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竹と“かぐや”の佇まい

竹は、しなやかに伸びてゆく
上へ上へと、高く空に向けて伸びてゆく

長い時を越え、ゆっくりと節目を刻んで、
深みのある鮮やかな色と
凛々しい落ち着きへと成長してゆく

竹は、風情と風流を僕らに届ける

地中から顔を出したタケノコは
春の訪れを爽やかに知らせ、
香りと味覚で愉しませる

硬い皮に包まれながら、
柔らかな部分を隠して育つ

丁寧な処理や対処をしなければ
えぐみや苦味でアクが強くなってしまう
味覚で味わうことができる若芽の期間は短い

若芽、若竹と
成長を遂げるに連れて皮は剥がれ、
地上をニョキニョキと伸びてゆく


深みのある鮮やかな色と
風によって揺れる枝葉の音は
風景や風情として
僕らの目と耳を愉しませる

正月には門松として新年を祝い、

夏には七夕飾りや流しそうめんで
涼しげな季節感に彩りを添える

丈夫で軽く、しなやかな竹の性質は、
篠笛や尺八、鹿威ししおど
竹かご、花挿し、照明インテリア
竹竿にもなれば、竹ほうきにも姿を変えて
空間に心地よい静寂と余韻を演出してくれる

竹の節は
形を保つ強度と
曲がっても折れない
しなやかさを生み出す


「かぐや姫」は
竹の中で光り輝き、節目で佇んでいた

竹取のおきな夫婦から温かな優しい愛情を受けて
美しく可憐な女性へと成長してゆく

かぐや姫の美貌の噂を聞きつけた
5人の貴公子から求婚されるが、
無理難題を突きつけて退けた

みかどからの誘いにも従わず、
求愛を断るが、長きに渡る
和歌や手紙のやり取りを通して
深い絆を育んだ

かぐや姫は
月の住人だから
誰とも結婚はしなかった

けれど、
それだけではないようにも感じる

顔を見たこともない段階で
噂だけで言い寄ってくる者や
美しさだけで選定する男たちに
不信や嫌悪を抱いていたのかもしれない

かぐや姫は
外面そとづらではなく、
“かぐや姫”としての内面で
繋がりや絆を深めたかったのかもしれない

何となくそんな気がした


かぐや姫は最終的に
十五夜の月からの使者とともに
地球での記憶は羽衣によって消され、
地上で育んだ愛情や感謝を忘れてしまう

竹取のおきな夫婦や帝たちは
打つ手がなく、見送るしかなかった

竹の中で輝きを放った
かぐや姫は成長した後、
月へと帰ってしまう

“かぐや”は、
「光輝く」という意味らしい

僕らはそれぞれの竹を育てて、
生きていく中で刻んでいる節目に
かぐや姫のような小さな輝きが
灯っているのかもしれない

小さな灯火は、
か細く強い風が吹けば
消え入ってしまいそうだ


丁寧に温かな優しい愛情を注げば
小さな灯火は明るく暖かい
輝きを放ち始める

輝きを放つ灯火が
かぐや姫のように自分の手から
突然消えてしまうことはない

外面や肩書きだけでは、
その人の性根や本音は見えてこない

だから…
自分に対して
他人に対しても
問いて、考えることを続ける

信じるだけではなく、
疑うことも忘れずに

大切にしていたはずの
本来の自分自身を
忘れ去ってしまわないように…


竹は
華やかな花を
咲かせることもなければ

彩り綺麗な果実を
つけるわけでもない

煌びやかな派手さもない

けれど、
静寂と落ち着きの中に
不思議と穏やかになるような
惹きつける存在感と佇まいがある

竹のように
軽やかにしならせながら
節目に灯る輝く光を丁寧に大切に
育める存在として、生きていきたい

僕は僕らしく

あなたはあなたらしく

どんなかたちになっても、
竹は性質を活かして在り続ける

竹の節は一本に約60個あるらしい

人の節目も数多としてある中から
小さな灯しをみつけて
育てていければ
きっと、輝きはじめる

大丈夫、まだ輝けるよ

大丈夫、まだ伸びていけるよ

静寂と余白とともに…

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