嘘つきな私の、本当のこと
くたあ…。
へちょぉ……。
どぅるどぅるどぅる………。
お盆いかがお過ごしですか。私は台風の気圧爆弾にやられてしまい、冒頭の通り。三行日記ならこれで終わりやで。起きて、風呂入って、入りすぎてとろけて、このままではいかーん!と最後の気合いを振り絞ってミスドにやってきました。
いやー、やっぱ場所の力は偉大やね。晩ごはん前なのに、誘惑にはかなわずドーナツに手を出してしまったけれども、「くたあ…。」と冒頭の言葉を書き出すぐらいには回復。書き始めたら「へちょぉ…」も「どぅるどぅる」も勝手に出てきた。やっとその気になってきた!こういう小さな成功体験が、私の脳みそに「カフェにいけば書く気になるかも」というマインドを植え付けていくんだろう。
マインドといえば、最近久しぶりに小説をまた読み出している。エッセイばっかり読んでいたから、物語に没頭できるかな〜と思いながら手を出した、小川哲さんの「君が手にするはずだった黄金について」。べらぼうに面白くて、夢中で読了。フィクションではあるものの、主人公が作家・小川哲という設定だもんで、ちょうどエッセイと物語の中間のような感覚で読めてしまった。どっからどこまで本当なんだろう、全部フィクションなのかな。小川さん、ハマり中です。
物語の中で主人公の小川が、とある占い師的な人のもとに潜入しようとする場面がある。小川は、その相手をめちゃくちゃ疑っているのね。どうにかこいつの嘘を暴いてやろうとする。だけど、疑っていることが相手にバレてしまうと、相手は相手でうやむやに逃げることができてしまう。相手のボロを引き出すためには、疑っている自分を隠す必要がある。そこで小川は、自分自身に暗示をかけようとする。
「自分はこの占い師のことが好きだ、
そしてこの占い師は僕のことが好きだ」
ぶつぶつぶつと、自分を騙す。フィクションという「嘘」に向き合うことを職業としている小説家・小川ならではの対決の仕方がめっちゃ面白いなあ〜と思いながら読んでたんだけど、「自分で自分を騙す」、マインドコントロール力って、リアルに必要な場面が普通にある。
こないだ、持病の定期検診があったんだけど。担当の先生は、私が宿敵認定するぐらいにウマが合わない人で、待合室で順番を待ちながらずーっとため息ついてたの。あー、また嫌なこと言われるんかな〜、あー嫌だ、あー帰りたい…ってずっと考えてたら、余計に嫌になってきちゃって。そうだ、小川だ。小川を心に召喚しようと思い出した。
「私はあの先生のことが大好きだ、
そして先生も私のことが大好きだ」
物語の小川みたくぶつぶつぶつ。そんなうまいことはいかないし、痛快に先生をギャフンと言わせることももちろんできなかったんだけど、自分のメガネを覆ってた濃ゆーい「いやいや・フィルター」が、ほんのちょっと薄くなった気がした。先生が何を言っても「むかつく〜嫌い!」ってなってたのが、あれ…意外と半分くらいは普通のことしか言ってないやん、みたいな。
先生のことが大好きな私なんて、まるでフィクション。リアルとは程遠い世界線にいる私。だけど、フィクションを信じることで、本当のことが見えてくることもあるんだよな。そもそも、私に見えている世界のいったいどれだけが「リアル」だと言えるんだろう。
取引先に言われた言葉にムッとしつつも、機嫌いいふりをしている会議のリアルは?死にそうに眠いけど、なんとかしてマシな1日の始まりを生み出さんといかん朝のリアルは?めんどくせ〜と思いながら、書かなきゃ後悔しそうな宿題を抱えてる今のリアルは?
ドーナツひとつで機嫌が変わる私のマインドなんて、ほとんど全部フィクションなのかもしれない。
心もとなくもあり、夢があるな〜とも思う。
