#8 退職後の社会保険料が怖かった。でも調べたら、対策できると思えた話【試算②】
「会社を辞めたら、お金が大変だった」
知人からそんな話を聞いたのは、もう数年前のことです。詳しくは聞きませんでしたが、想定以上に出費があったと言っていました。それ以来、どこかで「会社はやめるものじゃない」という気持ちが自分の中に根付いていました。
でも、漠然と怖がっていても何も変わりません。AFPとして知識はあるはずなのに、なぜか自分のこととなると直視できていなかった。そこで今回、退職後の社会保険料と税の負担を、きちんと試算してみました。
結論から言えば、見えないものに怯えているより、仕組みを知って対策を立てる方がずっと建設的でした。
退職後の健康保険、3つの選択肢がある
会社員を辞めると、それまで会社の健康保険に入っていた人は、新たに自分で保険を選ぶことになります。選択肢は大きく3つです。
① 任意継続被保険者制度 退職前に加入していた健康保険に、最長2年間、自費で継続加入できる制度です。保険料は在職時の約2倍になりますが(会社負担分がなくなるため)、標準報酬月額に上限が設けられているため、退職前の収入水準によっては思ったより負担が抑えられるケースもあります。上限額は加入している健保によって異なるので、自分の健保で確認してみる価値があります。
② 国民健康保険 前年の所得をもとに保険料が計算されます。退職して収入が下がっても1年目は在職時の所得が基準になるため、思ったより高くなることが多いです。ただし収入が大きく減る2年目以降は、任意継続より安くなる場合があります。
③ 配偶者の扶養に入る 配偶者が会社員で、自分の収入が年130万円未満に収まるなら、扶養に入ることで保険料の自己負担がゼロになります。副業収入をどう設計するかにもよりますが、収入が低い時期には最も負担が軽い選択肢です。
どれが得かは、退職時の収入水準・退職後の収入見込み・家族構成によって変わります。「とりあえず任意継続」と決めず、自分の数字で比較することが大事です。
任意継続は、在職中から準備できる
任意継続を選ぶ場合、一つ知っておきたいことがあります。
任意継続の保険料は、退職時点の標準報酬月額をもとに計算されます。つまり、退職直前の給与水準がそのまま保険料に影響します。
逆に言えば、退職前から残業を意識的に減らすなど、標準報酬月額を下げておくことで、任意継続期間の保険料を抑えられる可能性があります。
退職後に「しまった、もっと早く動いておけば」とならないために、サイドFIREを考えているなら在職中から意識しておく価値がある視点です。私自身、これを知ってから働き方の調整を少し意識するようになりました。
住民税は「退職時期」によって、かかり方が変わる
健康保険と並んで見落としやすいのが、住民税です。
住民税は前年の所得に対して翌年課税される仕組みで、毎年6月〜翌年5月の1年間で支払います。会社員の間は給与から毎月天引きされているため意識しませんが、退職するとこの流れが変わります。
1〜5月に退職した場合 その年の5月までに払う予定だった住民税の残額が、最後の給与や退職金から一括で天引きされます。たとえば3月に退職すると、3〜5月分がまとめて引かれるため、手取りが想定より大きく減ることがあります。退職月の手取りを計算するときは、この一括天引きを必ず織り込んでおく必要があります。
6〜12月に退職した場合 退職月までの住民税は給与から天引きされ、それ以降の残額は普通徴収に切り替わります。退職後1〜2ヶ月ほどで自宅に納税通知書が届き、自分で納付する形になります。収入が途絶えたタイミングで請求が来るため、あらかじめ納税資金を手元に確保しておくことが重要です。
いずれのケースも共通するのは、退職翌年も在職時の所得ベースで住民税がかかるという点です。収入が大きく下がった年の翌年に、前年の高い所得に基づく税額が来る。このタイムラグが、退職直後の家計を一時的に圧迫する原因になります。
怖かったのは「知らないこと」だった
試算してみて気づいたのは、漠然と怖かったのは金額そのものではなく、「知らないこと」だったということです。
健康保険の3択をきちんと比較すること、任意継続なら在職中から準備できること、住民税の退職時期による違いを把握しておくこと。やるべき対策は、思ったよりシンプルでした。
退職後の負担が重いのは事実です。でも、準備なしに飛び込む話ではなく、順番に整理していけば対策が立てられる問題だと思えるようになりました。それがサイドFIREという選択肢を、リアルに手が届くものとして考えられるようになった理由の一つです。
「退職後のお金が不安で、なかなか次の一歩が踏み出せない」という方、いいねをもらえると励みになります。
