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「美容師は若いうちだけ」を終わらせたい。子連れ出勤OKの職場を作った理由と、その先に見えたもの

正直に言うと、子連れ出勤をOKにしたのは、
最初から大きなビジョンがあったわけじゃないんです。

ただ、目の前に
「働きたいけど、子どもがいるから働けない」
っていうスタッフがいて。

その子の気持ちが、痛いほどわかったんですよね。

私自身、シングルマザーとして子育てしながらサロンを立ち上げてきたから。
子どもがいるから働けない、っていうあの感覚は、
本当によく知ってる。

だから、うちのサロンでは「子連れで出勤していいよ」っていうのを、
特別なことじゃなくて、普通の選択肢にしたんです。

じゃあ、実際にどうやってるのかっていうと、
まずお店の設計の段階から考えました。

バックヤードにキッズスペースを作って、
施術中にお子さんが過ごせる場所を確保したんです。

お客様の施術に集中できるように、動線も工夫して。
子どもが飽きないようにおもちゃも用意したし、
安全面のルールもスタッフ全員で共有しました。

「子連れで働ける」を特別な許可じゃなくて、当たり前の選択肢にする。それだけで、辞める理由がひとつ消えるんです。

これって、すごく大きいことだと思うんですよね。

美容業界って、出産を機に辞めちゃう人が本当に多いんです。
技術もあって、お客様からも信頼されてて、
でも「子どもがいるから無理」って諦めてしまう。

それが、「子ども連れてきていいよ」のひと言で、
辞めなくて済むようになる。

実際にうちのスタッフが子どもを連れて出勤してる姿を見て、
他のスタッフが「あ、将来自分もこうやって働けるんだ」って
思ってくれてるんですよね。

それがまた安心感になって、長く働いてくれる。

子連れ出勤って、今いるスタッフのためだけじゃなくて、
未来のスタッフのためにもなるんだなって、
やってみて初めて気づきました。

泣き声が聞こえても誰も焦らない。「お互い様」が根づくまでにやったこと

子連れ出勤OKにしたからって、
最初からスムーズにいったわけじゃないんです。

やっぱり、施術中に子どもが泣いちゃうこともあるし、
「お客様に迷惑かけてないかな…」って
不安になるスタッフもいました。

正直、最初はみんなちょっとピリピリしてたと思います。

でも、あるとき気づいたんですよね。

子どもが泣いた時に、
手の空いてるスタッフがサッと様子を見に行ってくれたんです。

誰に言われたわけでもなく、自然に。

それを見た時に、
「あ、この空気が作れたら大丈夫だ」って思いました。

大事なのは、制度を作ることじゃなくて、「お互い様だよね」っていう空気を作ること。

制度だけ作っても、周りの目が冷たかったら意味がないんですよね。

「子連れで来ていいよ」って言われても、
実際に連れてきたら嫌な顔されたり、
気まずい空気になったりしたら、
結局そのスタッフは引け目を感じて辞めちゃう。

だから私は、子連れ出勤を
「特別に許可してあげてる」っていう雰囲気には
絶対にしたくなかったんです。

これは当たり前のこと。
誰だってライフステージは変わるし、
今サポートする側の人も、
いつかサポートされる側になるかもしれない。

そういう話を、日頃からスタッフにはしていました。

実際、お客様の反応も意外だったんですよね。

子連れで頑張ってるスタッフの姿を見て、
「応援したくなる」って言ってくださる方がいたんです。

特にママ世代のお客様からは、
すごく共感してもらえて。

「こういうサロン、もっと増えたらいいのに」って
言ってもらえた時は、本当に嬉しかったですね。

子連れ出勤って、
スタッフのためだけの制度だと思われがちなんですけど、
実はお客様との信頼関係にもつながるんだなって。

泣き声が聞こえても、誰も焦らない。
それが当たり前になった時、
うちのサロンは本当に強くなったなと思います。

出産で辞めた元トップスタイリストが、うちに来てくれた理由

これ、採用の話なんですけど、
すごく嬉しかった出来事があって。

出産を機に大手サロンを辞めた方が、
うちに面接に来てくれたんです。

その方、前のサロンではトップスタイリストだったんですよね。
指名もたくさん持ってて、技術も申し分ない。

でも、出産したら
フルタイムで復帰するのが難しくなって、
結局辞めるしかなかったって。

技術があっても、環境がなければ続けられない。それが美容業界の現実なんです。

大手サロンって、やっぱり勤務時間がきっちり決まってたり、
土日出勤が当たり前だったりするじゃないですか。

子どもがいると、それに合わせるのが本当に難しい。

でも、だからといって
その人の技術や経験がなくなるわけじゃないんですよね。

むしろ、何年もお客様と向き合ってきた経験って、
ものすごい財産なんです。

その方がうちを選んでくれた理由を聞いたら、
「子連れOKって書いてあったから」って。

もうそれだけで、
「あ、打ち出してよかったな」って思いました。

実際、うちでは「子連れOK」とか「キャリア支援あり」っていうのを
採用の時にちゃんと伝えるようにしてるんです。

これが、大手では埋もれてしまうような
優秀な人材に届くんですよね。

出産で離職した元トップスタイリストとか、
育児が落ち着いてきて復帰したいベテランとか。

そういう方たちって、
本当はまだまだ働きたいんです。

でも、受け皿がないから諦めてる。

だったら、うちがその受け皿になればいいじゃんって。

大手サロンと同じ土俵で戦っても勝てないかもしれない。
でも、「働き方」っていう軸で勝負すれば、
うちみたいな小さなサロンでも
すごい人に来てもらえるんですよね。

採用って、条件の良さだけじゃないんだなって。
「ここなら安心して働ける」って思ってもらえるかどうか。

それが、結果的に一番の差別化になるんだと思います。

「美容師は若いうちしか稼げない」を、私は絶対に覆したかった

美容業界にずっとある「常識」みたいなもの。

それが、
「美容師は若いうちしか稼げない」っていう考え方です。

正直、私はこれがずっと嫌だったんですよね。

だって、おかしくないですか?

