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「赤青黄、三匹の魚」

1000字の夢日記


 オレは蓮池の畔(ほとり)で背中を曲げ、水中を覗き込んでいる。

かなり深いところに得体の知れないものがいてウネウネと不気味に蠢めく。徐々に、水面に上がってきて、しだいに姿を現しはじめた、それは赤、青、黄の三匹の魚だった。数珠繋ぎになってメリーゴーランドのように、くるくる回っている。

それぞれの魚を注意深く見ると「私が一番よ」とでも言いたげに体をぶるぶる震わせている。あまりの可愛いらしさに三匹の魚に見惚れていると、そのうち赤い魚のスピードが落ちてきた。「頑張れ!」思わず声をかけると、それが届いたわけでもあるまいに赤は、がぜん勢いを増し、元の速さにまで回復してきた。

いや、それどころか三匹全体が先ほどより速くなっている。おそらく、赤の頑張りと気迫が他の青と黄を刺激したのだろう。

三匹が回転を続けるうちに、みるみる勢いが増してきて高速回転となった。そうして徐々に水面が渦巻きはじめ、やがては渦潮のように、すり鉢状に。中心部の深い色は壮大な銀河を連想させ、その外側は白波が立っていて、まるでクリームソーダみたいだ。時々、飛び散る泡が、なんとも美味そうなので掬い取りペロッと舐めてみたくなる。

とはいえ、見るからに強力な渦なので引きこまれたら、ひとたまりもないだろう。周りの蓮は、ひたすら耐えることしか術がなく、突然の災難が早く去れとばかりに、迷惑そうに揺れている。

三匹の姿を目視するには、猛烈なスピードで駅を通過する新幹線の窓で手を振る友人を見つけるくらいに困難に思える。それでもなんとか三匹を励まそうと目を凝らしているうちに目が回ってしまった。気分が悪くなり吐き気もしてきた。もう諦めよう。

三匹の輪は、さらに速度を上げ、驚異的回転数にまで達し、ついには水面を越え、ふわりと浮かび上がってきた。まるで円盤型UFOのように同じ位置に留まっている。これは彼らの渾身のパワーと尻尾がドローンのプロペラ的役割となり、重力との関係が拮抗し、空間に静止しているのであろう。

ブ〜ンという、扇風機の羽根が回るときと同じ音をたてながら風が巻き起こっている。顔を近づけてみると涼しくて、髪もサラサラなびく。

オレは、よく子どもが、ふざけてやるように
「あ~~」と三匹の輪に向かって声を出してみた。声が微妙に震えて面白い。今度は
「い~~」と言ってみた。宇宙人っぽくて、これも面白い。次に
「う~~」と言おうとしたがバカらしくなってやめた…

Photo by SeñorA

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