成長してほしい。でも、それは強制できない。
ある個人塾の塾長と話をしていたときのことです。
その先生は、とても勉強熱心な方です。
若い頃は休日になると、セミナーに行き、本を読み、講演を聞き、人に会い、自分を磨くことに時間を使ってきたそうです。
だから今の人間力があるのだろうと、私は納得しました。
ところが、その先生には一つ悩みがありました。
社員にも、もっと学んでほしい。
もっと外に出て刺激を受けてほしい。
そんな思いがあるそうです。
私は、その気持ちがよく分かります。
自分が成長できた理由が分かっているからこそ、
「同じことをすれば、もっと伸びるのに」
そう思うのでしょう。
しかし、今の時代、それを会社として求めるのは簡単ではありません。
休日にセミナーへ参加してもらうなら、休日出勤の扱いになるかもしれません。
費用も会社負担になるでしょう。
何より、本人が望んでいないことを勧めても、あまり意味はありません。
そこで私は、こんなことを考えました。
もしかすると、一番大事なのは、
「何を教えるか」ではなく、「その人は何を望んでいるのか」を知ることではないか。
将来、自分で塾を経営したいと思っている人なら、
休日に学ぶことは大きな財産になります。
一方で、
仕事は勤務時間中に全力を尽くし、休日は家族や趣味、自分の時間を大切にしたい。そんな働き方を望む人もいます。
もちろん、その考え方も尊重されるべきです。
だからこそ、まず聞いてみる。
「将来、どんな先生になりたい?」
「どんな働き方をしたい?」
その答えを知ってから、自分の経験を伝える。
「私はこうやって成長してきたよ」
その一言は、相手が求めているときには、大きな力になります。
でも、求められていないアドバイスは、時として押しつけになってしまいます。
人を育てることは、教えることではありません。
相手が目指している未来を知り、その未来に合った言葉を届けること。
それが、本当の育成なのかもしれません。
