見出し画像

小説版ネオ・セラフィス 第7話「邂逅」

第七ベースは、
巨大な鋼鉄の要塞だった。

分厚い防壁。

絶えず響く警報。

行き交う兵士たち。

柊弥には、
全部が現実離れして見えた。

アヤメは迷いなく通路を進んでいく。

「急いで」

短い声だった。

「レムナントの侵攻速度が想定より早いの」

柊弥は息を切らしながら後を追う。

「待ってくれよ……!
 何なんだよここ……!」

アヤメは振り返らない。

「説明してる時間はないわ」

無機質な照明が、
白い外套を照らしていた。

やがて。

巨大な隔壁の前で、
アヤメが足を止める。

重い駆動音。

ゆっくりと扉が開く。

その瞬間だった。

柊弥は息を呑む。

そこに居た。

白銀の巨人。

鋭く伸びた装甲。

背中の翼みたいなユニット。

青白く脈動するコア。

静かな光を放ちながら、
機体は格納庫の中央に佇んでいた。

「……これが」

声が掠れる。

アヤメが静かに告げる。

「セラフィス」

その名前を聞いた瞬間。

胸の奥が、
強く脈打った。

ドクン、と。

身体の内側で、
何かが呼応する。

頭痛みたいな熱。

けれど、
不思議と怖くなかった。

むしろ。

ずっと前から、
知っていたような感覚。

柊弥は無意識に、
セラフィスへ近づいていた。

白い装甲へ、
そっと手を伸ばす。

触れた瞬間。

淡い青白い光が、
機体表面を走った。

格納庫がざわめく。

「反応した……!?」

「あり得ない、初接触だぞ……!」

オペレーターたちの声が飛び交う。

けれど柊弥には、
ほとんど聞こえていなかった。

暖かかった。

金属のはずなのに。

まるで、
鼓動みたいだった。

その時。

警報が鳴り響く。

赤いランプが点滅する。

《警告。
 第七防衛ライン突破を確認》

空気が変わる。

アヤメが柊弥を見る。

紫の瞳は、
真剣だった。

「時間がないの」

静かな声。

けれど、
焦りを押し殺しているのが分かった。

「乗ってくれるかしら?」

柊弥は振り返る。

まだ分からないことだらけだった。

ここが何なのかも。

なぜ自分がここに居るのかも。

桜乃を失った現実すら、
まだ受け止めきれていない。

なのに。

セラフィスだけは。

自分を待っていた気がした。


続きはこちら↓↓↓

いいなと思ったら応援しよう!