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【手相考察】夜中に手相彫師が来たわけでもないのに、なぜ私の手は「内面の履歴書」になっているのか

ふと思いついて、自分の左右の手の写真を撮り、AIに手相占いを頼んでみた。
画面の向こうのAIに、期待半分、面白がり半分で問いかけてみる。

「手相見れる?」
「特別な相とか、ない?」

密かに「ラッキーM」とか「覇王線」みたいな珍しい吉相があってもいいんじゃないか、なんて淡い期待を抱きながら。

けれど、戻ってきた判定は驚くほどシビアだった。

・ますかけ線:なし
・覇王線:なし
・ラッキーM:不成立
・左右の差:ほぼなし

拡大写真を送って食い下がってみたものの、「中央の縦線が途切れているため不成立です」と冷静に撃沈。
棚からぼた餅のような強運を示す相は、見事にひとつも当てはまらなかった。
残念ながら、私は選ばれし強運の持ち主ではなかったらしい。

では、何があったのか。

代わりにAIが拾ったのは、私の掌全体に無数に刻まれた「細かく複雑な線」だった。
手相占いの解釈では、こうした線の多さは「考えすぎるタイプ」「先のことをあれこれ考えるタイプ」と読むらしい。

そこで、これまで私が書いてきた文章や発言の傾向と照らし合わせて、AIに確認してもらった。
すると返ってきた答えは、妙なほどの一致だった。

「心配性だから、あらかじめ考えておく」
「起こりうることを想定して準備する」

そんな私の思考パターンと、手相占いで語られる特徴が、まるで答え合わせをしたように重なっていた。

……でも、ここで私はふと違和感を覚えた。

ちょっと待ってほしい。

夜中に「手相彫師」なる謎の職人が忍び込んできて、

「この人は、先のことをあれこれ考えるタイプだな」

と私の性格を観察し、寝ている間にノミとハンマーで掌に線を彫り刻んでいったわけではないのだ。
手のひらのシワなんて、基本的には遺伝や手の使い方、皮膚の収縮などによってできた身体の折り目に過ぎない。
一方で、私の考え方や発言の癖は、これまでの経験や環境の中で積み重なってきたものだ。

そこに直接的な関係なんてない。

なのに。

偶然できたはずの手のシワと、これまでの人生で形作られてきた思考の癖が、なぜか同じ方向を向いている。

「この手相だから、私はこう考えるようになった」
でもない。

「こういう性格だから、この手になるように生きてきた」
でもない。

ただ別々に存在していたはずのものを並べてみたら、まるで最初から知っていたかのように一致している。
手のシワと、私の内面。

本来なら交わるはずのないふたつのものが、なぜか並べてみると、まるで「内面の履歴書」のような顔をして現れる。
その不思議さが、なんともおかしかった。
強運を示す特別な相は、ひとつもなかった。
けれど、棚からぼた餅のような幸運ではなく、これまで私がどう考え、どう悩み、どう準備しながら生きてきたのか。
そんなものが、偶然できたはずの手のシワの中に、まるで記録されているように見える。
もちろん、本当に手相が私の内面を刻んでいるわけではない。
でも、そう思いたくなるくらいの一致が、なんだか面白い。

まあ、理由は何であれ。
これからもこの「なぜか内面の履歴書になってしまった手」と付き合いながら、自分のペースで一つひとつ現実を調整していこうと思う。


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