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グローバルで戦うリーダーシップを磨くー世界を目指す起業家たちへ

こんにちは!NEC Open Innovation note編集長 ひかるです!

日々、国境や時差を超えることは非常に簡単になり、この記事を読んでいただいている方の中にも「いつかは日本を飛び出したい!」…そう考える方も少なくないかと思います。

そこで、今回のテーマは
「グローバル環境で戦い抜くリーダーシップの磨き方」

NECには、スタートアップ創出や成長支援を行う「NEC X」がアメリカ・シリコンバレーにあります。
そして、NEC Xが伴走支援し、NECからも出資をしている「Multitude Insights」ニューヨークを代表するVCからの資金調達を成功させ、世界一競争が激しいアメリカ市場で急成長を続ける注目のスタートアップです。

この「Multitude Insights」を率いる日本人Akiさん、そしてAkiさんを伴走するNEC XのNobuさんにお話を伺いました。

お二人はどうして異国の地で挑戦を続け、どのようにリーダーシップを発揮しているのでしょうか?
そこには穏やかな表情からは想像もつかない、“危機感”と“努力”がありました。



<出演>
伊豆 明彦(Aki):
Multitude Insights Co-founder。
西村あさひ法律事務所でM&A専門の弁護士として約6年間従事した後、マサチューセッツ工科大学ビジネススクールに進学。2022年にアメリカの警察向け犯罪情報共有プラットフォームを提供する「Multitude Insights」を共同創業、総額$16Mを調達。
2026年7月現在、ボストン警察・シアトル警察などを含む、アメリカ 14州で、60以上の警察組織に導入済み。

森田 信之(Nobu)
NEC X Director of Innovations。
NECソリューションイノベーターにエンジニアとして入社後、2011年にNEC Corporation of America(以下、NEC America)へ移籍。2018年のNEC X立ち上げに参画後、社内外累計80件以上のスタートアップ創業者への伴走とオープンイノベーション推進に取り組む。
またエンジェル投資家としてスタートアップへ投資を行い、Techstars、SVG Ventures、Blue Startups などのグローバルアクセラレーターでメンターを務める。


“日本企業が世界で勝てなくなる”危機感

ーお二人は現在、アメリカを拠点に活動されていますが、なぜアメリカで活動しようと思われたのですか?

Nobu:
「このままの大企業のやり方では、確実に取り残される」という、強烈な危機感を感じたからです。

私はもともと海外で事業をやりたくて、IT業界にいるならシリコンバレーしかないと思っている中で、事業の立ち上げに成功したことを契機に2011年に渡米しました。

NEC Americaのプロダクトマネージャーとして、その当時生まれた革新的技術をコアにした製品事業を立ち上げたのですが、同時期に生まれた競合スタートアップ達の爆発力と成長スピードに圧倒されました

その経験から、NECとして新しい事業創出の形を模索し始め、スタートアップのスピード感で事業を創出するための「NEC X」の立ち上げに繋がりました。現在は、スタートアップの成長スピードをNECに還元するために、シリコンバレーで起業家に伴走・支援をしています。

NEC XメンバーとBatch15(第15期)の採択起業家の皆さま

Aki:
私は、自分自身がグローバルな環境でリーダーシップを発揮できる人材になりたかったからです。

日本の大手法律事務所で弁護士をしていた際、日本の大企業がアメリカ企業を買収する数兆円規模の案件を担当したことがあります。その時、日本側はなかなかリーダーシップを発揮できず、アメリカ側に主導権を完全に握られてしまったのです。

その光景を見て、
「グローバルな環境でリーダーシップを発揮する実力がなければ、日本企業が世界で戦っていくのは難しい」
と痛感しました。

ー大企業でも、リーダーシップが発揮できなかったのですか。

Aki:
そうですね。日本企業の課題を目の当たりにして、「自らがそういう人材になろう」と決意しました。

日本にいるだけではグローバルなリーダーシップは身につかない。それなら、最大の市場であり最も成長できる場所で実力をつけようと、2020年にアメリカへMBA留学。そこで出会った同級生とMultitude Insightsを共同創業しました。

Nobu:
Akiさんのお話、とても共感します。
NECの海外事業に20年近く携わり、経営陣やマネジメント層を見てきましたが、交渉や議論の中で日本側が十分なリーダーシップを発揮することの難しさを実感しています。

「生きるか死ぬか」のビジネス環境

ー実際にアメリカの地に飛び込んでみて、現地のビジネス環境はどうでしたか?

Nobu:
想像以上に過酷です。
アメリカのビジネス環境って、「笑顔で右手は握手しながら、左手ではいつでも攻撃できる準備」をしているような雰囲気があります(笑)。ビジネスジェントルな態度を取っていながら、自らが生き残るためには他人を蹴落とすくらいが当たり前で…まさに「生きるか死ぬか」の世界だと思います。

Aki:
結果が出せなければ、創業者でもクビになり得る環境ですよね。多額の投資を受けられる分、成長速度に対する期待値が非常に高く、想像以上に過酷な場所だと感じています。

ー「グローバルで組織をリードできる日本人が少ない」というのは、環境や言語以外に、何が壁になっているのでしょうか?

Nobu:
語学力の問題だけではなく、文化の壁があるからです。間の詰め方やジョークの言い回し、感情の出し方まで、日本とは全く異なりますね。

私も、赴任当初はこちらの文化を理解するのに必死でした。衣食住からすべて現地の方と同じようにして、とにかく彼らの感覚を理解しようと努めましたね。

Aki:
タフな環境ですが、グローバルレベルでリーダーシップを発揮できる人材になるためには、これ以上の場所はないと思います。自分が試され、鍛えられる。日本にいたら絶対に得られなかったものを、日々感じています。

起業家たちとのディスカッションの様子

心を動かすリーダーシップを磨き続ける

ーリーダーシップを発揮するために、意識していることはありますか?

