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【エッセイ】僕とコロッセオとコテボク

中学・高校の六年間、監獄みたいな寮生活を送りました。

今の学校および寮の環境は、多分だけど、全然違いますよ。

当時はいろんなファンキーな出来事がある、エキサイティングな環境でした。

エピソードは尽きない、から小出しにしていこうと思う。

今日のテーマ。

コテボク。

ルールは至ってシンプル。

新入生同士が一対一で剣道の小手を嵌めて、殴り合う。

そう。小手ボクシングである。

二段ベットの上下には上級生たちがズラッと並び、ヤジを飛ばす。

部屋はコロッセオと化す。

現代に生きるグラディエーター。

でも、跡が残るとマズイから、「顔はやめな、ボディだボディ」と、どっかで聞いたようなセコンドの声。

だが当然勝負はつかない。

小手でボディーで、お互い戦いたくない同士。

当然だ。

泥仕合となり、なぁなぁで終わるのが相場だった。

しかし、今思えば、倫理観とか何もないな。今思わなくても、ないな。

いつの時代も、抑圧された民を熱狂させるのは戦いだ。


ある時、私にも参戦命令が下った。

しかし、私は賢かった。

この不毛な殴り合いに「エンターテインメント」を導入した。

私には、はじめの一歩の知識があった。

マンガは当然、禁制品だ。

だが、隠れて読むマンガは、普通に読むより、心拍数も高くなり、臨場感が出る。

魂に刻まれる。

多分、皆マンガが大好きだった。

だから、台本ブックで行くことにした。

対戦相手に耳打ちして、勝負に出た。

ゴングが鳴る。序盤は劣勢を装い、一方的に打ち込まれるフリをする。

そして中盤、一気にギアを上げた。

そう。

デンプシーロールだ。

見張りで廊下に立っている同級生もグルだ。

「まっくのうち、まっくのうち!」廊下からコールが上がる。

コロッセオは沸いた。

体ごと、右、左、右、左と振り、パンチを繰り出す。

対戦相手は、示し合わせた通りのタイミングで沈んでいった。

皆が見たかったのはこれだった。

グダグダの本気より、盛り上がるフェイク。

やり遂げた充足感の中で、私は心の中で呟いた。

「鷹村さん、強いって、一体どんな気持ちですか?」


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