筋肉を残して体脂肪を落とす、カロリー&PFC設計の考え方
ボディメイクにおいて、多くの方が壁にぶつかるのが、食事です。さまざまな情報があるだけに、『で、結局どうしたらいいの?』がつきまとってしまいます。
また、明らかに眉唾な情報を信じてしまっているケースにも、ときどき出会います。
ここでは、筋肉を維持しながら体脂肪を落とすための、摂取カロリーとPFCバランスの考え方を扱います。これを読めば、カッコいい / 美しい身体をつくるための食事戦略を理解できます。
この記事では、トレーニングをする方向けに書いていますが、トレーニングをしないダイエッターの方にも有益な情報を含みますので、ぜひ読んでみてください。
自炊は必須なの?
食事管理と聞くと、毎日鶏むね肉とブロッコリーを食べる生活を想像する人もおられると思います。
外食を断って、コンビニを避けて、食材を量らなければいけないと考えた時点で、ハードルが上がりすぎます。
実際は、上記のような極端なことをする必要はなく、無理に自炊をする必要もありません。自炊は食事管理をしやすくする手段のひとつであり、ボディメイクの必須条件ではありません。
コンビニOK、外食もOKです。
大切なのは、食事を「自分で作ること」ではなく、目的に合ったものを「自分で選ぶこと」です。
体重が落ちる条件とは?
体重を落とすための基本条件は明確です。
一定期間において、摂取カロリーが消費カロリーを下回る状態をつくること。これを「カロリー収支がマイナスの状態」と呼びます。
ケトジェニックダイエット、断食、糖質制限、置き換えダイエットなど、世の中にはさまざまな食事法があります。しかし、体重減少という点では、最終的にカロリー収支の影響を受けるのは同様です。
「炭水化物を食べると太る」
「夜に食べると脂肪になる」
「この食品だけは避けるべき」
このような話をよく目にしますが、特定の食品を一度食べたから太るわけではありません。摂取カロリーが消費カロリーを上回る状態が継続すれば、体重や体脂肪は増えます。反対に、カロリー収支がマイナスであれば、炭水化物・脂質や外食を排除しなくても体重や体脂肪は減少します。
しかし、「なんとなく減らす」とほぼ確実に失敗してしまいますので、目的と理由を理解したうえで食事を設計することが肝要です。
まずは何をすればいいの?
現状の食事を調整することから始めるのが、おすすめです。
食事管理には、大きく2つのアプローチがあります。①現状食事ベースのマネジメントと②定量的なマネジメントです。
これから始める多くの人に最初に勧めたいのは、まずは①。理由はいくつかあります。始めやすく続けやすく、また、後述する維持カロリーの把握につながります。
①のアプローチでは、脂質を意識して減らすことを最初の一手にします。現代の食生活では、揚げ物、菓子類、加工食品、調味料などから、脂質を無意識に摂りすぎやすいからです。
この段階で、全体のボリュームを意識的に減らす必要はありません。それだけでも、体重や体脂肪が減少し始める人は多いです。
具体的には、次のような見直しをします。
調理法:揚げ物・炒め物を、茹でる・蒸す・焼く・刺身に変える
食材:赤身肉・白身魚・魚介類を選ぶ
調味料:ドレッシング、マヨネーズ、ソースなどの脂質量を確認する
脂質は1gあたり9kcalと、三大栄養素のなかで最も高カロリー。揚げ物・菓子類・脂身の多い肉などから、気づかないうちに摂取量が増えやすいです。ここを調整するだけで、摂取カロリーを無理なく下げられることが多いです。
お酒については、種類にもよりますが、概ね、アルコール1gあたり約7kcalです。飲む場合は、高脂質なおつまみを選ばないよう、組み合わせに注意が必要です。
①のアプローチで体重の変化が止まった段階で、次の②(定量的なマネジメント)へ移行します。
カロリー設定はどうすればいい?
体重を変えずに現状を保つために必要なエネルギーを「維持カロリー」と呼びます。これを知ることが、すべての出発点になります。維持のための推定エネルギー必要量は、次の式で簡易計算することができます。(ただし、以下は一定強度以上でトレーニングを継続している方向けの計算式です)
・除脂肪体重 = 体重 ×(1 − 体脂肪率)
・基礎代謝量(kcal)= 除脂肪体重(kg)× 28.5
・推定エネルギー必要量 = 基礎代謝量(kcal)× 生活活動強度指数
このような計算も有用ですが、より実践的な方法があります。①のアプローチで、食事量と活動量を変えず体重の推移が止まった時、その期間の平均摂取カロリーは、現在の維持カロリーに近いと考えられます。
すなわち、①のアプローチで体重が減少しなくなった時、2週間の食事の内容をメモして、何キロカロリー摂取しているかを記録します。その2週間の食事の平均値を、あなたの想定維持カロリーとして用いればOK。
次に、維持カロリーに対して、実際に摂取する目標カロリーをどう設定するかです。
まずは、維持カロリー×85~90%を摂取カロリーとすることをお薦めします。例えば維持カロリーが2,600kcalで、15%のマイナスと設定すると、摂取カロリーは2,210kcalとなります。
いきなり大幅に食事を削るのではなく、まず10-15%程度のカロリー赤字から始めることで、空腹やトレーニングへの影響を抑えながら、身体の反応を確認しやすいです。
PFCって何?どうやって設定するの?
