キックとベースがぶつかる|同じ場所に2人いるから濁ります
キックもベースも、単体で聴くといい音でした。
一緒に鳴らすと、低音がボワッと膨らんで、どちらも聞こえなくなりました。
原因は、2つが同じ周波数の場所に立っていたことです。
1|低音の場所は狭い
低音は、周波数で言うと 40〜200Hz あたりです。
この狭い範囲に、キックとベースの両方が入ろうとします。
キック 50〜100Hz に芯がある
ベース 40〜120Hz に芯がある
ほぼ同じ場所です。両方がフルで鳴ると、そこが渋滞します。

2|聴き比べ
キックとベースを同時に鳴らします。
1回目は、両方そのまま。
2回目は、ベースの 60Hz 以下を少し削って、キックの場所を空けました。
【音声1|ぶつかる版と、住み分けた版】
2回目のほうが、キックが「ドッ」と聞こえて、ベースの音程も分かりやすくなったはずです。
音量は変えていません。場所を分けただけです。
3|住み分けの3つの方法
やり方は3段階あります。上から順に試してください。
1. EQで分ける ベースの最低域を削る、またはキックの中低域を削る
2. 音色で分ける キックは「ドッ」、ベースは「ブーン」と性格を変える
3. サイドチェインで分ける キックが鳴る瞬間だけベースを下げる
1番だけで解決することが多いです。3番は「ダッキング」とも呼ばれ、
EDM系のあの「うねり」を作る手法ですが、初心者はまず1番から。

4|EQでどこを削るか
具体的にはこうします。
キックが 60Hz に芯がある → ベースの 60Hz 付近を 2〜3dB 下げる
ベースが 80Hz に芯がある → キックの 80Hz 付近を 2〜3dB 下げる
つまり「相手の芯がある場所を、自分が少しよける」です。
芯の場所は、EQのアナライザーで見れば分かります。
一番山が高いところが芯です。
削るのは 2〜3dB で十分。大きく削ると痩せます。
5|どちらを「下」にするか決める
もう1つ、判断があります。どちらが一番下の音を担当するか。
キックが下 ダンス系、ヒップホップ。キックが土台
ベースが下 ロック、ポップス。ベースが土台
決めたら、下でないほうの最低域を削ります。
キックが下 → ベースの 50Hz 以下を削る
ベースが下 → キックの 50Hz 以下を削る
両方が最低域を主張すると、必ずぶつかります。片方に譲らせる。
6|余談。ヘッドホンでは気づかなかった
この問題は、ヘッドホンだと気づきにくいです。
ヘッドホンは低音が近くて分離して聞こえるので、
「キックもベースも聞こえてる」と思ってしまう。
私が気づいたのは、車で鳴らしたときでした。
低音が団子になって、ベースの音程が消えていた。
それ以来、低音の確認だけはスピーカーか、
スマホのスピーカー(低音が出ない環境)でも「音程が聞き取れるか」を見ています。
7|今日やること
いま作っている曲で、キックとベースだけをソロで鳴らしてください。
EQのアナライザーを開いて、それぞれの「一番高い山」を見ます。
キックの山 ◯◯Hz
ベースの山 ◯◯Hz
近ければ、どちらか一方の、相手の山の場所を 2〜3dB 削ります。
これだけで低音の団子がほどけます。

8|今日のまとめ
・キックとベースは 40〜200Hz の狭い場所で同居している
・ぶつかると、どちらも聞こえなくなる
・まずEQで住み分け。相手の芯の場所を 2〜3dB よける
・どちらが一番下を担当するか決めて、もう片方の最低域を削る
・ヘッドホンでは気づきにくい。スピーカーか、低音が出ない環境で確認
同じ場所に2人はいられません。片方がずれれば、両方見えます。
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