Aki:
まず、社会課題の解決という大きなビジョンを示し、ストーリーの力で人の心を動かすことは強く意識しています。

私はアメリカの警察向けにサービスを展開していますが、初対面の場合は「日本人がアメリカの警察向けにビジネスをしている」ことを不思議に思う方もいます。
その際、日本人には、先ほどのような弁護士として実感した日本企業の課題を軸として話しますが、アメリカの警察関係者には、治安水準が高い日本から移住して感じたアメリカ社会の課題と司法修習生時代に経験した「検察実務や刑事裁判実務」の話から入るようにしています。

社会課題の解決という大きなビジョンと刑事系の現場の経験を伝えることで、なぜ私がこのビジネスをしているのかを示すことができ、相手の信頼も得やすいと思っています。

ー相手に合わせてストーリーを変えていくのですね!

Aki:
そうですね。
それから「遠慮せずに主張すること」はアメリカで身についたことですね。

私の組織は半分が軍人や警察官出身。共同創業者も元海軍です。みんな意志が強く、自分の意見もしっかり持っていて、私に対しても「それは違う」と意見をぶつけてきます。ネイティブではない私が組織を率いていくのは、極めてタフな環境です。

ーまさに「右手で握手、左手で攻撃をする準備」の世界ですね。

Aki:
喧々諤々の議論をしている際に日本のように「相手が話し終わるのを待つ」と発言するタイミングを逃してしまいます。ビジネスシーンにもよりますが、相手が話をしていても途中で遮って、明確に主張することが必要な場合もあります。

また、日本のビジネスシーンで感情を出すと「未熟だ」と思われがちですが、アメリカでは相手が感情をぶつけてきたときに感情で打ち返さないと、主導権を握られてしまいます。明確に「NO」と言い、時には感情を乗せて主張するようになりましたね。

Nobu:
感情的になって話すのではなく、感情を乗せてロジックでバチバチにやり合う必要があるんですよね。

Akiさんって、見た目はすごく穏やかな雰囲気なんですけど、あのタフな環境でリーダーシップを発揮し続けているということは、内側はかなりアグレッシブなはずで(笑)。
圧倒的なロジカルさと、内に秘めた熱量を持ち合わせているからこそ、強烈な個性を持つメンバーたちと対等に渡り合えているのだと思います。

ーリーダーシップを発揮するために、一朝一夕では身につかない努力をされているのですね。

Nobu:
私はかつて、議論が好きな上司に毎日ディベートを仕掛けられた経験があって、英語環境でもロジカルに反論ができるスキルが身につきました。

現在身を置いているスタートアップのコミュニティでは、「Pay It Forward」が当たり前みたいな…知り合った人に貢献していこうという意識が強いところなので、瞬発的なロジカルシンキングで反論することより、むしろ対面している人へどのように本質的な価値を提供できるか、その場でひねり出すところに使えていますね。

それができると、結果的に自分の価値評価に繋がって良いネットワークが広がり、仕事に返って来る所がシリコンバレーらしいところだなと思います。

Aki:
最近は、ミーティングの文字起こしをAIに読ませて、リーダーとしての自分の発言の課題の抽出と改善を試みています。

また、30代は1年単位、40代は5年単位で「これを達成する」という目標を細分化して書き出し、必ず自分の振り返りの時間を取って、課題を常に目の前に置いて過ごすようにしています。

NEC Xでは、投資家と起業家をつなぐコミュニティイベントを定期的に開催しています

爆発力を、日本へ

ー最後に、今後の展望を教えてください。

Nobu:
NEC Xがアメリカのスタートアップに支援・出資しているのは、圧倒的な「爆発力」を取り込むためです。

Akiさんがリードする「Multitude Insights」は、長年未解決だったアメリカの社会課題に切り込み、米国のトップVCから評価を受けています。日本人創業者が、世界一競争の激しい市場で事業を爆速で伸ばしている、まさに圧倒的な爆発力の象徴です。

今は売上が数億円の事業でも、5年後には数百億円に化けるこの成長力をNECの既存事業と連携させ、一緒に大きくなっていくことが今の目標です。

Aki:
NECは事業の初期段階という最もリスクが高いタイミングで投資を決断してくれました。その後も、CVC(Corporate Venture Capital)からの追加出資や、NEC Americaとの事業連携など継続的にサポートをいただいています。
ここまでアメリカのスタートアップに対して深く関わり続ける日本企業は、貴重な存在だと思います。

だからこそ、ただ出資してもらうだけでなく、ビジネスの側面でもシナジーを生み出し、お互いにとってWin-Winの関係を築いていきたいです。

そして、アメリカで起業して、事業を成長させる経験を通じて、将来的には何らかの形で日本経済の成長に貢献していきたいです。

ー編集後記ー
アメリカという異国の地で挑戦を続けるAkiさんとNobuさん。
穏やかな表情で語られる言葉の一つひとつに、これまで感じたことのなかった「覚悟」と「強かさ」を含んだ重みがありました。

インタビューで見えてきた圧倒的な危機感や悔しかった経験。それを糧とし、タフな環境で向き合い続けるお二人はとても素敵だなと感じます。


Multitude Insightsについて:Multitude Insights

NEC Xについて:NEC X | NEC

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*本投稿は2026年7月21日時点の情報です、最新情報はウェブサイトをご覧ください