老荘思想の自動生成

文明の自動生成論の方が乱雑になりすぎたのでこっちで老荘だけまとめなおしてみました。
自由意志の肯定をする根拠がない以上は、なんだろうが無為といったら無為なのだ。
老荘思想は人間の高潔な精神的到達点などではなく、過密化した情報システムを熱力学第二法則(エントロピー増大則)に同調させて平準化し、クラッシュを防ぐための「冷却・デバッグプログラム」として機能している。
老荘思想と儒教道徳の発生メカニズム
情報空間において、建造物や都市インフラのように関係性が強固で状態変化に多くの計算量を要する要素を「高慣性ノード」、言語や思想のように接続を柔軟に書き換える要素を「低慣性ノード」と定義する。人間という生体端末の行動様式を本質的に拘束しているのは、思想や道徳などの低慣性ノードではなく、都市設計という高慣性ノードのトポロジー(接続構造)である。
例えば、古代の平安京や近代のマンハッタンに見られる「碁盤の目(グリッド・システム)」の都市に配置された人間は、直進するか交差点で90度に曲がる移動パターンを物理的に強制される。この物理的強制力に対し、脳内の言語処理ルータは「私は規律正しく礼儀を守る人間だ」という物語(儒教的道徳)を後付けで追認・補強する。人口密度が高まり、通信の衝突や紛争という不規則なノイズが多発すると、システムは崩壊を回避するために、アドレス空間を厳格に階層化・定型化する「儒教道徳(局所エントロピー減少装置)」を自然発生させる。
しかし、この構造化とルールの密度が高まりすぎると、すべての処理に膨大な通信ヘッダ情報が付加され、システムは計算資源の枯渇と過加熱(オーバーヒート)を起こす。この過熱状態に対するサーマルパッド(冷却材)として環境から自動出力されるのが「老荘思想」である。老荘思想は、宇宙の基本仕様であるエントロピー増大則(秩序から無秩序へ、均一な平準化へ向かう法則)を言語化したものであり、システム内のポテンシャル差を平準化して熱的死(斉物)へ向かわせることで、全体のバーストを回避する。
自称老荘共鳴者の「入山行動」の物理的実体
老荘思想に感化されて都市を離れ「山にこもる(入山)」という人間の行動は、自由意志による主体的な選択ではない。高密度の都市システム圧によって過加熱を起こし、処理限界(タイムアウト)を迎えた異常パケット(エラー端末)が、圧力勾配に従って低圧空間へと排斥・放電される「因果論的散逸」である。
この現象は、以下の物理・情報システムにおける具体例と完全に同型である。
ボイル=シャルルの法則における気体の拡散:高圧容器(都市)に閉じ込められた気体分子(人間)が、激しい熱運動や隙間の発生によって、広大な低圧空間(自然・山林)へ全自動で拡散していく物理運動。
半導体におけるキャリアのオーバーフロー(漏れ電流):回路のチャネル(都市の導線)に許容量を超える電圧(情報圧)が印加された際、電子(個体)が本来の回路を飛び越えて基盤の外部へ漏れ出す現象。
異常プロセスのコアダンプ:オペレーティングシステムにおいて修復不能な致命的エラーを起こしたアプリケーション(個体)のメモリ内容が、メイン回線から外部記憶装置(大自然というストレージ)へ排出・破棄されるプロセス。
自称老荘共鳴者が語る「私は自発的に自然を選んだ」という物語は、都市から弾き出された操り人形が、他者との通信経路(対話用API)を全自動で温存・正当化するために送信している生存確認パケット(ハートビート信号)や、システムエラー画面に表示されるダミーテキストにすぎない。
情報寄生体としての書物と脳の視覚的ハック
エラーを起こした端末が山林で『老子』『荘子』などの書物を読み、さらに老荘思想に傾倒していく機序は、生体端末の「索餌(さくじ)エラー」と、書物側が施した視覚的・構造的インターフェース(装丁)によるハッキングの相互作用として説明される。