1日の摂取カロリーを決めたら、次にPFCバランスを考えます。PFCとは、次の三大栄養素を指します。
Protein:タンパク質
Fat:脂質
Carbohydrate:炭水化物
まずタンパク質と脂質の量を決め、残りを炭水化物に割り当てると設計しやすいです。
タンパク質量の設計
トレーニーの減量期のタンパク質は、体重1kgあたり1.6〜2.0g程度をひとつの目安にすると分かりやすいです。体重70kgの場合は、1日112〜140g程度です。
タンパク質は筋肉の材料になります。特にエネルギー収支がマイナスとなる減量期には、十分なタンパク質を摂りトレーニングを継続することが筋量維持に重要です。
細かく気にし過ぎないで大丈夫です。例えば、目標を140gとした場合、日によって130gや150gになることは問題ではなく、中長期的に必要量を確保することが大切です。
脂質量の設計
脂質は、総摂取カロリーの20%を目安にします。
例えば、1日の摂取カロリーが2,210kcalの場合、442kcal。脂質は1gあたり9kcalなので、グラムに換算すると約49gです。
脂質は高カロリーで、減量時には敵になりやすいです。一方で、細胞膜やホルモンの材料となり、脂溶性ビタミンの吸収にも関わる重要な栄養素であるため、極端に減らしてはいけません。
脂質は「摂らない」のではなく、「量を把握して摂る」ことが重要です。
炭水化物量の設計
タンパク質と脂質を決めたら、残りのカロリーを炭水化物に割り当てます。
体重70kg、1日の摂取カロリー2,210kcalを例にすると、次のように計算できます。
・タンパク質:140g × 4kcal = 560kcal
・脂質:49g × 9kcal = 441kcal
・残りのカロリー:2,210 − 560 − 441 = 1,209kcal
・炭水化物:1,209kcal ÷ 4kcal = 約302g
この場合の1日のPFCバランスは、概ね次のようになります。
・摂取カロリー:2,210kcal
・タンパク質:140g
・脂質:49g
・炭水化物:302g
コンビニや外食ではどうしたらいい?
例えば、コンビニでも、選び方を決めておけば十分に実践できます。パッケージの表示を確認する習慣をつけるだけでOKです。
また、外食でも、カロリー&PFCを表示しているお店が増えているので、それを見て選択すればよいです。
表示が無ければ、食材・調理法・調味料の3つの視点で、主に脂質過多でないかを評価します。この食材には脂質が多くないか?この料理は揚げや炒めで油を多く使っていないか?このソースやドレッシングに油はどの程度使われていそうか?という視点です。
食材・調理法・調味料を見るだけで、脂質の多い食事をある程度判断できるようになります。いわば、PFCを見極める「スカウター」を持つイメージです。これができれば、食事管理がぐっと楽になります。

カロリーは1回設定したら終わり?
最初に設定した摂取カロリーは絶対的な正解ではありません。現在の体重や食事などから導いた仮説にすぎません。
その仮説が適切だったかどうかは、身体の変化が教えてくれます。
体重は、できるだけ同じ条件で継続的に測定しましょう。ただし、1日ごとの増減に一喜一憂しないようにしましょう。水分量や便通などの要素によっても、体重は日々変動するからです。
目安として、2週間のトレンドで判断することをお薦めします。
体重が適切に減っている、あるいは体重が横ばいでもウエストや見た目に変化が出ているなら、その食事を続ければOK。まったく動いていなければ、炭水化物を少し減らす、活動量を増やすといった次の調整を検討します。停滞時の具体的な対策については、別の記事で詳しく扱おうと思います。
「思ったより体重が落ちていない」という結果も失敗ではなく、次の調整が必要だというサインであると、前向きに捉えてみてくださいね。
今回は、筋肉を残して体脂肪を落とすカロリー&PFC設計の考え方を書いてみました。
感想や、「このテーマを扱ってほしい」というご要望など、ぜひコメントで教えてください。
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