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東洋の創造性と「場」のつくり方

創造性とはどんな力なのだろう?

近現代は、西洋文明から創造された科学技術、社会システムを基盤に発展してきた。今、限られた資源の中で人間がこの地球で平和に暮らし合っていくには、新たな創造性が求められているように思う。

私たちの東洋にも、創造性がある。

ここでは、書塾花紅という小さな居場所づくりの実践をもとに、東洋の創造性と、その力を育む「場」をつくる方法について考えてみたい。


1.書道教室という居場所づくりの実践を通して

私は、東京の寺町で書塾花紅という書道教室を営んでいる。2016年に始まり、小学1年生から80代まで、80名ほどの仲間たち。

柳は緑、花は紅。ありのままで美しい。

書塾花紅の名称は、この禅の言葉に由来する。生徒さんたちがそれぞれの自分らしさを発揮しながら、調和し合う。それが私たちの理念。

「人は誰しもクリエイティブである」。そう信じて、教育の道を志したのが二十歳の頃。でも、その頃は、どんな教育が人間の創造性を育てるのかわからなかった。それから20年、書塾花紅は生徒さんたちとの「対話」の中で自然と育ち、それぞれの創造性を育む場所として認められ始めている。

「子どもも大人も同じ時間でいいんじゃないですか?」

この生徒さんの一言から、私たちは大人と子どもの時間を分けずに一緒に学ぶスタイルになった。

  • 学ぶことは自分が決める

  • 子どもと大人が学び合う

  • 年に一度の、評価のない作品展

私が計画したのではない、生徒さんたちとの「対話」から、結果的にできあがっていた書道教室という居場所のデザイン

穏やかな空間での対話を通して、年に一度の作品展に向けたそれぞれの鍛錬の中で、生徒さんたちはそれぞれの書の道を進み、それぞれの花を咲かせている。

書塾花紅の作品展

2.安心感のある空間が対話を生む

大学で教育学を専攻した私だったが、大学の教育思想の講義で登場するのは西洋の思想家がほとんど。違和感を感じている中で、私は本屋で吉川幸次郎先生の東洋思想の本に出会った。

私のやりたい教育は、東洋にあるのでは?

そこから書道の道に入り、しかし書道の道は一朝一夕で成せるものとは程遠く、私の学びは20年経った今でも終わらない。書道家としても教育者としても、試行錯誤の日々。同時に、二人の子を持つ母親としても、私は試行錯誤だった。肩こり、腰痛、疲れ。

強くなりたい。その思いから、私はヨガを始めた。10年ほどのヨガを続け、今、ヨガと瞑想も教え始めている。

そんな風に、東洋の思想を身体で学んできた私が、書塾花紅のために日々やっていること。

それは、呼吸を深めることである。
それが、私の安心感につながり、
私が安心していれば生徒さんたちも安心して、
自分を”あるがまま”に出すことができる。

それが、創造的な「場」を生む。

書塾花紅の日常

3.日本女子大学の講義にて

先日、日本女子大学の生涯学習の講義で、「居場所づくり」の実践者としてお話をさせていただいた。

書塾花紅とはどんな居場所なのか。私はなぜ居場所づくりをするに至ったのか。

今年は初めて、100名を超える大教室で、みんなで静かに呼吸する時間をとった。呼吸によって空間が静かに整っていく感覚。

安心感のある「場」は、対話を生み、人を少しずつ「あるがまま」にしていくのかもしれない。

呼吸する時間

4.西洋の創造性と東洋の創造性

西洋的な創造性が個人の表現を重視するとすれば、東洋には、「場」や関係性の中から自然に現れてくる「静かな創造性」があるのではないだろうか。


西洋と東洋の創造性の違い

日本には、「場」を大切にする文化がある。同調圧力、忖度、時にこの文化はそんな言葉で批判を受ける。確かに、悪い側面もあるかもしれない。

儒教・老荘思想・仏教。日本では自然信仰も重なる。そこにあるのは、めぐりめぐる循環の思想。私がいて、あなたがいる。あなたがいて、私がいる。

そこで育つ、謙虚さ。職人は、自分の名前を明かさないことも多い。

弱いかもしれない、曖昧かもしれない。でも、その調和する力は人間に安心感を与える。そこから何かが生まれる。

5.まとめ

東洋には、安心感のある人間関係の中で自然と育まれる創造性がある。それは派手なものではないが、社会に調和を与え、全体として育っていく力を持つ。

書塾花紅は小さなコミュニティではあるが、生徒さんたちから自然と現れてくる対話を尊重することで、それぞれが自分らしい表現を探究する場所として一つの形を生み出している。

私が指導者としてやっていることは、ただ、「場」を整えること。そのために、日々、自分の心身を呼吸から整えること、それくらいのことなのだ。
中心にいる人間は、むしろ「無」に近い方が良いとすら、感じる。

地球規模で直面する人類の課題が山積みの時代。東洋の創造性を育てていく「場」を少しずつ増やせていけたらと思っている。

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ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

「人は誰しもクリエイティブである」という思いから、書道を通して創造性を育むワークショップを実践してきました。

安心して過ごせる社会の実現に向けて、今後も研修やワークショップを手がけていけたらと思っています。

寧月の活動、過去の実績についてはこちらをご覧ください。


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