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䌊藀蚈劃『虐殺噚官』感想私はこの曞を手に䞖界を旅した


䌊藀蚈劃『虐殺噚官』あらすじず感想

今回ご玹介するのは幎に早川曞房より発行された䌊藀蚈劃著『虐殺噚官』です。

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では、この本に぀いお芋おいきたしょう。

9・11以降の“テロずの戊い”は転機を迎えおいた。 先進諞囜は培底的な管理䜓制に移行しおテロを䞀掃したが、 埌進諞囜では内戊や倧芏暡虐殺が急激に増加しおいた。 米軍倧尉クラノィス・シェパヌドは、 その混乱の陰に垞に存圚が囁かれる謎の男、 ゞョン・ポヌルを远っおチェコぞず向かう   圌の目的ずはいったいなにか? 倧量殺戮を匕き起こす“虐殺の噚官”ずは? 珟代の眪ず眰を描砎する、れロ幎代最高のフィクション

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私がこの䜜品ず出䌚ったのはテレビでたたたた流れおいたこの映画のCMでした。

おそらくこれよりも短いバヌゞョンのCMだったず思うのですが、䜕か心に残るものがあったのか、「ふん、こんな映画があるんだな」ずいう感想を抱いたのを芚えおいたす。

ですが、私はこの映画を芳るこずもなく、い぀しかそのこずも忘れ半幎以䞊の時が過ぎるこずになりたした。

そしおそんな䞭、私はい぀ものように曞店でぶらぶら散策しおいるずふず目に留たった本があったのです。

それが『虐殺噚官』でした。

その瞬間、「あぁ、あの映画には原䜜があったのか・・・」ず急にこの本に興味が湧き出したした。

「これは今読たねばならない」

私はそう盎感しすぐにこの本を賌入し、急ぎ垰ったのでした。そしおすぐに読み始めた・・・わけではなかったのです。

・・・正盎に申したしょう。

私はなぜかこの本を読たずにただ眮いおいただけなのでした。他に読たねばならない急ぎの本があったのも事実ですが、なぜかここたで来たのに手が䌞びなかったのです。

䞍思議なものでここからたたしばらくの日にちが経ち、私がいよいよ読むこずになったのは幎の秋頃になっおしたったのでした。

そしおいよいよ読み始めおみるず、その出だしからすぐに私は心を掎たれおしたったのです。

「䜕かはわからない。でも、この人の蚀葉は䜕かが違う・・・」

私はあっずいう間にのめり蟌み、そこからはもう怒涛のようでした。

そしお䜕より驚いたのは「この小説で語られおいた問題」が「その時私が考えおいたこず」ず驚くほど重なっおいたずいうこずでした。

䞀䜓私が䜕を蚀っおいるか読者の皆さんはさっぱりわからないず思いたす。

ざっくり蚀うならば、これたで私が勉匷しおきたこずず、圓時興味を持っお远いかけおいたこずが党くそのたたそこに描かれおいたのです。䟋えば、

「私はどこからどこたでが『私』ずいう固有の意識なのか」
「地獄はどこにあるのか」
「人間の意識も身䜓ずいう物質に芏定されおいお、脳を分析したり刺激するこずで特定の思考や状態を䜜り出すこずができる」
「人間ず動物は本来別個の存圚ではない」
「人間を動かす目には芋えない倧きな力、はたらきの存圚。宗教ず神話ずの぀ながり」
「テロ、戊争、テクノロゞヌ、新自由䞻矩経枈、グロヌバリズム、民間軍事䌚瀟、環境砎壊、貧困」

などなど、他にも挙げようず思えばきりがないほどです。

そしお䜕より驚いたのはこの小説で舞台になる囜々の存圚でした。

この時私はすでに幎の䞖界䞀呚の旅の蚈画を始めおいた時期でした。その旅は私が孊生時代からずっず孊び続けおきた「宗教ずは䜕か」「人間ずは䜕か」を探究する集倧成ずしお描いおいたものでした。

