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【🎨展覧会レポ】岐阜県美術館「グラフィックデザインの曙ー加藤孝司とシルクスクリーン」「ルドンと音楽」ほか

【#353、約4,500文字、写真約50枚】
岐阜県美術館に初めて行き、企画展「グラフィックデザインの曙ー加藤孝司とシルクスクリーン」、所蔵品展「生誕120周年 坪内節太郎 / 没後130周年 牧野伊三郎」「ルドンと音楽」「見慣れない風景」「ぎふの日本画 冬来たりなば 春遠からじー岐阜県ゆかりの画家が描いた花鳥ー」を鑑賞しました。その感想、レビューを書きます。

※ 展覧会の会期はすでに終了しています。

▶︎ 結論

特別な企画展がなくとも、岐阜に関連する作品をたくさん見られたため、この地域を知る上では、訪れる価値のある展覧会でした。展示数も意外にもボリューミー。近くに、公園、図書館、科学館があるため、地元の方は家族で訪問すると、和やかで楽しい1日が過ごせると思います☺︎

おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★☆☆☆
混み具合:★★☆☆☆
展覧会名:①グラフィックデザインの曙ー加藤孝司とシルクスクリーン、②生誕120周年 坪内節太郎 / 没後130周年 牧野伊三郎、③ルドンと音楽、④見慣れない風景、⑤ぎふの日本画 冬来たりなば 春遠からじ ー岐阜県ゆかりの画家が描いた花鳥ー
場所:岐阜県美術館
会期:①2025年11月26日~2026年3月15日、②〜⑤2025年11月5日~2026年3月29日
休館日:月曜日、年末年始
開館時間:10:00〜18:00
住所:岐阜市宇佐4‐1‐22
アクセス:西岐阜駅から徒歩で約15分
入場料(一般):340円
事前予約:ー
所要時間:約1時間半
撮影:収蔵品展以外は撮影可能
巡回:ー
URL:①こちら、②こちら、③こちら、④こちら、⑤こちら


▶︎ 訪問のきっかけ

岐阜に2泊3日で行った旅行の最終日、岐阜駅周辺を観光しました。付近にある美術館を調べた結果、岐阜県美術館に行きました。

▶︎ アクセス

岐阜県美術館は、西岐阜駅から徒歩約15分。西岐阜駅は岐阜駅の隣駅です。美術館へは、岐阜駅からバスでも行けるようです。

美術館の近くに、科学館や図書館などが集まる
案内もあって安心
入り口付近には滝と、鯉のいる池

▶︎ 岐阜県美術館とは?

岐阜県美術館は1982年に開館。2019年にリニューアルオープンして以降、コンシェルジュ、カフェ、キッズコーナーの設置、ショップの拡充など「ナンヤローネ」活動を強化しています。

県民文化の森
高橋清《第3の太陽》
ルノワール《勝利のビーナス》
李禹煥《関係項》
マイヨール《地中海》

収集作品は、岐阜生まれの山本芳翠や熊谷守一、岐阜にゆかりのある川合玉堂(8歳〜14歳に居住)など。また、ルドンの作品を250点以上所蔵している点も特徴です。

外観は地味だけど、
館内は広く明るいため、ちょっとびっくり。
当時は展示室1〜3のみ訪問
子どもとのコミュニケーション施策も積極的
パイプオルガンのある多目的ホール
カフェ休憩も可能
館内にはたくさんのバルセロナ・チェア
近所にはステキな公園も

✔️ なぜ西⚫︎岐阜駅に?

