【🎨展覧会レポ】三鷹の森ジブリ美術館「<山脇百合子の仕事部屋>展 ~ごちゃごちゃから見えるもの~」
【#337、約5,600文字、写真約50枚】
三鷹の森ジブリ美術館(以下、ジブリ美術館)へ子どもと行き、全体を楽しむと同時に、企画展「<山脇百合子の仕事部屋>展 ~ごちゃごちゃから見えるもの~」を鑑賞しました。その感想・レビューを書きます。
▶︎ 結論
とても満足感の高い美術館でした!それは主に、1)企画展を含め、押し付けがなく、自然と知的好奇心を高められる、2)子どもも大人もそれぞれの視点で楽しめる、3)アニメーターなどつくり手へのリスペクトを感じたためです。結果的に、約3時間半滞在していました。都内の人も、旅行者にもオススメです!
注意点は以下です。
・予約は月に1回(翌月10日の10時)の争奪戦
・入館は10時がオススメ
・ポストカードは2箇所で別々のデザインを販売
おすすめ度:★★★★☆
会話できる度:★★★★☆
混み具合:★★★☆☆
展覧会名:「山脇百合子の仕事部屋」展 ~ごちゃごちゃから見えるもの~
場所:三鷹の森ジブリ美術館
会期: 2025年11月19日(水)~2027年5月(予定)
休館日:火曜日
開館時間:10:00開館/18:00閉館
住所:東京都三鷹市下連雀1丁目1−83
アクセス:吉祥寺駅から徒歩約15分
入場料(一般):1,000円
事前予約:ー
所要時間:約3時間半
撮影:館内はすべて不可
巡回:ー
URL:こちら
▶︎ 訪問のきっかけ

家族で金曜ロードショー「千と千尋の神隠し」を見た時、子どもにジブリ美術館へのお出かけを提案しました。美術館にあまり行きたがらない子どもも「行きたい!」と即答でした。
私は、14年前にジブリ美術館へ訪問しました。当時の記憶はかなり薄れていたため、私も新鮮な気持ちで再訪問したかったです。

▶︎ アクセス

ジブリ美術館へは、吉祥寺駅から徒歩約15分。三鷹駅からも約15分です。なお、三鷹駅からはジブリ美術館のラッピングバスが運行しています。







▶︎ 三鷹の森ジブリ美術館とは?

おもしろくて、心がやわらかくなる美術館
いろんなものを発見できる美術館
キチンとした考えがつらぬかれている美術館
楽しみたい人は楽しめ、考えたい人は考えられ、
感じたい人は感じられる美術館
そして、入った時より、出る時
ちょっぴり心がゆたかになってしまう美術館!
✔️ 実は市立美術館

ジブリ美術館の正式名称は「三鷹市立アニメーション美術館」。2001年、三鷹市が「三鷹市立アニメーション美術館条例」を制定しました(開館も2001年)。市立美術館のため、正式名称に特定団体名を入れられないようです。
公式HPでは、吉祥寺駅(武蔵野市)ではなく、三鷹駅からのアクセスが記載されているのも「三鷹市立美術館」であることが関連しています。
✔️ チケットは争奪戦!

チケットは、完全予約制です。毎月10日の10時から、翌月入場分を発売。私も販売開始時間ちょうどにネットで購入を試みました。争奪戦の中、何度かエラーが出つつ、買えました。
チケットは大人1,000円。私たちは、約3時間半いたため、結果的に、入場料のコスパは良いと思いました。

近年、ジブリは新作がないことに加え、サブスクも実施していません(一部海外のNetflixでは視聴可)。それでも、美術館は連日大盛況。ジブリのDNAは日本人の奥底に染み込んでいると実感しました。
なお、私の好きなジブリ作品は「千と千尋の神隠し(2001)」「平成狸合戦ぽんぽこ(1994)」「おもひでぽろぽろ(1991)」です。
✔️ 朝イチ入場がオススメ

入場数を制限しているため、館内は快適!しかし、人が滞留することに加え、新しく入館してくる人がいるため、徐々に混雑してきます。そのため、入場は朝イチがオススメです。
また、チケットの購入ハードルが高いためか、来場者に外国の方は少なかったです。施設内では、カフェ以外で、英語表記はほぼありませんでした。
✔️ 独自の世界観=「すまし汁」

館内は、ジブリの優しい世界や夢で包まれていました。「キャラクター、ドーン!」「グッズを買え!」という商業的なにおいはありません。ジブリのキャラクターたちは、常設展示や、館内のステンドグラスにチラッといる程度。ディズニーランド=味の濃いシチューだとしたら、ジブリ美術館=すまし汁といった印象です。
随所に楽しい仕掛けがあるため、徹底的に小さな来館者目線に立って設計されていると思いました。また、大人も十分に知的好奇心を満たせる面白さがありました。
✔️ 館内は撮影禁止