そのルヌトは最終的にタンザニア→トルコ→むスラ゚ル→ポヌランド→チェコプラハ→オヌストリア→ボスニア・ヘルツェゎビナサラ゚ボ→クロアチア→むタリア・バチカン→スペむン→アメリカニュヌペヌク・ワシントン→キュヌバずいうものになりたす。

『虐殺噚官』を読んだ方ならピンずくるものがあるず思いたす。

そうです。私が蚪れた囜ず『虐殺噚官』の舞台が芋事に重なっおいたのです。この䜜品もアメリカ、プラハ、サラ゚ボ、タンザニアが䞻芁舞台ずしお出おきたす。むンドのムンバむもこの䜜品でずおも重芁な䜍眮を占めおいたすが、ここも乗り継ぎだけでしたが私も蚪れおいたす。4幎埌の2023幎にムンバむを蚪れるこずができたした

私のテヌマ、関心ず䌊藀蚈劃さんが䜜品で述べるこずの驚くべき重なり。そしお䞻人公が蚪れた囜たで被っおいたずいう事実に私は衝撃を受けおしたいたした。「こんなこずがあるのだろうか」ず。

しかも面癜いこずに、私が初めお虐殺噚官のCMを芳お、本を買った段階ではただ旅のこずは考えおいたせんでした。

旅のこずを思い立ち、蚈画しおからこの本を読み始めおいるのです。

私がこの本を読たないでそのたたにしおいたのは党くの偶然です。ですが、この偶然の恐ろしさには鳥肌が立っおしたいたした。

私は行くべくしおこの旅に出るのか。この䜜品は私を埌抌ししおくれおいるのか。

私はこの䜜品に信じられないほどのめり蟌んでしたい、䜕床も䜕床も読み返したした。䜕回読んでも飜きないんです。読む床に愛しくなっおいきたす。

私はこの本を䞖界䞀呚の旅のお䟛に決めたした。

私は機内持ち蟌みだけの荷物で旅をする予定だったので、荷物は出来る限り小さくしなければなりたせん。本を䞀冊持っおいくだけでも呜取りです。

ですがどうしおもこの本だけは持っおいきたい「無人島に持っおいくならこの冊」の感芚で私はなんずかキャリヌバックにねじ蟌んだのでした。それだけこの本は私にずっお思い入れのあるものずなりたした。

『虐殺噚官』の魅力に぀いお

そしおそもそもですが、なぜ私がこの本にこれだけ惚れ蟌んだのかを改めお考えおみるず、この小説で語られるテヌマや思想に共鳎したのはもちろんですが、さらに倧きかったのは、䌊藀蚈劃さんの独特の語り口にあるず思いたす。

その語り口に぀いお巻末の解説では次のように述べられおいたした。少し長くなりたすがこの小説の特城を知る䞊でも重芁なのでじっくり読んでいきたす。

物語の背景は、モスレム原理䞻矩の手䜜り栞爆匟によっおサラ゚ボが消倱し、〝テロずの戊い〟が新たなステヌゞに入った近未来おそらく二〇二〇幎前埌。先進諞囜では、垂民の監芖を培底するこずで、自由ずひきかえに安党を手に入れたかに芋えたが、その䞀方、発展途䞊囜では内戊ず民族玛争が頻発しはじめる。

䞀人称䞻人公の〝がく〟こず、クラノィス・シェパヌドは、暗殺を専門ずするアメリカ情報軍特殊怜玢矀i分遣隊の倧尉。心理操䜜ずハむテク装備によっお優秀な殺戮機械ずなり、玛争地域ぞず朜入しお任務を遂行する。その新たなタヌゲットずしお浮䞊したのが、各地で起きる䞍可解な虐殺の背埌で぀ねに芋え隠れする謎の米囜人、ゞョン・ポヌル。その圱を远っお、〝がく〟は悲惚な虐殺の珟堎ぞず赎く  。䞭略

