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45億年、転がす | 脳内行動派! #10

自宅から一歩も外に出ない日常を書いています。
驚くべきことに、マガジンにまとめるという愚行を始めました。

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部屋を見渡す。

このときあなたの目には、何が映るだろうか。

なんだか薄汚れた絨毯が、なんてものが見えているようではいけない。

そんなものが見えてしまった日には、想像もつかないような長い時間を、ほんの短い時間に凝縮し、駆け抜けるという機会を自ら手放すようなものだ。

ここに見出すべきは、過去、現在、そして未来へと連綿と続く営みであるはずなのだ。

実にもったいない。

そのような不毛な視点で、解釈すべきではないのだ。


そこに河原の爽やかな風景を見出すことができるはずだ。

温かい日差し。

雄大に流れる川。

しかし、注目すべきはそれらではない。

そこに転がるたくさんの小石。

これは一体、どこから来たのだろうか。


45億年を超えるとも言われる地球。

この星は、生き続けている。

少しずつ、だが、確かにその姿を形作り続けているのだ。

地中深くで活発に活動し、蓄えられたものが吹き出す。

吹き出したものが、冷えて固まる。

それが転がり、削れ、少しずつ時間をかけ、個体として形作られていくのだ。

そこには時間の流れという浪漫があるのだ。


この宇宙は、実に豊かな創造を続けている。

星々は、人の寿命などでは到底語ることのできない年月を経て、生まれ、そして死んでいく。

瞬間的な激しい活動もあれば、想像のつかない年月を通して行われる活動もある。

人の手には扱い切ることのできない変化を、日夜続けているのだ。

そのもっとも身近で大きなものが、地球なのだと言えよう。

その大きなものの中で、途絶えることなく続いている営みの象徴となるものが、実は小石なのだ。


悠久の時間の中を、ただ少しずつ、転がり続ける。

その中で削られ、小さくなっていく。

その姿を想像すると、哀愁を覚える。


哀愁ということば。

それ自体は国産品なのに、その考え方には輸入品のエッセンスが多分に入っている。

現代日本の産業にも通ずる、なんだかややこしいことばなのだ。

例えば、この哀愁という言葉を横文字であらわした「メランコリー」なんて気取ったことば。

これは、古代ギリシャ語が由来となっているが、元々の意味は「黒い胆汁」だ。

物悲しさを語りたいのか、大爆笑をさらいたいのか、全く判断に困るややこしいものなのだ。


さらに、哀愁を感じさせる「ノスタルジー」なんてことばもある。

これだって、昔に思いを馳せて少しだけ物悲しくなる、なんてオシャレな言葉だと思ってはいけない。

由来を辿れば、こんなものは重度なホームシックに他ならないのだ。


そしてさらに、哀愁そのものの意味合いも強烈だ。

悲しいという意味だけには収まらない。

悲しいのに、心地よい。

そこに秘められた性癖は、一体どこまで特殊な方向へ向かっているんだかわかったものではないのだ。

哀愁とは、実にこんがらがった、ややこしい、厄介なものを言いあらわした言葉なのかが、理解できるのではないかと思う。


つまり小石とは、コロコロと転がり、こんがらがったややこしいものを絡めとるものだ、と言い換えることができるのだ。

そうして考えると、目の前に広がる河原に散らばる、哀愁という名のゴミくずを、コロコロと転がし絡めとる、このコロコロという道具は、小石のようなものだ。

長い時間をかけ、コロコロ、コロコロと、過去の時間を秘めた髪の毛や糸くずといった哀愁漂うゴミたちを、変わることなくくっつけていく。

そして、もうこれ以上の粘着力が期待できないとなれば、小石が削られるが如く、そのシート一周分が剥ぎ取られていくのだ。

転がす。

そして剥ぎ取る。

もはや芸術とも言い換えることができるであろう、この単純な動きは、これからも人類と共に歩み続ける、地球の営みをも彷彿させる洗練された行為なのだ。


こうして、地球の壮大な歴史を思いながら、今日も少しだけコロコロした。




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