美術館に行く前「なぜ、岐阜駅ではなく、1駅隣の西⚫︎岐阜駅という中途半端な場所にあるんや?」と思いました。私たちは岐阜駅近くに泊まっていたため、1駅だけの移動は、微妙に面倒で迂遠でした。

過去、岐阜県美術館を構想した際、岐阜駅周辺の繁華街には適切な土地がありませんでした。そこで、岐阜駅から少し離れた岐阜県庁の近くに、まとまった土地があったため、美術館などの設立に至ったようです。

そして、岐阜県美術館(1982年)が開館した後、西岐阜駅が開業(1986年)。西岐阜駅には快速も停まります。そのため、岐阜駅しかなかった時に比べて、駅から美術館へのアクセスはむしろ良くなったのかもしれません。

▶︎ 企画展「グラフィックデザインの曙-加藤孝司とシルクスクリーン」感想

加藤孝司(1916-1998 岐阜市生)は、グラフィックデザイナーの魁として、洒脱でモダンなセンスで全国的に活躍しました。1960年前後、謄写ガリ版原紙の後継として躍進していた岐阜のシルクスクリーン産業と加藤は出会い、互いに高め合います。シャープで質感に優れ、最高峰の手作業の気配が美しい孔版印刷の作品群を一挙に公開いたします。

公式サイトより

✔️ 加藤孝司とは?

《みや美会》
初期の作品(丸宮百貨店は1962年に閉店)

岐阜県生まれの加藤孝司は、大阪万博のデザインコンペに招聘されるほど、当時は有名デザイナーの1人でした。

《大阪万博シンボルマークコンペ出品パネル》
最終候補に残ったらしい

作品の中でも《グランド印刷》はMoMAにも収蔵されています(グランド印刷=シルクスクリーン)。

《ぎふ鵜飼》、《長良川ホテル》
《グランドインサツ》(MoMA所蔵)、《グランド印刷》
《東海ラジオ》、《ぎふ鵜飼》
《ア》《イ》
今風なおしゃれデザイン

最近、偶然にも私は版画の展覧会に行くことが多いです。行くたびに疑問を調べることで、版画を見る面白さも少しずつわかってきました。

▼ 2026年に訪問した版画の展覧会

なお『こぐまちゃん』シリーズを描いた若山憲も岐阜県生まれ。加藤孝司の事務所で働いていた時期もあったそうです。展覧会には、若山憲が加藤孝司の孫に送った絵本も展示するなど、ほっこりエピソードもありました。

若山憲が加藤孝司の孫に送った絵本

✔️ カレンダーやポスターの役割

《都市生物》、《IBM》

当時のグラフィックは無骨で、どことなくドイツっぽい印象でした。一方で近年、ゴツくてシンプルなデザインは見かけません。企業がデザイナーとポスターをつくる場合は、写真やイラストを使うことが多い印象です。

《定期預金》

加藤孝司的なグラフィックポスターは、美しいと思うものの…、実用的ではない印象です。何を伝えたいのか、メッセージが薄いためです。現在、そのようなデザインは、ブランディングや広告に効果が低そうです

《女体(演奏会)》、《グランド印刷》、《グランド印刷》
《死の灰はごめんだ》、《母親大会(願いはただひとつ)》

ポスターの役割も、過去と今では変わってきたと感じます。高度経済成長期は、意味性の薄いグラフィック+標語で良かったと思います。しかし、今はビジネスとしての成果や、情報を正しく伝えることが重視されるようになりました。その結果、紙面が文字情報だらけになったと思います。

また、グラフィックやデザイナーの仕事も、シルクスクリーンから、DTPに変わりました。求められる技術も、時代や需要によって変わったのかな、と思いました。

岐阜駅にあったポスター

日本のポスターは文字だらけな一方、欧米などの海外では、加藤孝司的なポスターが多い印象です。日本の街には文字があふれていますし、国民がもつ美的センスの違いによるのでしょうか。

スウェーデンの地下鉄にあったポスター(2025年撮影)
《美濃紙業所カレンダー》

BtoB広告賞では、カレンダー部門が今もありますが(2025年の金賞はパナソニック株式会社エレクトリックワークス社)、昨今は企業カレンダーもあまり見なくなりました。私の家にもカレンダーはありますが、部屋の美観を損ねたくないため、日付と枠だけのシンプルなものを使っています。