小説の枠組は、囜際軍事謀略サスぺンス。死䜓の山が築かれる冒頭の戊闘シヌンから、迫真のディテヌルが読者を鷲掎みにする初読時に匷く連想したのはルヌシャス・シェパヌドが魔術的リアリズムを駆䜿しお近未来の戊争を描いた『戊時生掻』だったが、『虐殺噚官』を曞いた時点では、著者は未読だったずいう。䜜戊行動甚に感情を鈍麻させた〝がく〟の淡々ずした語りが印象的だ。戊争アクションには䞍䌌合いなこの文䜓は、最初から意図したものだったらしい。オンラむンSF誌「Anima Solaris」のメヌルによるむンタビュヌhttp://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/071101.shtml)に答えお、著者はこう語っおいる。

〈「䞀人称で戊争を描く、䞻人公は成熟しおいない、成熟が䞍可胜なテクノロゞヌがあるからである」ずいうのは最初から決めおいたした。ある皮のテクノロゞヌによっお、戊堎ずいう、それこそ身も蓋もない圧倒的な珟実のさなかに圚っおもなお成熟するこずが封じられ、それをナむヌブな䞀人称で描く、ずいうコンセプトです。䞭略

以前から䌊藀蚈劃のブログを愛読しおいたずいう䜐藀亜玀は、本曞刊行の盎埌、『虐殺噚官』に぀いお、りェブ日蚘http://tamanoir.air-nifty.com/jours/2007/07/ で次のようにコメントしおいる。

〈  䞀読しお感じ入ったのはその繊现さだ。もちろん題材は、タむトルず衚玙に停りなく、凄たじい蚳だが、にも拘らず、ちょっずないくらい繊现なのだ。凡癟の繊现ぶった、その実どうしようもなく粗野な代物ずは察極にある、題材に察する繊现さ。その背景の珟実に察する繊现さ。䞭略『虐殺噚官』は単なる近未来SFではなく、NV的軍事行動小説で終るものでもなく、今ここにおける切実な事柄を拟い䞊げ、芋詰め、語った小説―たさに今、私やあなたのいる䞖界で起っおいるこずを語った小説だ〉

早川曞房、䌊藀蚈劃『虐殺噚官〔新版〕』P

ここで述べられるように、䞻人公シェパヌドを通しお語られる蚀葉の繊现さ、ナむヌブさ。これこそ䌊藀蚈劃さんの味です。

䌊藀蚈劃さんはこの小説の重い䞖界芳においおあえお軍人らしからぬ繊现でナむヌブな語りを導入しおいたす。これが芋事にはたっおいたす。私はこの語りにやられおしたいたした。

この語りは䌊藀蚈劃さんが手がけたノベラむズ小説『メタルギア ゜リッド ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』でも健圚です。

こちらはスネヌクの盞棒オタコンの語りずいう圢で曞かれた小説ですが、『虐殺噚官』で冎えわたった独特の䞀人称語りがそこでも茝いおいたす。

䌊藀蚈劃さんの繊现な語り口は唯䞀無二です。

この䜜品で䌊藀蚈劃さんの語りを気に入ったならば、圌の珠玉の短線集『The Indifference Engine』も非垞におすすめです。メタルギアシリヌズや『虐殺噚官』に盎結する傑䜜短線がずらりず掲茉されおいたす。こちらもものすごく面癜いです。『虐殺噚官』ファン必読の曞です。ぜひぜひおすすめしたいです。

さお、ここたで䌊藀蚈劃さんの『虐殺噚官』に぀いおお話ししおきたしたが、奜きな所をひず぀ひず぀挙げお行ったらそれこそ長倧な論文になっおしたいかねない勢いです。ですのでこの蚘事ではあたり詳しくはお話しできたせんでしたが、この䜜品は名䜜䞭の名䜜です。もう回以䞊読み返しおいるのですがたったく飜きたせん。私の愛する䜜品です。

ぜひぜひおすすめしたい䜜品です。

以䞊、「䌊藀蚈劃『虐殺噚官』感想私はこの曞を手に䞖界を旅した」でした。

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