何年もかけて技術を磨いて、
お客様との信頼関係を積み上げて、
やっと「この人にお願いしたい」って
指名してもらえるようになったのに。

40代、50代になったら
「もう現場は厳しいよね」って。

年齢を重ねるほど価値が上がるはずの仕事なのに、体力だけで寿命を決められるのは、絶対におかしい。

立ち仕事がキツくなったとか、
フルタイムが難しくなったとか、
そういう理由だけで第一線から退くしかないって、
もったいなさすぎると思うんです。

だから私は、
40代・50代になっても
ちゃんと稼ぎ続けられるモデルを作りたかった。

具体的に考えてるのは、
体力的に無理のない範囲で、
高単価な施術を提供し続けるっていうスタイルです。

指名のお客様を抱えながら、
短い時間でも密度の濃い仕事をする。

回転率じゃなくて、
一人ひとりのお客様との時間の質で勝負する。

それなら、年齢を重ねても
全然やっていけるんですよね。

あと、現場に立つだけがキャリアじゃないとも思ってて。

たとえば教育担当として
後輩の技術指導に入るとか、
カウンセリングに特化したポジションを作るとか。

長年の経験があるからこそできる仕事って、
実はたくさんあるんです。

施術の手を動かすことだけが
美容師の仕事じゃない。

お客様の悩みを聞いて、
最適な提案ができるのは、
何百人、何千人と向き合ってきた経験がある人だから。

そういう知見を活かせるポジションを用意することで、
「引退」っていう概念自体をなくしたいんですよね。

美容師のキャリアに、
終わりなんて作りたくない。

それが、私がずっと思ってることです。

フルタイムじゃなくても、ちゃんと評価される仕組みを作った話

働き方を柔軟にしたい。
そう思った時に、もうひとつ絶対に必要だったのが
「評価の仕組み」でした。

短時間勤務とか、週休3日とか、
柔軟な働き方を用意するのはいい。

でも、それだけだと
「時間が短い分、お給料も少なくて当然でしょ」
ってなっちゃうんですよね。

それじゃ、結局モチベーションが下がるんです。

時間の長さじゃなくて、仕事の「質」で評価される。それがないと、柔軟な働き方は絶対に続かない。

だから私は、
リピート率とかお客様の満足度とか、
「質」の部分をちゃんと報酬に反映させる仕組みを作りました。

たとえば、週3日しか出勤してなくても、
リピート率が高くて、
お客様からの信頼が厚いスタッフがいたとするじゃないですか。

その人と、週5日フルで出てるけど
リピートがあまりつかないスタッフ。

単純に出勤日数だけで評価したら、
週5日の方が上になりますよね。

でも、それっておかしいと思うんです。

お客様が「またこの人にお願いしたい」って
思ってくれてるのは、
明らかに週3日の方なわけで。

そこをちゃんと見てあげないと、
優秀な人ほど離れていっちゃうんですよね。

だから、成果を可視化することにこだわりました。

数字で見えるようにすることで、
スタッフ自身も「私ちゃんとやれてるんだ」って
自信が持てるし。

短時間でも、やりがいを感じながら働ける。

これが、柔軟な働き方を
「ただの時短制度」で終わらせないための
一番大事なポイントだったなと思います。

美容業界って、
長く働いた人が偉い、みたいな空気がまだあるんですよね。

でも、それだと
育児や介護でフルタイムが難しくなった瞬間に、
居場所がなくなっちゃう。

時間じゃなくて、質で見る。

これができるだけで、
働き続けたいって思ってくれる人が
確実に増えるんです。

ママ美容師が「戻ってこられる場所」を作ることが、私の次の仕事

ここまで読んでくださって、
ありがとうございます。

子連れ出勤のこと、評価の仕組みのこと、
セカンドキャリアのこと。

いろいろお話ししてきたんですけど、
結局私がやりたいことって、すごくシンプルで。

「辞めなくていい場所」を作ること。

そして、一度辞めちゃった人が
「戻ってこられる場所」を作ること。

美容師として積み上げてきたものを、ライフステージが変わったからって手放さなくていい。そういう場所を、私は作り続けたい。

出産で辞めた人。
育児が落ち着いてきて、また働きたいって思ってる人。
体力的にフルタイムは厳しいけど、技術はまだまだ現役の人。

そういう人たちが、
「ここなら大丈夫かも」って思える場所。

それが、私のサロンでありたいんです。

正直、まだまだ完璧じゃないです。

試行錯誤してることもたくさんあるし、
「もっとこうしたらよかったな」って
反省することもあります。

でも、一歩ずつでも
「美容師は若いうちだけ」っていう常識を
変えていきたいんですよね。

子連れで働けるのが当たり前。
フルタイムじゃなくてもちゃんと評価される。
年齢を重ねてもキャリアが続いていく。

そういうサロンが増えたら、
美容業界はもっと良くなると思うんです。

私ひとりでできることは限られてるけど、
まずは自分のサロンから。

そして、こうやってnoteで発信することで、
同じことを考えてる人の背中を
少しでも押せたらいいなって思ってます。

***

他にも、サロン経営や働き方について書いたnoteがあるので、
よかったら読んでみてくださいね。

あなたのサロンが、
誰かにとっての「戻ってこられる場所」になりますように🌸

森なつこ

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