【2リン、3リン、ドクトリン】 2輪車と3輪車の設計に関する基本的概念
たくさんの乗りものに乗り、そして作ってきました
その中で感じたことは2つ。
間違いと思われることが常識のように扱われている.
新しいものが出て来なくなった気がする.
私は、自分は新しい乗りものを作るために生まれたのだと思っています。自分にそう思い込ませています。だから上記の2点は私が打ち壊して前に進みます。
V.S.Monkey
7年掛けて開発したパラレルクランクを応用したステアリング システム、バーチャル ステアリング方式は、1998年にバーチャルス テアリング モンキー(V.S.Monkey)として株式会社デイトナさんから限定100台販売となりました。当時の情報源はほぼ雑誌のみ、小さな写真しか見て頂けなかったにも関わらず、発売から程なくして限定数が売り切れました。

特許を出す際、特許事務所で弁理士先生に、「どう考えても走るとは思えないので特許を取ることはお勧めしません」と言われました。
木材でモデルを作って動作することを説明し、特許出願。拒絶通知が届くことなく特許されました。珍しいことだと言われました。
今も私の元に2台のV.S.Monkeyがあります。1台は町乗り用、もう一台はツクバでのレースに参戦した車両です。

実はネットに上がっている写真を見て、バーチャルス テアリングを真似て作った人を3人ほど知っています。しかし車両を見たところ、安心して走れる設計にはなっていませんでした。ジオメトリーが適切ではなかったり、必要な部品が無かったり‥‥。
ジャダー(シミー)とブレーキングジャダー
アメリカ ユタ州ボンネビル ソルトフラッツで行われる速度記録のイベント「BMST」で走ったときにも、アメリカ人達に「そのポジションだとステリングのジャダー(シミー)が酷くて走れないはずだが、どうなっているんだ?」と聞かれました。彼らはいろいろな経験があるので気が付いていますね。このような姿勢の車両はステアリングのジャダー(シミー)を抑えることが難しいのです。

非常に誤解が多いのですが、企業内の開発者や経験豊富な人は知っていると思います。2輪の場合、重心が低いと、そしてステアリングまわりの剛性を上げると、ジャダー(シミー)が出やすいのです。YAMAHA GTS1000も僅かですがハンドルが震えます。
フロントフォーク式のバイクは、制動時にブレーキングジャダーという危険な挙動が出ることがありますが、これを避けるためにステアまわりの剛性を上げるとジャダー(シミー)が出ていまい、結局ブレーキングジャダーを完全に殺すことはできないままになっています。
ブレーキングジャダーと言っていますがこれはブレーキの問題ではなく、実はフロントフォークの振動です。フロントフォークが制動力によって撓み、そして反発力で戻り、これを短時間で繰り返すのがブレーキングジャダーです。私はある著名なブレーキメーカーのアドバイザーだったことがありますが、ジャダーの出るバイクをどれほど調べてもブレーキには問題がなかったとのこと。当然です。
フロントフォークが柔らかかった前時代では問題は顕在化せず、フォークの剛性が上がってきたために感じ取ることができるほどに振動するようになったのです。目で見えるほど振動することもありますし、もちろん転倒に繋がりますからなんとかして抑えたい挙動です。
解決策は・・・
フロントフォークが撓まない構造にする.
フロントフォークを無くしてしまう.
この何れかですが、フォークの撓みを抑える試みは既に非常に多く行われてきましたが解決できませんでした。そのためフォークを無くしてしまう試みが行われ少数ですが販売されました。皆様ご存じの”ハブステア”と”片持ち式”です。しかしそれらにも欠点があります。ブレーキングジャダーはほとんど出ないものの、フォーク式にはない欠点が生じてしまいました。
さて、ならば開発の余地がある。余地があるなら歩み出てみよう。1988年のことでした。
これがバーチャル ステアリング方式開発の切っ掛けです。
様々な学びがあり理解が深まりました。あちこちにバラバラに掲載されていましたので、それらをここにまとめようと思います。
設計に関する基本的な考えや方針を示す概念=Doctrine
2輪と3輪に関する設計に関する基本的な考えや方針を示す概念=Doctrineを、不定期ですが書き続けて行きます。
みなさま、どうぞよろしく。
