見出し画像

小説版ネオ・セラフィス 第9話「咆哮」

レムナントの群れが、
空を埋め尽くしていた。

一機倒しても、
次が来る。

また次が来る。

セラフィスの警告音が鳴り続ける。

『右腕部負荷上昇』

『推進器出力低下』

「くそっ……!」

柊弥は歯を食いしばる。

避難区域の向こうでは、
まだ人々が逃げていた。

下がれない。

でも。

数が多すぎる。

紫の光が、
一斉にこちらへ向く。

『高エネルギー反応!』

次の瞬間。

無数の砲火が、
柊弥へ降り注ぐ。

回避が追いつかない。

警告音。

赤い表示。

レムナントの群れが、
四方から迫る。

「――っ!」

その瞬間だった。

轟音。

横一文字の閃光が、
レムナントをまとめて両断した。

紫の残骸が、
空中へ弾け飛ぶ。

次の瞬間。

黒金の機体が、
爆炎の中から飛び込んでくる。

獣みたいな加速。

鋭角的な装甲。

全身から伸びる、
牙のようなブレード。

ネメシス。

まるで、
戦場そのものを喰い破る猛獣だった。

『どけ』

低い通信音声。

直後。

ネメシスが、
レムナントの群れへ突っ込む。

速すぎた。

一瞬で間合いへ入り込み、
橙色の刃が閃く。

三機。

同時に爆散。

さらに。

背部ブースターが咆哮する。

黒い機体が、
獣みたいな軌道で戦場を駆け抜けた。

レムナントの陣形が、
強引に食い破られていく。

『包囲を崩す!
 白いの、お前は下がれ!』

柊弥は目を見開く。

セラフィスとは、
全然違う。

セラフィスが
“空を舞う光”
なら、

ネメシスは
“地を駆ける牙”だった。

数分後。

最後のレムナントが爆散する。

静寂。

夕焼けの空に、
煙だけが漂っていた。

柊弥は息を切らす。

「……助かった」

通信を開く。

「ありが――」

その瞬間。

格納庫。

コックピットから降りた柊弥の頬へ、
拳が叩き込まれた。

「――っ!?」

よろめく。

何が起きたか分からなかった。

レオンが、
真正面から睨んでいた。

その目には、
怒りが宿っていた。

「あと少し遅れてたら、
 どうなってたと思ってんだ」

低い声。

押し殺した声だった。

「戦いは遊びじゃねえんだ」

柊弥は言葉を失う。

レオンは舌打ちする。

「適性が高い?
 そんなもん関係ねえ」

「死んだら終わりだ」

その言葉だけが、
重く落ちる。

周囲の整備兵たちも、
誰も口を挟まなかった。

それが、
この世界の現実だった。


続きはこちら↓↓↓

いいなと思ったら応援しよう!