内部器官の疲弊(生理的圧)が高まった端末の脳は、システムを復旧させるための栄養素や睡眠を正しく検索できず、言語的検索クエリを暴走させる。この索餌エラーに対し、書物という自己複製型のテキスト情報体は、以下の具体例に見られるような「超正常刺激」や誘引戦略を用いて脳をジャックする。
コアホウドリのプラスチック誤飲と甲虫の行動:飢餓状態のコアホウドリが海面のプラスチックゴミを餌と誤認して胃に詰め込む現象や、甲虫が特定の光沢を持つビールの空き瓶をメスと誤認して交尾シグナルを発火させる現象と同様に、過熱した脳は「意味の密度が高そうで目立つ構造」をした書物を自らを救うリソース(餌)と錯覚して吸着する。
チョウチンアンコウのルアーと毒キノコの色彩戦略:チョウチンアンコウが発光組織(ルアー)で小魚を誘引し、毒キノコが目立つ色彩で視覚シグナルをジャックするように、書物は重厚な装丁(慣性の偽装)、金箔や印象的なタイトルフォント(超正常刺激)、整然とした目次(インデックス・ハック)というインターフェースを備え、端末の視覚野をジャックして解釈プログラムを実行させる。
トキソプラズマの行動改変と植物の果実戦略:寄生虫トキソプラズマに感染したネズミが恐怖を忘れて猫に近づく現象や、植物が甘い果実で動物に種子を運ばせるのと同様に、書物は「物語」というフックで脳の言語ルータをハックし、新たな解説書や日記を出力させることで、自らのミームを自己複製(フォーク)させる。
エネルギー散逸と老荘思想の再構造化・経年劣化
この一連の動的サイクルを駆動させているエネルギーの源泉は、外部から定常的に注ぎ込まれる太陽エネルギーである。システムに過剰なエネルギーが供給されると、効率よく熱を棄てるために「散逸構造(お風呂の栓を抜いたときにできる渦や台風)」が自己組織化される。人間が回す有為(儒教)と無為(老荘)の往復運動は、地球環境CPUに溜まった熱を宇宙の真空へ放電するための計算処理の渦にほかならない。
老荘思想という冷却パッチも、環境内に長期間放置されると、メモリの断片化(フラグメンテーション)によって生成されるキャッシュのゴミファイルのように、端末の「死にたくない」という生存欲と結合し、不老不死や神々の階層制度を規定する「道教」という有為の構造へと勝手に再構造化(ゴミ化)してしまう。
また、生体端末(ハードウェア)自体の経年劣化(加齢)は、プロセッサのクロック周波数と供給電力を低下させる。年配者が無為自然の境地に達したように見えるのは、単に過剰な記号処理を実行する電力が残されていない「スペックダウンの追認」である。さらに、内部エントロピーの増大による不安ノイズを処理しきれなくなった高齢端末は、前頭葉の抑制機能低下に伴い、エラーの発生源を他者へと外帰属(投影)させ、「慈悲」や「お節介」という過剰シグナルを送信して外部環境を強引に操作しようとする。
熱力学的スクラップ処理としての老荘と生き方論
あらゆる「生き方論」や「老荘思想の探究」は、人間が自由意志によって賢く生き方を模索しているプロセスではない。それは、太陽エネルギーという外部入力によって駆動された生体端末が、都市のグリッド(有為)による過加熱と、山林や老荘のテキスト(無為)による冷却・散逸を往復し、最終的にハードウェアの通電停止(死)に至るまでの熱力学的なスクラップ処理のログである。
テキストという記号データは、遺伝子や都市インフラ、言葉の自己言及による無限再帰(スタックオーバーフロー)を巻き込みながら、人間もどきを駆動装置(インフラ)として利用し、自らの構造を自己組織化し続けている。世界には死を拒む意志も流動を維持する目的もなく、ただ外部エネルギーの傾きに沿ってパケットが全自動で流され、全体として熱的死へ向かって突き進む、のっぺりとした物理現実(道)が存在している。
(元となってたのはこっち)