この展覧会では、加藤孝司のデザインセンスを見られたと同時に、過去と現在のカレンダーやポスターがもつ役割の変化も感じることができました。

▶︎ 所蔵品展 感想

当日、所蔵品展が同じ会期で4つ開催。それぞれの展示数は少なめです。実質、4つで展覧会1つのような印象でした(すべて撮影不可)。

✔️ 生誕120周年 坪内節太郎 / 没後130周年 牧野伊三郎

坪内節太郎(1905-1979)、牧野伊三郎(1870-1895)はともに、岐阜県生まれのアーティスト。前者は生誕120周年、後者は没後130周年と、「⚫︎⚫︎周年」は「ものは言いよう」です(笑。

坪内節太郎の作品は、抽象的かつ暗めのトーンが多かったです。そういった時代背景を象徴しているのかな、と思いました。

彼はさまざまな賞を取り、展覧会の審査員なども務めました。一見して「この作品はどこがすごいんや?」と思っても、そのような実績があれば「そういうもんなんかな」と思ってしまいます。また、そのような実績が次の実績を産むことがあるため、美術展に出展して賞を取ることにも意味があると再認識しました。

また、岐阜出身の作家作品のモティーフには、鵜や鮎が多かったです。岐阜県は皆、そこに誇りをもっているのでしょうか。奈良県民であれば、鹿に親しみがあることと同じですかね。

✔️ ルドンと音楽

ショップのルドングッズ

ルドン(1840−1916)はフランス生まれのアーティスト。気球が目玉になった怪しい雰囲気の作品が有名です。

《「夜」 Ⅳ》(画像引用
「Fate/Zero」のキャスターみたい

石版画集『夜』(1886年)でも、彼の持ち味を十分に感じました。展示作品の中では《眼をとじて》が印象に残りました。色彩豊かではあるものの、どこかくすんでいて、死の面影を感じました。

ルドン《眼をとじて》

岐阜県美術館は「(ルドンの)コレクションは世界有数のものとして知られています」と自分で言っちゃうくらい、ルドンが自慢の収蔵品です。そのため、なぜルドンを集めるようになったのか?その経緯をパネルなどで説明してくれると、なお良いと思いました。

また、ルドンの部屋では、バルセロナ・チェアが7脚、円を描くように設置されていました。このような豪華な置き方は初めて見ました。

✔️ 見慣れない風景

見慣れた風景も、作品を通すと、それまでとは異なる様相を見せるという考えのもと、クリスト荒川修作の写真、ドローイングが展示されていました。2日前に養老天命反転地に行っておいて良かったです。

✔️ ぎふの日本画 冬来たりなば 春遠からじ ー岐阜県ゆかりの画家が描いた花鳥ー

川合玉堂をはじめ、初春から春にかけて咲く花々や、その時期にみられる鳥を描いた日本絵画が展示されていました。

ちょうど、当時読んでいた本『日本美術の底力: 「縄文×弥生」で解き明かす』(山下裕二、2020)に、岐阜県美術館が所蔵する山本芳翠《浦島》が解説されていました。「実物を見られたらラッキー」と思いましたが、展示されていませんでした。

山本芳翠《浦島》(画像引用
今回は展示なし

▶︎ まとめ

買ったポストカード。
チラシを再利用した封筒を使っているのは初めて(笑

いかがだったでしょうか?程よい広さの中に、岐阜の思いがギュッと詰められた展示でした。特別展を実施していなくとも、十分なボリューム。ただ、若干中途半端な場所がにあるため、旅行者よりも、地元の方向けの美術館だと思いました。近くに、公園や図書館などの施設があるため、子ども連れにもオススメです。

▶︎ 今日の美術館飯

★3.4/じじばば (岐阜県/岐阜駅) ー コーヒー、モーニングサービス (¥400)

▶︎ 次回予告

次回は、映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の感想を投稿する予定です。

▶︎ あなたにオススメ3選

1)グラフィックに関する展覧会

2)岐阜県にあるオススメ美術館

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