入館の際、スタッフから「撮影禁止」と伝えられます(外は撮影OK)。館中には、撮りたいものがたくさん!什器1つとっても、すべてが映える空間でした。開館当時は撮影できたものの、本来の趣旨からズレた行動が目立ったため、撮影禁止になったそうです。

最初は、撮影禁止を残念に感じましたが、そのうち慣れました。そして、数時間過ごすうち「世界観に没頭できるから、撮影禁止は良い選択だ」と思いました。来館者で、ケータイを手にする姿も稀。みな、ジブリの世界観を楽しんでいました。
✔️ 25年たっても挑戦し続ける

運営は…
小さな子ども達も一人前にあつかいたい
ハンデをもっている人にできるかぎり配慮したい
働く人が自信と誇りを持てる職場にしたい
道順だの、順路だのと、あまりお客さんを管理したくない
展示物に埃がかぶったり、古びたりしないよういつもアイデア豊かに、
新しい挑戦を続けたい
そのために投資を続けるようにしたい
ジブリ美術館は、オープンからすでに25年が経過。しかし、館内では古さを感じませんでした。宮﨑駿の言う通り、常に新しい挑戦が続いていました。美術館のブログや、X(フォロワー数:34.5万)は更新が続き、「季刊トライホークス」も3ヶ月に1度発刊されています。
今朝は三鷹もこんなに雪が降りました❄️
— 三鷹の森ジブリ美術館 Ghibli Museum, Mitaka (@GhibliML) February 8, 2026
美術館は通常どおり開館しますが、本日は券面の予約指定時間に遅れても入場できます。
屋上などの一部は、滑りやすく危険なため封鎖しますが、スタッフ一同で雪かきしてお待ちしております。
安全第一に、足元に気をつけてゆっくりお越しください。 pic.twitter.com/s80VZwcaeS
市立美術館では、定期更新が途絶える場合が多くあります。今後も、ジブリ美術館の発展に期待したいです。
▶︎ 施設の全体像

建物は…
それ自体が一本の映画としてつくりたい
威張った建物
立派そうな建物、豪華そうな建物、密封された建物にしたくない
すいている時こそ、ホッとできるいい空間にしたい
肌ざわり、さわった時の感じがあたたかい建物にしたい
外の風や光が自由に出入りする建物にしたい
施設全体は、地下1階〜2階、屋上のこぢんまりとした構成になっています。ほぼ館内で完結しているため、雨でも楽しめます。なお、ベビーカーは入り口で預ける必要があります。
以下、上の階から順にサクッと紹介します。
▶︎ 屋上

✔️ 屋上庭園 / ロボット兵

屋上には、約5メートルのロボット兵がいます。ここが唯一の写真スポット。スタッフの方にお願いすれば、写真を撮ってくれると思います。





▶︎ 2階

✔️ ネコバスルーム
帰り際、子どもに「何が面白かった?」と聞くと「ネコバス!」と即答。ネコバスルームでは、大きなネコバスの中に入ったり、上に乗ったり、そこから下に滑ることができます(小学生以下限定)。まっくろくろすけのぬいぐるみもたくさん置いていあり、子どもたちは投げ合って楽しんでいました。
ここは、時間を区切った入れ替え制でした(何度並んでもOK)。私の子どもは「帰る前にネコバスに行きたい!」と言うくらい、合計4、5回並び直して遊んでいました。
✔️ ミュージアムショップ「マンマユート」

《映画「魔女の宅急便」(1989年作品)/グーチョキパン店》
メインのミュージアムショップ「マンマユート」。『紅の豚』に登場する空賊たちの名前です(意味は、イタリア語で「ママ、助けて」)。
この手の美術館では、グッズ売り場は購買欲を刺激するようなフルラインナップです。しかし、ジブリ美術館のミュージアムショップの規模は控えめだったため、少しびっくりしました。

時折、街角で見かけるショッパーは、ジブリ美術館のものだったと初めて知りました。どうりで街中には、この袋をドヤ顔で普段使いしている人がいるんですネ(特に関西)。

✔️ 図書閲覧室「トライホークス」
2階には「トライホークス」というショップもあります。主に、ジブリ美術館オススメの絵本・児童書を扱っています。名前の由来は「トライホークス」=三羽の鷹=三鷹です。
ショックだったのが「トライホークス」で、ジブリ美術館をモティーフにしたポストカードを売っていたこと。「マンマユート」で、ジブリ作品をモティーフにしたポストカードを買った後に知りました😨
▶︎ 1階

