかもしれません。
そしてわたしは、夫の言うことを聞かない奥さんになってきた(笑)
それは、自分の意思を持ち、自分らしく生きようとしているということでもあるのかなと思います。
みなさんは、ご自身の人生の中で「忠誠心」を意識したことがありますか?