✔️ 常設展示室「映画の生まれる場所」
展示物は…
ジブリファンだけがよろこぶ場所にはしたくない
ジブリのいままでの作品の絵が並んでいる
「おもいで美術館」にはしたくない
みるだけでも楽しく、つくる人間の心がつたわり、
アニメーションへの新しい見方が生まれてくる場所をつくりたい
ジブリ美術館には、常設展示室が2つあります。ここには、ありとあらゆるモノであふれています。絵コンテからアニメができるまで「つくることへの興味」が高まるように、楽しく紹介されていました。
デジタル技術が発展した現在、絵コンテは今もあるのでしょうか?アニメ制作は、肉体労働。ロマンがないと続けられないと思いました。
▼ ジブリのアニメ制作がよくわかるオススメの新書
✔️ 企画展示室「<山脇百合子の仕事部屋>展 ~ごちゃごちゃから見えるもの~」
ジブリ美術館では、継続的に企画展も実施しています。訪問時は、絵本作家・山脇百合子の展示でした。
山脇百合子(旧姓:大村)は『ぐりとぐら』の挿絵を担当した方です。実姉は絵本作家・中川李枝子。姉から『いやいやえん』の挿絵を依頼されたことから、仕事に弾みがついたそうです。
中川李枝子はジブリと関係が深く『となりのトトロ』の「さんぽ」を作詞された方です。宮﨑駿が、中川李枝子の絵本を読んで衝撃を受けたため、作詞をお願いしたとのこと。
展示室内には、山脇百合子の仕事部屋を再現がされていました。本がびっしり、机の上は「ごちゃごちゃ」で、作業スペースはほぼありません(笑。まるで「映画の生まれる場所」と同じでした。生活感120%で、つくり込みに熱量の高さを感じました。
そのほか、ひたすら山脇百合子の私物が並びます。編み物、手紙、ハンコ、過去の絵、中には蛇の抜け殻まで…。モノをつくるのも、集めるのも好きだったようです。そのような好奇心や情熱が、作品制作につながったことが、よくわかりました。
『いやいやえん』の挿絵を描いたのは高校生の頃。その後、上智大学のフランス語学科へ。東京オリンピックでは、フランス語の通訳も務めたり、フランスの翻訳絵本も手掛けました。
彼女のアートワークを見ると「絵本の挿絵には、独自の良さがある」と改めてわかりました。ちょうど『職業美術家の逆襲』(山下裕二、2021年)を読んでいたこともあり、ファインアートとは違う、挿絵の世界を見て「作品に貴賎はない」と思いました。
山脇百合子は、中学、高校は美術部に所属し、もともと絵を描くのが大好きでした。その「好き」の延長が仕事につながり、世の中に貢献しました。ウチの子どもも、そんな「好き」が見つかればいいな、と思いました。
展示室内は「心地よいごちゃごちゃ」が表現されていました。企画展単独で見ても、十分に鑑賞する価値がありました!
✔️ カフェ「麦わらぼうし」

ジブリ美術館内にある唯一の飲食店。人が多い時間帯は、外で食べることもできます。





食事する際は、館内の方が雰囲気があるためオススメです。

マンマボスが大好きなスープ(¥700)
麦わらぼうしのホットドッグ(¥700)
▶︎ 地下1階

✔️ 映像展示室「土星座」

ジブリ美術館には映画館もあります(座席数:約80)。1時間に3回上演。入場券が映画のチケットの役割も果たしています。
ここでは、スタジオジブリが土星座のためにつくったオリジナル短編アニメなどが上映されています。当時は『いやいやえん』中の『くじらとり』でした。子どもたちの笑顔がステキで、心がほんわか温まる映画でした。
✔️ 常設展示室「動きはじめの部屋」
1階の常設展では、ゾートロープなど「アニメ=動く絵」ができる仕組みや歴史を紹介。「ジブリ」を前面に出さず、知的好奇心に働きかける姿勢には、クラフトマンシップに対するリスペクトを感じました。
▼ ゾートロープの展示があった東京都写真美術館の展覧会
✔️ 中庭(パティオ)

美術館とカフェの間にある中庭(パティオ)。その中央のガゼボ(西洋風あずまや)には、手こぎポンプ式の井戸があります。


実際に、ポンプを漕ぐと、井戸水を汲むことができます。また、その奥には、薪がたくさん積み上げられています。実際に、ここで割られた薪がカフェ「麦わらぼうし」で使われています。



▶︎ まとめ

ジブリ美術館への興味はわきましたでしょうか?私は約3時間半も滞在していました。再訪だったものの、多くの発見がありました。押し付けがましさがなく、アニメそのものや、アニメーターへのリスペクトを感じる気持ちのいい空間でした。子どもも大人も、それぞれの見方で楽しめ、心が賦活されるオススメの美術館です!ジブリパーク(名古屋)も行きたくなりました。
▶︎ 次回予告
次回は、パラミタミュージアム(三重県)で開催された「HAIBARA展」の感想を投稿する予定です。
▶︎ あなたにオススメ
▼ 『魔女の宅急便』の作者がつくった美術館
▼ ジブリの展示もあったロエベ展
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